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『大砲とスタンプ』※漫画の感想~架空ソ連の兵站部隊はスチャラカサラリーマン&ビターな味わいで

 

著者:速水螺旋人
出版社:講談社

 

『戦争は女の顔をしていない』(監修)『いまさらですがソ連邦』など、ソ連への深い知識で知られる速水氏はミリタリーとSFの漫画家。

 

大砲とスタンプ』は架空のソ連にて兵站部隊に配属された女性少尉マルチナの物語。


架空ソ連だけあって、賄賂・ごまかし・書類改ざんにまみれたグズグズ兵站を生真面目・実直・すぐ怒る「突撃タイプライター」マルチナ嬢が真っ正直に正・・・せないコメディ。

 

ソ連のザルな兵站管理を「だらしないサラリーマンもの」に置き換えるアレンジ、また速水氏のかわいい絵柄でふにゃふにゃ笑えるコメディに仕上げてある。恋ありソ連エスニックジョークありで盛りだくさん!


しかし9巻すべて読み通すと、その強烈な戦争の負のイメージ、幸福に終われない苦みが突き付けられる。


サラリーマンが戦火に薙ぎ払われるとき、それはとても脆弱で。

 

また、女性管理職が登場するのもソ連ファンタジーならでは(もちろんそこにガラスの天井はあるが)