漫画のことと本のこと

漫画好きが読んだ漫画や本の感想を書くブログです。

4/15週に読んだ漫画感想(漫画15件&漫画ニュース1件)

 

 その日読んだ漫画や本の雑感をまとめておくエントリです。

 

 リンク切れや無料期間公開終了などご容赦くださいませ。

 

 本日は漫画15件&漫画ニュース1件の感想です。

 

 

 

 

【comics】

 

『ここは鴨川ゲーム製作所』

honto.jp

 

「ありふれた」大人が集まって、ゲームを作っちゃわない?
ヨウちゃんの思いつきをキクちゃんが聞き、キクちゃんの奥さんの友だちのカナデさん、カナデさんの飲み友達のホーライさん、ホーライさんの元職場の人のサイさんが、

輪が繋がって、何かができる。みんな何かを抱えているけど、それも話しながらゲームを作ろう。

穏やかで楽しい時間を共有しながら、ひとりひとりが抱える問題がさらりと出てくる。

ADHD、夫婦関係、女性にある格差、同性婚、元夫とこどもとの関わり、

みんななんか持ってるのが「ありふれた大人」というの、納得感がある。

で、「集まって何かを作る」ことについての感想。
わたしは過去に演劇をやっていて、、
ひとが集まって何かをする時の人間的なぶつかり合い、爽やかなものではない・・・とイヤな学習をしてしまっているのだけど、

先日、DV加害支援団体で「ジェンダー(ここでは「作られた男性性」)から暴力性を剥がすことを目指す」と言っていて、

わたしが学習してしまった「集まってなんかやるとドロドロんなる」ってやつからも脱却する方法がありそう、それにはむしろ「事情を当たり前に抱えてること」のがいいかもしれない、とか思ったり。

 

 

ヤングマガジン2024年20号
『税金で買った本』

 

好奇心いっぱい、本好きヤンキー石平くんが、バイトを通して覗く「図書館お仕事マンガ」。図書館の運営や司書あるある、考えてみると結構珍しいお仕事モノ。

 

今回は「豪華な装丁の本の外箱どうするか問題」。答えは「捨てる」!嘘ん。。!!


ただ捨てるではアレなので、この図書館では独自の施策を行なっております。他の図書館でもやってんのかな?

 

マッチョ司書、白井サンの西尾維新のこだわりが丸出しになる回。白井サン普通にオタクなので頼れる。

 

ヤングマガジン2024年20号

パリピ孔明

孔明が現代に転生し、始めたことは「アーティストのプロデュース」?孔明の知謀がポップシーンを変える。

 

孔明、幼稚園を救う決意をする!
ええと、アーティストのプロデュースになんの関係もなさそうな話なんですけど、「プロデュースしてるアイドルがオーディションを受けるアニメ主題歌プロデューサーのこどもが入ってる園」なんですわね。寝技〜!

もちろんマンガなので、たまたま園の隣の時に地上げ屋が来ていて・・・・みたいな状況ではあるんですけど。

 

でもなんか避けらんないですよね、どんなアーティストだって家庭を持ったらその環境は気になるじゃないですか。
賄賂とか別な仕事を融通、っていう、本人に関わる話になると汚いな〜って思うけど、あの、「バリバリやれてる自分以外の関係者の幸せを願う」の、この国ダメなんで。あのさ、丸の内オフィスでバリキャリやれてて本人の権利は守られても、介護や保育で潰れざるを得ない、そーゆー国なので

 

直接的なワイロより、介護や保育を押さえる方が金持ってる人たちには効く、というの、賛同しますわね(寝技〜ッ!)

 

 

「[第96話]ラーメン赤猫」

shonenjumpplus.com

 

今日はラーメン赤猫の失敗の話。
おれ、もうすぐ復職だから(イヤだな。。)、赤猫読んで頑張る。きっと赤猫みたいにみんな程よく厳しく程よく優しい。たぶん(暗示をかける)

 



『ミサンガルート』

※リンク先音が出ます

gamic.konami.net

 

KONAMIとジャンプラのタイアップ。
新作ブラウザゲーム『ORE’N』の主人公を据えて、なんと

「ボイス・曲が出る」のみならず、「選択肢で物語が変わる」というプロジェクト!

