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『あなたはブンちゃんの恋』感想~依存して干渉しあう、激烈な痛みの恋。ある意味でジェンダーレス恋愛の極北~

 

こんにちは、エンタメには痛みを求めたくなるほど平和な毎日を送っております。

 

というわけで、本日は心から血が噴き出すような恋愛マンガをご紹介しますね。

 

恋も、依存も、嫌悪感も、自己否定も特盛。

 

それでも恋しないわけにはいかないんだろうな、と脳みそを叩き割られるような漫画です。

 

そしてあまりに強い負のパワーの前に、ジェンダー観とか軽く吹き飛ぶ凄みを感じます。

 

 

あらすじと感想をご紹介します。

 

 

『あなたはブンちゃんの恋』

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『あなたはブンちゃんの恋』宮崎 夏次系 講談社 より引用

 

 

【あらすじ】

 

ブンちゃんはクマのぬいぐるみパスケースをバッグにつけた、かわいい女の子。

 

ブンちゃんは幼馴染の女の子、三舟さんが好き。

 

ブンちゃんと三舟さんは毎年、昔死んでしまったシモジのお墓参りに行く。

 

ブンちゃんのパスケースには、死んだシモジが宿っている。

 

三舟さんはシモジが好き。

 

ブンちゃんは苦しむ。

三舟さんを諦めたくて、忘れたくて、色んなことをする。

でも三舟さんが好き。

 

シモジは苦しむブンちゃんが好き。

 

 

三人はいつまでもともだち。

そしてみんな苦しむ。

 

 

依存なのか恋なのか。苦しみを捨てようともがく女の子と、冷たい観察者と、1人で変わっていってしまう女の子の激痛三角関係。

 

【感想】

痛すぎる恋愛の前では属性など軽く吹き飛ぶ。

 

ブンちゃんは端的に言って「イタイ」女の子。しかも超特級の。

 

三舟さんへの恋愛と依存心を区別できていないし、自分が苦しいからってバイト先の同僚に疑似恋愛を持ちかけて利用しようとするし、救いを求めて突然グリーンランド(!)に旅行に行ったりする。

 

その結果、三舟さんのことも大いに傷つけるし、バイト先の同僚の恋心も踏みにじるし(マジでヒデエんだ)、遠くグリーンランドでも人に迷惑をかける。

 

 

でも一番厄介なのは、ブンちゃんが自分がイタイことを完全に理解していること。

 

だからブンちゃんは「自分を壊す」ために努力する。あまりに苦しいから自分を壊したり、自分の恋心を壊したりするためにいろんなことにトライする。

 

それでもブンちゃんは三舟さんが好きであることがやめられない。

 

そんなブンちゃんに冷酷な合いの手を入れるシモジの霊。彼も恋の三角関係の一端であって。

 

また、三舟さんも変わる。一見明るく見える彼女も、壮大な依存心を抱えている。

 

三人は、誰かが変わることを許さない。

 

全員、現状のまま苦しんでいないと許されない。

 

しんどい・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

と、まあ、すさまじくしんどい恋愛のマンガではあるのですが。

 

 

野暮なこととは思いますが、ブンちゃんは女の子、三舟さんも女の子、改めて確認するとこの漫画は同性愛です。

 

でもなんつうか、同性の恋愛だからどう、っていう感覚が一ミリたりとも起こらないんですね。ブンちゃんたちの負のパワーが強すぎて。

 

幼馴染の三人のうち一人が死んで、残りの子の女子が女子に片思い。これだけで1作品きっちり描ける題材です。

 

でもそのテーマは前座に過ぎません。

テーマ、というかこの漫画のだいご味は「登場人物全員が濃厚に依存しあい、メインの子が『あの手この手で自分を壊す』ことを眺める」という・・・

 

このエグみの前に、属性のことなどすっかり忘れてただ震えるばかりです。

 

 

ある意味でジェンダー恋愛のナチュラルな形と言えばそう・・・なのかもしれない。

 

 

 

 

エグイ、つらい、しんどい。

そんなジェンダーレス恋愛マンガ。

とてつもなく重く、冷酷で、それが面白いんだから漫画ってのはすごいものです・・・・・

 

ところで今更ですが、霊が三角関係に混ざってくるファンタジーでもあります。

でももうそんなこと気に掛ける余裕はありません。エピソードひとつひとつが致死量。瀕死ですから霊がどうとか些末なことです。これもまた『あなたはブンちゃんの恋』の凄み。