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『フールナイト』※漫画の感想 あまりに生々しい給料額に泣け

 

貧困ディストピアSF。

 

暑い雲が世界を覆い薄暗く植物が育たないため酸素が薄い。福祉は崩壊し格差が著しく、貧しい者のセーフティネットとして「転花」という制度がある。


転花は体を植物にする手術である。手術を受けた者は2年ほどの時間をかけて植物化して酸素を吐く。人としての死だが貧困者は転花に群がる。なぜなら死と引き換えに1000万円が給付されるから
・・・

 

 

抜け出せない格差を舞台にしたディストピア。主人公の給料が工場勤務月9万円、DVのある貧困家庭の世帯収入300万円などあまりに手触りのある額が薄寒い。

 

人の命を金に変え、倫理観の底をぶち抜きながら、貧困から生まれる原始宗教、転花反対者の政党などあまりにも「今」なSF。

 

カラーも綺麗で不穏。薄暗い(明るいのにカサカサした)グリーンに赤がポイントづかいされる1話目表紙で、この作品のテンションが窺い知れると思う。

 

すごくおすすめのSF。まだ5巻、追いつけるのでぜひどうぞ!