漫画のことと本のこと

漫画好きが読んだ漫画や本の感想を書くブログです。

9/21の漫画の感想(2件)

このエントリーに書いた感想は以下の2件。

 

 

 

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『My Baby』

shonenjumpplus.com

ヒトならざる父と、ヒトの子ども。二人の関係は家族なのか・・・?

 

関係性を問うファンタジーなのだけど、ちょっと今回は技術に関して言わせてッ(なのでよければ先に読んできてッ)

 

ジャンプラ(しかも読み切り)は、読書環境はスマホであることが想像できるのですが、その際に哀しいのが「見開き」。

紙の漫画でページをめくって、右のページ・左のページをすべて使い、本全体で1コマ(その中に数コマあるパターンもあり)を使うリッチで迫力のある使い方。

 

ただスマホの場合・・・・これがわずらわしィ・・・。

 

せっかくの迫力をスワイプしてみなければいけない哀しさ。見開きで想定される構図が分断され、細切れになって目に入ってくるわびしさ。

 

これが「縦使い」で解消されて素敵ー-!と思うページがあったわけです。

 

『My Baby』は怪物VS怪物のサイズのデカいバトルがハイライトであり、見開きページもあります。

 

その中で、縦ラインで見開きのような効果を出しているページがあり・・・って、これは見ていただく方が早いですね。

(ヤヅ『My Baby』少年ジャンプ+ 2022/9/21閲覧 より引用。)

縦ラインでVS、にらみ合う構図が今までなかったとは言わないけど、これがスマホでみた時に迫力があり、分断もされず、すごくちょうどよかったなと。

 

怪物が縦にスライドされちゃうけれど、牙や目など特徴のある「怖さ」をピックアップしているので伝わるし、これはすごくいいですなあ。

(ただコミックスになったときは違った効果になっちゃうと思う)

 

 

『Cold apartment』

 

ポップ!キュート!そして血まみれ!!

かわいらしい絵と内臓ぶちまけをお約束。黒ゴスめいたビジュアルがお好きな方ならきっと気に入る闇&病み。

わたくしはゴス方向ではないのですが、ときおりゴアを摂取することで元気になる(血とか内臓が景気よくバンバン飛ぶとこれな~~って思う)側の人間なので大変良かったです。つまり逆に言うと腕とか足とか首とかの断面が苦手な人は見られません。極端な作品。でも面白いよ。

 

 

9/20の漫画の感想(2件)

このエントリーに書いた感想は以下の2件。

 

 

 

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袋につめて

www.kawasaki-museum.jp

 

台風で水にぬれた漫画の原稿を修復する方法とは?

2019年に台風の被害に遭った川崎市市民ミュージアム。貴重な漫画原稿を修復する様子のレポ漫画。

大切な営みを『バクちゃん』『花四段といっしょ』の増村十七先生がレポート。具体的な方法を見ると、より漫画を大切にしたいなあという気持ちになる。

↑のリンクページを少々下にスクロールするとリンクがあります。英語版もあるので、もし良ければ拡散を。こういう営みは広まってほしい。英訳はアイケ・エクスナ氏。

 

 

断腸亭にちじょう 20話

www.sunday-webry.com

 

ガンになった漫画家・ガンプが闘病の日常を描く。

ますます表現に磨きがかかる20話。この浮遊感と落着の仕方、私は動いて見えたよ・・・!

なお個人的には19話

もすごい好きで、良ければどうぞ。想定された表現はヒトの享受のタイミングでがらりと変わることがある。

9/19の漫画の感想(2件)

このエントリーに書いた感想は以下の2件。

 

 

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[46話]ハイパーインフレーション

shonenjumpplus.com

 

ジャンプラの怪作「ダークファンタジーショタマネーゲームサスペンス」、いよいよ大詰め。

お笑い要素が削除され、鬼気迫るスピード線が多用される。

ハイ、私が好きなだけですが。この後どうするのかな、まさか更に延命させたりしないだろうなあ。ズバッとスゴイオチを期待してる!

 

ドレスを着たかった男の子がファッションショーに出る話(タイトル不明)

Twitterで作者発信の漫画のご紹介(見られなくなったらごめんなさい)。

 

装うことの善意と悪意。

他人の前で、空気を読んで合わせて「装って」しまう男子高校生、伊織。

服飾科の美人、自己主張バリバリのなつめ先輩からファッションショーでドレスを着てほしいと頼まれて・・・

 

衝突を避けて空気を読み、当たり障りのないように自分を「装う」ことと、

ショー、美術としてのニーズを読み自分をドレスアップして「装う」こと、

真逆なのに方法は一緒という、脳みその良いところがバチッと繋がる良い漫画体験。うまいなあ〜!