 

っへえ〜!!面白いッ!

でもオレだめッ(いきなり!!)

 

いやごめん。。わたしが漫画に求めてる最大のベネフィット、「自分で読むスピードを調整できる」なので、テキストを読み終わってるのでスワイプするとボイスが途切れたりしてノイズ!!

 

試みとしては面白いし、この方向が進むと色んな可能性があるのでじゃんじゃんやってほしい!読める人はぜひ読んであげてほしいぜ!

 

作画は『約束のネバーランド』の出水ぽすか氏で、漫画も描けるしイラストの止め絵も熟知した安定の職人技。ぽすか絵が見たい方にもオススメです。

 

いやあ、ジャンプラ、面白いことするなあ・・・・

 

「[第148話]ダンダダン」

  

shonenjumpplus.com

 

迫力の超画力!!!オノマトペ(ここでは「音の書き文字」のこと)を排して絵だけで表現するハイパーな表現力とオカルト&ラブ💖

 

ダンダダンは一応オカルトなので、こどものころに流行った(いつの、とは言わない、なんとなく流行った、というぼんやりしたもの)都市伝説みたいなものを敵に据えてくるんだけど、その動機がイチイチすごく明確に現代の貧困を基点にしてるのがすごくいい。

 

このクリエイターの作画力でごまかしなんて効かないけど、誤魔化すつもりもない。毎回毎回、明確に貧困からの憎悪と、現代に生きるこどもたちが共感するところの弱いところを突いて取り込もうとする。ヒジョーに良いですねえ

 

[拷問227]姫様“拷問”の時間です

shonenjumpplus.com

 

のんびり&やさしいせかい。拷問と言いつつすてきな世界の広がる、ジャンプラ随一のほのぼの漫画、本日も更新。

 

うアッ、こどもの・・・卒園の話ダア・・・

ものすごく上手い。。。。涙ッ・・!!!

 

さすが春原ロビンソン(原作者は幼児向けマンガの原作も担当している)。おっさんおばさん世代に向けて仕掛けてくる。。

 

(なお、現実の幼児たちはここまでエモみはないことが多いです。うちの子の卒園式、こども全員ゲラゲラ笑ってました。それもまたヨシッ)

 

「[その38]放課後ひみつクラブ」  

shonenjumpplus.com

 

学園のひみつをミッケするギャグ漫画は、テンポの速さが最高のウリ。卓球の速さでコマを埋め尽くす吹き出しを見ろ!

 

火曜日は読むものが多いんだよジャンプラは。

 

今回のひみつクラブは学内の宇宙研究機関へ。二つあるうち、片方はソ連、片方はアメリカを模していて70年代の風を吹かせる。もうロシアにそんな科学力はないの。。(悲しいネ)

 

そういやあ、宇宙飛行士の漫画『宇宙兄弟』のムッタは1993年生まれ(ドーハの悲劇生まれ、というのがキーワードになってる)。

2025年に31歳になり、昔の夢を思い出して宇宙飛行士を目指し、兄弟で月の土地を踏むという話なんだけど

 

現実の世界情勢を見るに、残念だがムッタは来年、宇宙飛行士を夢見ることは難しいだろう。徴兵の匂いすらしてきた2025年に、求められるのは宇宙飛行士じゃなくてドローンの操縦者だろう。。

 

宇宙開発と進出をテーマにした『MOONLIGHT MILE』は、宇宙開発をアメリカと中国の政治闘争の狭間で描いていて、こちらの世界なら現実味があるかもしれない。月の土地争いのための国家間のいがみ合い。



『ボールアンドチェイン』

shuro.world

けいととあや、2人の物語が交錯する。

けいとは結婚に乗り気じゃないのに、付き合っている耀司にグイグイ進められている。
あやは成長したこどもも手が離れようという頃、夫が不倫していることをずっと黙って見ている。

苦しいふたりが歩む、その軌跡は幸せに繋がってるんだろうか。

 

この漫画、おしゃれでイケイケなひとりと太って節目がちなひとの、本来交わらない2人の話が交互に語られるのですが、オレが感情移入するのはやはり後者、「いい奥さんだった」あや。

