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『腸よ鼻よ』5巻感想~潰瘍性大腸炎闘病記。国家指定の難病&人工肛門になってなお、これほど陽の気を放つ漫画家を私はまだ知らない~

こんばんは、おなかがちょっと弱めなこと以外はたいてい健康な中山です。

 

今回は「おなか痛い」の中でも最強クラス、国家指定の難病「潰瘍性大腸炎」(元首相もそうだったやつ)を患った超ポジティブ漫画をご紹介します。

 

 

自分の人工肛門で笑いを取る、あまりにもおおらかな闘病漫画は暗さが1ミリもないッ

 

 

あらすじと感想をご紹介します。

 

『腸よ鼻よ』

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 島袋全優『腸よ鼻よ』5巻株式会社KADOKAWA2021年 より引用

 

 

【あらすじ】

 

島袋全優、沖縄出身の漫画家志望の少女。

 

マンガ養成スクールに通いながら、学費のアルバイトに精を出す日々。

 

あまりのハードワークに、最近トイレに行くと血が出てるけどまだまだ平気!

ごはんを食べたら吐いちゃうけどこれからバイトー☆

 

というノリの果て、限界状態で通院したらそのあとが人生ジェットコースター!

 

  1. 難病通告
  2. 漫画家デビュー
  3. 入院しながら原稿
  4. 大腸切除、人工肛門デビュー

 

あまりにも破天荒な一人の漫画家の10代後半の闘病記。

 

【感想】

 

とにかく明るい・・・ッ!

 

舞台はほとんど病院。

 

マンガ編集部にその才能を見出された全優先生は、原稿のやり取りをしながらもその実態は病院のベッドで点滴につながれている。

 

これだけ聞けばどれほどまでに苦難の生を・・・とうっかり涙しそうになるも、全優先生はとにかく明るい。

 

そもそも、本作は闘病エッセイではなくギャグマンガ

 

ベースは全優先生の闘病実話なものの、ところどころに創作ギャグが挿入されています。

 

特にお世話になっている医療関係者、そして仕事相手の漫画編集者のキャラを特濃に設定。

 

挙動不審のイケメンヤブ医者やシルエットがエヴァンゲリオン(?)の編集者など、難病持ちの全優先生に負けぬ濃いキャラが自己主張してギャグが渋滞気味。

 

決して自虐や強がりではなく、全優先生には世界がこう見えてるのかなと思うような・・・アッパーな世界観に浸れます。

 

闘病モノの漫画って結構好きで、『失踪日記』『さよならタマちゃん』『人間仮免中』『うつヌケ』などなど、色々読んできたつもりですが・・・

 

これほどの陽の気を放つ闘病モノはなかなかお目にかかれません。人工肛門なのに!

 

 

とはいえ、この度新刊が出た5巻では大腸を切除、大腸壊死の危機に見舞われ、(本人ではなく)家族がガン泣きするシーンも垣間見えます。

 

それでも人工肛門ストーマ)のやり方を教えてくれる看護師は、なんか変なお面かぶってるしテンションおかしいし・・・

 

難病モノで、感動の涙じゃなく「元気になれる」という・・・謎の読後感をぜひ。

 

(あと腸に優しいレシピがいたるところに載っているので、腸が弱いヒトにもおすすめだよ)