このエントリーに書いた感想は以下の5件。
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『しょうもないのうりょく』
平凡な世界、平凡な日常、ただし現実と違うのは「この世界の人たちは皆、なんらかの【しょうもない能力】を持っている」こと。
書類をピシッとできる能力、食べ物のカロリーがわかる能力、猫に好かれる能力・・・
ちょっとだけ楽しいけどしょうもないSF(スコシフシギ)漫画。
しかしこの作品のキモはそこじゃないんだッ!
会社でワイワイ「この人はこーゆー能力でー」「私はこーゆー能力欲しかったー」なんてだべる、このホワイトで平和な職場環境!!!
この会社環境を見つけること、しょうもないどころかとてつもない能力なんですけどッ!この会社紹介してッ!!
平和な生活を擬似体験して夢見る作品としていいですよ。。(血の涙)
3巻完結。終わり方がSF(スコシフシギ)タイプの作品としてだーいすきな終わり方なのでそれも嬉しいのです。オススメだよー。
『月刊アクション 2022年9月号[雑誌]』
新連載『星天のオルド』
架空の古代大帝国の帝国の皇帝になったのは、抜群の性技を持つ遊び人!風来坊の彼は後宮で「鼻つまみ者」になれば皇帝の座から降りられると、後宮で【大暴れ】することを決意する・・・
まあエロなんですけど、中国〜中央アジアらしき設定が楽しそうな架空時代モノ。まあエロなんですけど。月刊アクションはどうやっていろんなことをすり抜けているのか分からないくらい直球なんだけどどうやってるんだろう。私はいつも『つぐもも』について悩んでいるんだ(お好きな方(遠回しな言い方)はどうぞ)
あと『小林さんちのメイドラゴン』タイトリングの作品が5作品同時連載しており、いろいろ不思議な雑誌だ・・・
『言葉の獣』
ことばが獣に見える同級生がスケッチする「ことばのけもの」と、詩の美しさを愛する同級生のつむぐことば。
言葉の樹海、Twitterで二人はことばを見つめる。
ことばとは、美とは。
「美学」という学問はあって、ただもうマジのマジで哲学ジャンルなので一般人はちょっと手を出しづらいアレなんだけど(美の本体は別次元に存在する・・・みたいなね)、本作は哲学的ながらもファンタジー動物の造形が美しいし、題材がTwitterだしとすごく身近。
ことばの美しさや暴力性を漫画で堪能する知の冒険。
(ちょっとここから美大生マジモード)
学問の「美学」では、ギリシアの哲学者プラトンが「美はイデア界にあるイデアを模倣したモノ」と定義したことがあって、これは時代と共に打ち崩されていくのだけど、『言葉の獣』はそのイデアがケモノの姿をしてるのかもな、というよりむしろ現実にある言葉って、「言葉の生息地」のケモノが言葉になってるってことなんじゃないか、なんて楽しい思考の迷宮に迷い込む。
一方、薬研の「天然の詩」って概念は鶴見俊輔の「限界芸術論」、訓練されていない野生の芸術の概念に近い気がする。
東雲は議論を重ねて作り込まれた美の世界を見ていて、薬研は大衆から芽生える美の世界を見ている。
『言葉の獣』漫画そのものも、東雲の世界観オンリーだとふわっとしてとっつきづらいのだけど、薬研がTwitterを持ち出したことですごく手触りのあるモノになってる。
構築された美の世界と民衆から立ち現れる美の世界。その2つが出会う場所、それが『言葉の獣」の「言葉の生息地」なのかもしれない。
『片喰と黄金』
アイルランドの大飢饉(ジャガイモ飢饉)の地獄を経験し、二度と飢えない暮らしを求めてアメリカゴールドラッシュを目指す少女の歴史ロードームービー。
史実関係が気合が入っていて、酷薄なリアル(飢饉の地獄、アメリカにおけるアイリッシュ差別、アメリカ先住民迫害)が本気なのにエンターテインメントととしての味付けもうまくて最近のイチオシでございます。
最新話まわりはアメリカ先住民迫害・・・摩擦の話。
監修もしっかりついていて、その方の著書も読んだことがあるのだけど、こう、一筋縄でいかない、白!黒!とはっきりつけられない、でもどっちが悪いかって言ったらそりゃ圧倒的に白ではあるんだけど個人レベルで言うとうーん、みたいなセンシティブな部分を描いていてくれていろんな意味で手に汗握る。ちゃんとエンタメになってるから面白いよ!気負わずぜひどうぞ(1話目のインパクトでうおおーってなったならもうイケるはず)
『リバイアサン』
とある破棄された廃宇宙旅客機。
荒廃した機内にあった日記には、当時の乗客がひとり、またひとりと死んでいくミステリアスなサバイバルが克明に記されていた・・・
同人誌→フランス先行発売→ジャンプラ掲載という異色の経歴の作品。
同人誌1冊ということなので短期集中連載という形になるのか。
横に読ませる吹き出しと重厚な紙面にバンドデシネ(主にヨーロッパの漫画)を感じさせたり。
動きが少なく、絵画的なコマ内も好まれる感じなのかな・・・ちょっとここは海外マンガに詳しくないのでピンとこないところ。