あやさん、若い頃からイケてない感じかと思ったら、ホントはすっごくカッコいい働き方してるって話で(2話では18歳あやさん素朴ガールだったが大学でなんかあったんかな)

 

でも、、
デパガでバリバリやって夜の商売で男あしらいもうまかった人が、
体の不調と育児で市場的な働きはできなくなって、いわゆる「主婦」の生活に最適化するってこと、
たった20年前でさえ、今みたいに保育園も充実してない、買い物もスマホから配達してもらうことのできない状況で、
タバコの煙と一緒に「(いい奥さんになりそうとか)ダサすぎ」って言ってた人が「いい奥さん」になること、

おれ、眉毛の間にぎゅーっと皺が寄ってる、今。

 

 



『線場のひと』第10話 橋本ハル1948年

to-ti.in

 

戦争という巨大な構造暴力の下にも、細やかな個人の感情が消えるわけもなく。
ナショナリティセクシャリティ、バックグラウンド、「あの時代にいた人」が全て同じなわけがない。
インターセクショナリティ(差別の交差性)は、どんな暴力下でも顕現する。

今回から開き方が左から右向きになった本作。広く読まれるといいな。

1948年にアメリカで日本人が暮らすということ。
1948年、歴史の上で言えば東京裁判の年。第二次世界大戦終結3年後。

日本もそれはそれは悲惨で、飢餓者にあふれ、エンゲル係数は60%を超えていたという(昭和24年度経済白書9ページhttps://www.mhlw.go.jp/toukei_hakusho/hakusho/roudou/1949/dl/05.pdfより)(ちなみに現代だと30%以上はかなり厳しい状況とみなされる)

 

この漫画を見るに、アメリカで暮らすときにそのような生活の貧しさはないように見えるけど、ではそれが素晴らしいことか?・・・ということはこのマンガを読んで考えるべきものだろうな、と思う。

 



『キルニル~先生が殺し屋って本当ですか?~』

www.sunday-webry.com

その孤島には殺し屋を養成する女子校があった!?その名も必斗萬(ひっとまん)女子高等学校!!
教師全員が殺し屋である「ひと女」に今年赴任してきた1人の教師、武石。彼こそは伝説の殺し屋・・・に勘違いされた単なる教師!!殺し屋アクションシットコム、開幕ッ!

 

「いまどき、どーしよーもない勘違いシチュエーションコメディ」はいらんかね〜!!

 

わたし、この作者さんが好きでねえ。。前作は講談社の掲載媒体が休刊になってしまったんだけどまあ面白くて。。顔芸がものすごかったんですヨ、ただちょっとシャレにならないくらいエロく勧めづらく、ただエロさも面白みのうちというか、エロいから顔芸がさらに面白いというか、なんかビールからアルコールを抜いちゃうのは嫌だみたいな、ノンアルも最近美味しくなりましたね(最後余計な情報)

 

で、小学館で仕切り直した本作はやっぱりどーしょーもないギャグ漫画なんだけど、アクションにメッチャ力入ってて、日本刀の使い方とか惚れ惚れします。やはりエロができる人は体の描き方も上手いのか。

 

あとやっぱり少しエロはいれてくるかもしれません。そんな予感がします。

 

【第50話】作りたい女と食べたい女

https://comic-walker.com/detail/KC_002798_S/episodes/KC_0027980006600011_E

 

ごぞんじ、ガールズエンパワメント漫画!!

 

今回はやこさんがヴィーガンの話をするよ!

わたしはヴィーガンのことはあまり知らないのだけど、普通に胃が弱り始めてるので週に何回か菜食にしたいんだよね。。刺身こんにゃくと納豆と具沢山の味噌汁とかで夕飯終えたら楽だろうなって(ヨワヨワ)

 

西洋由来の概念って細かく分けられてたり定義がカッチリしてちょっとひるむけど、西洋学問が分析・分類・アーカイブ(そして検証・批判・改良)みたいな言語化・要件定義がガッツリした文化圏なんでそーなるのかなって。そこには歴史や手がかりがあるので面白いです。


東洋は定義とかフワッとしてる印象で、空気読むのが苦手な民だと西洋アプローチの方が安心したりもするっすネ

 