 

この漫画で問題にされているのが「男子がドレスを着ること」ではなく「自分が我を出していいのか?」に置かれてるのもまた良い。これは読者側の問題もあって、漫画表現はこういうフェーズに入ってるんだなっていうのはとっても心地よいですな。日本の漫画、やるじゃん。

先週読んだ漫画感想まとめ(9/12週5日分9件)

 先週読んだ漫画の感想記事のアーカイブです(9/12週5日分)

 

 

記事ごとに書いた漫画感想のタイトルを並べています。好きな漫画、気になる漫画の感想を読むもよし、とりあえず全部読んでみるもよし。

 

 

 

9/12の漫画の感想(3件)

 

  1. 『星をあつめる少年』
  2. 『始発の電車』※Twitter漫画
  3. 『仏師』

 

Twitter漫画の『始発の電車』、すっごい書き込みなのでぜひ一度見てほしい・・・

書き込みはすごいのにテキストは余白があるっていうの、真逆な感じでいいっすねー

ima-nakayama.hatenadiary.com

 

 

9/13の漫画の感想(2件)

 

  1. 『マーメイドインザボトル』
  2. 『回顧 冬虫カイコ作品集』

 

『回顧 冬虫カイコ作品集』いやほんと・・・田舎の閉塞感の女性特化表現でものすごくキツイのでとてもオススメ(本当に)。

「うがががが分かるッ」って結構なっちゃうと思うヨ・・・

ima-nakayama.hatenadiary.com

 

 

9/14の漫画の感想(1件)

 

  1. 『光る風』

 

この日は一件のみの感想ながら、ちょっとがっつり書いております。

本当にすごい、何がまずすごいって『がきデカ』の山上先生の超硬派SFディストピアだってんだからすごい。いやこちらの方が先に執筆されているのだけど。いやすごい。紙で買っといた。

ima-nakayama.hatenadiary.com

 

 

9/15の漫画の感想(1件)

 

  1. 漫画アクション2022年9/6号』

 

この日は遅い夏休みで子供を花屋敷に連れて行ったんだ・・・(こじんてきなじょうほう)。

こんな日でも漫画は読む。おるちゅばんエビちゅっちゅ』は少しづつエロ表現も年を取っているので、いずれ老年エロになるのだろう。

ima-nakayama.hatenadiary.com

 

 

9/16の漫画の感想(2件)

 

  1. 『ゆりあ先生の赤い糸』11巻
  2. 『半分兄妹』【第2話】

 

社会的な視点で感想を書いた2作品。

半分兄妹、すごい面白いからおすすめだよ。手塚治虫ブッダの話がちょっと出てくるっていうね

ima-nakayama.hatenadiary.com

 

9/16の漫画の感想(2件)

このエントリーに書いた感想は以下の2件。

 

  1. 『ゆりあ先生の赤い糸』11巻
  2. 『半分兄妹』【第2話】

 

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『ゆりあ先生の赤い糸』11巻

くも膜下出血で『遷延性植物状態』になった夫と、妻ゆりあ(50歳)。

自宅介護を決意するも、植物状態の夫の愛人1(※男性)と愛人2(女性子持ち)が現れた。進退窮まったゆりあの決断は「全員で介護する」!

そんな中、ゆりあにも20歳以上年下の恋のお相手ができて・・・

介護と愛情を中心に型破りな家族関係を築くヒューマンストーリー、完結巻。

 

ああ、これは少女漫画だったんだ、と最終巻になって思い知らされた。

非常に込み入った人間関係と緻密な人物描写がすばらしい入江貴和先生、↑のあらすじで想像する「らしい人物像」をはるかに凌駕する生き生きとしたキャラクターが今回も健在。

例えばともすれば悲劇のヒロイン、「おしん」のような涙にぬれた主人公になってしまうであろう状況下のゆりあ先生は、豪快な性格と高い背、ぶっとい眉毛を持ちながら刺繡の先生でありバレエを習う50歳。キャラクターのよくある「型」を何重にも突き抜けるキャラメイキングが本当に素晴らしかった!

『おかめ日和』『たそがれたかこ』で女性の背筋を凍らせたモラハラ夫は今回不在な代わりに、人との境界線が甘くてちょっとだらしない優しい男性が夫。

ほか、わがままで強気なゲイの青年、したたかながら元夫のストーキングに悩まされる女性などと共同生活を送る波乱万丈な家族関係。

 

キャラメイキングもそうなのだけれど、関係性にも本当に「型」がない。

「そういう付き合い方ってありなの?」「その関係性、どういうテンション?」という、ピンとこない、おさまりの悪い人間関係を紡ぐ人々。

でもそれって正しい気がするんだよね、人間関係って先に「夫」とか「恋人」とか「家族」って型に合わせるんじゃなくて、人間が作った関係性に後から名前を付与するのが本来だよねって。

で、そんな分からない名前の関係性の二人が出会って見つめ合う。それは恋人でも夫婦でもない、まだ社会的な名前のついてない関係。だから多分とても純粋なもの。大人から社会的な関係性を取り払って恋をするって、こんなの少女漫画じゃん!

