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漫画好きが読んだ漫画や本の感想を書くブログです。

『妻の飯がマズくて離婚したい』感想~ママ情報webメディア漫画の拡散を考える。コストと楽しみ、それが問題だ~

本日は今Twitterでバズってる漫画をアーカイブとしてご紹介したいと思いますー

 

Twitterやってますよね?やってなければこちらとか↓を見ていただくと、Twitterでなにやら盛り上がっているのが分かると思います。

 

togetter.com

 

ママ向けwebメディア掲載なのにストロングなスタイルに、漫画読みとして畏怖を覚えたので考察したい・・・という次第です。

 

今回は

 

  • 私の観測したあらすじ(24話までで)
  • なんでこの漫画が議論を呼ぶのか

 

について書きたいと思います。いやあ業界のセオリーをぶちのめすわあ。

 

 

 

『妻の飯がマズくて離婚したい』

select.mamastar.jp

 

 

 

『妻の飯がマズくて離婚したい』はwebメディア「ママスタセレクト」で連載している4コマ漫画です。

 

(webメディア掲載の無料まんがのため、今後無料で読めなくなるor掲載が取り下げになる可能性をあらかじめ申し伝えておきます)

 

 

 

私の観測したあらすじ(現在公開の24話までで)

 

ミナミ、兼業主婦。

アツシ、会社員。

 

ミナミとアツシは小3、小1、年中のかわいい子どもに恵まれた夫婦。

 

しかしこの夫婦には大きな問題があった。

 

それは食の価値観が大きく異なること。

 

ミナミは実家の家庭方針から「腹に入ればみな同じ」という価値観。

アツシは裕福でなくとも食べることが大好きな両親のもと、「お金をかけずに手間をかけて」食を楽しむ価値観を持っていた。

 

ミナミには「食を楽しむ」という概念そのものが分からない。

そのため食は二の次三の次、かわいい子どもたちの教育費のために最低価格の素材、最低限の作成コストで作った食事を出す日々だった。

 

そんなある日、アツシがこっそり1万2千円のディナーに行ったことが判明する。

 

ぶつかり合う二人。離婚も視野に入った価値観の違いを、二人はどのように乗り越えるのか・・・?

 

 

 

【なんでこの漫画が議論を呼ぶのか】

 

この記事では、内容についてではなく「この漫画がTwitterトレンドに乗るほどの話題になったのはなぜか?」という視点で見たいと思います。

 

結論としては情報メディア発信でありつつ、ターゲットがつかみづらく、考察を呼ぶからだと思います。

 

まず、情報メディアからの発信であること。

 

当該作品が連載されている「ママスタ」は、「ママに役立つ情報を日々配信」というキャッチコピーのついた紛れもない情報メディアです。

 

4コマ漫画も多数掲載されていますが、どちらかと言えば育児や子連れのお出かけ、保育園、塾などの育児情報を強みにした媒体です。

 

そしてそんな媒体でありつつ、『妻の飯がマズくて離婚したい』のターゲットがつかみづらいこと。

 

本来ママ向け情報メディアの4コマ漫画であれば、基本的にターゲットを女性に絞り、女性が読んで楽しい・女性へ問題提起するなどの作品が定番です。

 

しかしこの作品では妻・ミナミの努力や理想、夫・アツシの苦悩が双方描かれ、「ミナミの言うことも分からなくはない」「これはアツシかわいそうだわ・・・」とミナミ(妻)とアツシ(夫)の間で感情移入先が行ったり来たりします。

 

現状(24話)では、ママ向けとも思えないですし、ひねってパパ向けとも思えません。また性別問わない育児層への訴求としてもやや外れている気がします。

 

リアルな作品ではありますが、情報メディアのコンテンツとしては「どこに感情移入していいかわからない」という意図がつかめない不安を感じます。

 

結果、考察を呼ぶこと。

 

ターゲットや意図が分からず、かつ題材が身近な時、人は作品についてあれこれと「これは●●向けなのでは?」「こういう意図なのでは?」といった考えを巡らせます。

 

これが考察です。

 

 

 

更に考察が過熱している理由として、題材があまりにも不幸なことが挙げられると思います。

 

 

『妻の飯がマズくて離婚したい』は、三大欲求である食の価値観の断絶を描いています。

 

ミナミは食にまったく興味がないため、食を「コスト」としてとらえています。

対してアツシの食は「楽しみ」です。

 

ミナミ、アツシの価値観はどちらも現実に存在しますし、一概にどちらが悪いというものではありません。

 

そしてどちらが悪でもないがゆえに、埋めがたい断絶ができています。

 

そのため、「そもそも結婚しなければよかったんじゃ」「(現実にはないだろうけど)こんなこと言われたら泣く」「(仮定として)お金があれば解決するのでは」など、思考実験が繰り広げられてるのではないか、と考えます。

 

 

 

 

 

まとめますと、

  • ママ情報が発信されているメディアに掲載されているのに
  • ママ向けでもパパ向けでもない、誰にアピールしているのか分からない作品
  • でも題材は食のことで身近だから、みんなアレコレ考えちゃう
  • &、内容があまりにしんどいから「もしああだったら・・」がはかどる

というのが、『妻の飯がマズくて離婚したい』が拡散されている理由なんじゃないかと思います。

 

あまりにもストロングなスタイルの4コマ漫画を投下してきたママスタさん。PVもすごいことと思われます。

 

現段階(2021/9/22)で24話。いつ完結するかわかりませんが、どのようなオチを付けるのか。

ミナミとアツシは離婚せずに済むのか。

毎日更新っぽいので、ちょこちょこ見に行きたいと思います。

 

・・・ほんとにどうするんだコレ・・・?