今年「部門」を廃止、小学館漫画賞を通して考える「マンガ賞」の現在とこれから(コミックナタリー)

natalie.mu

 

これは漫画の感想じゃないんだけど、ニュース枠として。

ついに小学館漫画賞少年マンガ部門とか少女マンガ部門とかの区切りがなくなった様子。

あとは確か『このマンガがすごい!』が「オトコ編オンナ編」ってなってたはずだけど。いつ終わるのかしらあの区切り。

正直、意味がわからなかったからね。。『きのう何食べた?』はどっちに入れるとか、『7SEEDS』はマジでオンナ編でいいの?ホントに?みたいな。

男女ふたつに分ける意味も無いし、年齢で分ける意味もない。そもそもそーゆーもんじゃんサブカルって。

 

男と戸籍に書かれて男からはみ出し、
女と戸籍に書かれて女からはみ出す。

それがなんなのかは分からない、でもエンタメの中では常識のくびきから離れて固有の特性を打ち出すキャラクターがいる、

マンガってそーゆーもんだったはずなんだわよ

 

 

4/8週に読んだ漫画感想(漫画5件)

その日読んだ漫画や本の雑感をまとめておくエントリです。

 

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本日は漫画5件の感想です。

 

 

 

 

 

【comics】

『ケントゥリア』

 

shonenjumpplus.com



100人の奴隷の乗った船。101人目の奴隷として殺されそうになった少年は、妊婦をはじめとした奴隷たちに生命の意味と尊厳を教えられ、あたたかな気持ちを取り戻す。
しかし世界は残酷にうねる。悪魔は船底から生贄を待っている。

 

ジャンプ+のダークファンタジー連載開始。
美しい絵柄とハードな物語。生命の選択。

 

・・・ロマンシングサ・ガ2だ!!!(30年前のゲームを高らかに叫ぶ)

 

個々の命と能力を託され、選抜され生きる。選択と集中


ロマサガ2はその残酷な選択で人間を強化し、神にも近い敵を上回り打倒しようとするファンタジーだったけど、『ケントゥリア』では力を持ったあとの目的はまだない。

 

1話目でがっつりエモーションを物語るつかみ。悲劇であることはもはや不可避。

 

あとはハガレンの「賢者の石」とかメイドインアビスのボンドルドカートリッジなんかもイメージが近い。こう・・・シューティングゲーム等の「残機」に近い考え方で、ゲームを想起させる設定だなと。

 

ある意味で蟹工船ぽさもあると思う。ロマサガは選び抜かれた生え抜きの戦士たちが統合されていくけど、『ケントゥリア』では弱さのある命が統合された。命たち個々の都合がぶつかるようならそれは民主主義なんだけど、どうなるかしら。

 

 

「[第95話]ラーメン赤猫」

 

shonenjumpplus.com

 

ラーメン赤猫は猫がやってるラーメン屋。味がいいのはもちろんだけど、やっぱり猫店員は人気者。だからこその不安要素もあって・・・?

 

今日Twitterで「推しお笑い芸人に凄まじい粘着をするファンの無意識ブログ」というものが回ってきたので読んでみたらはちゃめちゃに怖くなり、人間は怖いなと思っていたが、

ラーメン赤猫はその辺りについて慎重に慎重を重ねていて、というか赤猫全体の労働や個人の考え方全部がすごく良くてこういう個人店で働きたい。(ラーメン赤猫世界は猫が人権を持つために試験や面談で認定する制度があるので個「人」店で間違ってない)

 

『豪雨を待つ』

to-ti.in


クラスメイトに告白するチャンスを探している女子高生、運頼みで生きてきたガンマン、漂流中のクルーザー、日照りに苦しむアフリカの民…誰もが豪雨を待っていた。
同じ願いのもと、混じり合う果ての物語は誰のものなのか。
https://to-ti.in/story/go-u1トーチweb2024/4/10 18:40参照から引用)

いいですネッ!
混在する世界観、失くしてしまった目的、個人個人の都合。分析されシステム化された教育、それによって手に入れることのできなくなってしまった・・・「突然の豪雨」

いいじゃんいいじゃん!!わたし、好きだよ!!