 

この関係性が分からなくっておさまりの悪い感じをたたえたい。そのおさまりの悪さは、今までの「伝統的家族」を吹き飛ばしたやつだから。

 

 

『半分兄妹』【第2話】

to-ti.in

ハーフ、ダブル、混血・・・

ガイコクジンの親を持つと呼ばれる呼称は、「異物」のレッテルでもある。

笑って流せば溶け込める、そのちくちくした引っかかりを描く物語。

 

これは「日常モノ」ですよ。

主人公の米山和美マンダンダはフランスと日本のミックス。生まれも言葉も日本ネイティブ。Webライター。

相棒はマジョリティ日本人、友達はいろいろ。ミックスともだち(ライングループ名:マッドミックス 怒りのデスロード)もいる。

居酒屋ではとりあえず生。マッドミックスの面々はとりあえずがポテサラ派(店の力量が「解かる」からとか)やエイヒレ派など呑めるチョイス。手塚治虫の描くブッダ(シッダルダ)のエロさは悟る前がイイと思ってる。

 

「日常」を感じさせるミームあるあるネタサブカルコンテンツなどが頻出し、日本のよくいる若者であるのに、唯一ひどく負荷がかかっているのがその血筋ってか、親の国籍ってか。

 

今回の2話では、中国と日本のミックスである紗瑛子のエピソード。「地元の知り合いに似てる」とよくよく言われる、見た目は全く日本マジョリティである彼女の「異質」なところは、お母さん、嗬嗬(マーマー)が中国語ネイティブなこと。その繊細な葛藤。

 

 

言うても日本ってアイヌ琉球といった他民族や中国や韓国といったアジア近隣諸国ルーツの2世3世、ブラジル人街(大きいのは群馬県大泉町にある。人口の10%がブラジルルーツだそう)などに代表される移民街のあるれっきとした複数民族国家の上、更には出雲民族など先住民もいたらしいのにアーカイブされてないのでもう分からないっていう話でね。他人様の肌の色で「ガイコクのヒトでしょ?」とか言ってる場合じゃないんだが我々は無邪気に言う。ところで私、一応日本マジョリティの自認ではあるが実際は何民族なんだろうな?

 

大多数の「民族を消された民」の社会が「ガイコクノヒト」をどう扱うのか。楽しく読んだ後に振り返ってみたいマンガ。自省を込めて。

 

9/15の漫画の感想(1件)

このエントリーに書いた感想は以下の1件。

 

  1. 漫画アクション2022年9/6号』

 

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漫画アクション2022年9/6号』

bookwalker.jp

 

『古代戦士ハニワット』

こういう荒々しい線が見たいときってあるのだ。それはほかの作品にはなかなか変えられないものなのだ。諸星大二郎のような、荒れてる時の永井豪のような、そういうインパクトが。

 

おるちゅばんエビちゅっちゅ』

とにかくヒドイ(褒め)。安定のえげつない下ネタ。伊藤 理佐先生がいてくれれば女のエロギャグは保証されてるから安心だな!

9/14の漫画の感想(1件)

このエントリーに書いた感想は以下の1件。

 

『光る風』

 

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『光る風』

「xxxx年○月○日」で始まる、1970年の架空日本。

とある村で流行した奇病と隔離政策、カンボジアの戦争のニュース。くすぶる悪意が日本を再び軍国主義へ吹き戻すディストピアSF。

 

がきデカ』の山上たつひこ先生が『あしたのジョー』と同時期にマガジンで連載していたポリティカル(政治的なニュアンスを含む)な純文学。手塚治虫の影響を色濃く感じさせる絵ながら、バイオレンスシーンは派手ながら地味(回数と血の量は多いが跳躍などのアクションは少な目)でこれは私、好みです。

天皇制、軍部による細菌兵器開発といった現代の出版社では出しづらいであろうキーワードをたっぷりと使用し、事故による四肢欠損(江戸川乱歩『芋虫』ですな)などグロなモチーフを盛り込み、ラストを「問い」で〆る消費系アートにはあり得ない作り。

 

山上先生はこの作品のあと、雑誌をチャンピオンに代えて『がきデカ』を描かれるそうで。ああ、そういやあがきデカって小学生警察官が他人に死刑!って言いまくる漫画ではあったな、秩序と公権力の愚弄と破壊ではあったな・・・などと思ったりして。

 

「誰が見張りをあざ笑うのか」の『ザ・ボーイズ』を読んでいる最中なので、「誰が公権力に「八方島のきょん」するのか」という文脈で比較論文を・・・・・・・・・・(書くのお?)

 

『光る風』自体はやや解説不足で性急な展開もありつつ、非常に骨太でエネルギーに満ちた漫画なので無情の風に吹かれたい方におすすめ。kindleアンリミテッドで全3巻読めますが、内容的にAmazonが取り扱ってくれなくなる可能性もあるため私は紙でも買いました。こういう作品が削除されない社会であれ。