ネタに踏み込むので文字色反転しますヨ!読みたいようなら色反転させるかどっかにコピッて読んでね。

 

作中、豪雨を待ついくつかのグループがあるんだけど。

わたしは豪雨って、「とつぜんの作中ミラクル」・・・だと思ったんだよねえ。

高度にシステム化され、要素を分析されてしまったがゆえに、もう生まれてこない「創作者も予想しえなかった作品の化学反応」。

百合漫画も、決闘物語も、孤立サスペンスも、もうすべて語られ尽くしてる。作品を混ぜるくらいもういくらでもやられている。

唯一、夢を見た古代の男だけが豪雨を見つけに行こうとする、そして結局、現実を知って「豪雨」を待つことになる。

ココでェ~~~~、
おれなんかは、「作品に豪雨を降らせることはできるんだぜ」なんて思ってしまって、
それが現実。現実に転がってる差別や悲劇、批判、叫びは、作品に豪雨をもたらすぜエ。

・・・とまあ、現実を持ち出すのは「技術としての創作」を追求する人からしたら、手元のモンでなんとかするのは怠惰って思われるかもしれない。知らんけども。

豪雨ね・・・

気象異常を待つ感じは日本ぽいかもしれないですね。硬直化して乾いちゃった、俺たちの世界を暴力的でいいから潤してくれって。

どうかな。他の人にはどういう風に読めたかしらね。

 



『ハブ・ア・バッドメモリー

 

ynjn.jp

 

ふたりはすごく血が出たので病院に来ていた。そんな再開。そこから語られるつらい思い出。


「そんな思い出なら持っていない方が良かったんじゃないかな」
苦い気持ちが新たに再生されていく青春物語。

 

アッ、読んでください(直球のオススメ)
これ、いろんな角度から感想が出ると思うンで、おれの得意ジャンル「発達障害界隈」の目線での感想を。

 

南部君は明らかにASD様のコミュニケーションや生活テンポの違和を抱えているように描かれているけど、その説明はもうテキストでされないのはすごくいいっすね。「その辺にいる」ってことでしょう(おれもそう思うぜ)。そしてシームレスにつながる南部君の得意と素敵ラストシーン!もう!こんな青春おれ知らない!!

 

これ、そのまんま映画にできるだろうなあ。冒頭の、ふたりとも流血しているシーンとか、ラストシーンとかめちゃくちゃ映えますやん。その時のフォントは流行りの青春映画っぽいやつじゃなくて「作中に出てるやつ」で頼む。

 

「結婚まであと○センチ。」

shonenjumpplus.com

 

愛島かなめと湊総司。
幼い2人は将来を誓い合った。「強く大きくなって君を守る」

2人が誓い合った。

 

そのため、2人とも大きくなった。特に愛島かなめ17歳は身長230センチの規格外のデカさの乙女に!!


その愛は固定観念を超える。お互いを思い合うラブラブバトルマンガ。

 

いいですネッ!!
おれはデカレディが大好きなので、かなめちゃんの発達した下腿三頭筋(かたいさんとうきん)に小さい声で「・・・ヨシッ」と呟く者です!

 

話の流れはギャグに寄りつつも完全なジャンプ少年漫画で、かつ「最後に筋肉落としまして定型な美人になりました❤️」みたいなクソぬるスタイルではないのでとっても嬉しい。絶対のハッピーをお約束。いやー嬉しい!

4/1週に読んだ漫画感想(漫画10件、本1件)

その日読んだ漫画や本の雑感をまとめておくエントリです。

 

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本日は漫画10件、本1件の感想です。

 

 

 

【comics】

「[第94話]ラーメン赤猫」

shonenjumpplus.com

 

ラーメン赤猫、グルメサイトの営業に失礼なことをされる。

 

えーと、まあかなり過去のことなんで。。


わたしはこの手の会社に都合10年ほど勤めてて(この手の会社は潰しが効くので他社間で転職して職歴的に「業界都合●年」とかになりがち)、


・・・・ありえる~~~~、みたいな(いい人もいたよ!!!)

 

猫ラーメンが無駄にならなくてよかった。ってか、ラーメン屋でキャンセルとか失礼通り越してなんかこう、雷に打たれる系のなんかがあってほしい


『断腸亭にちじょう』

www.sunday-webry.com

 

大腸ガンになった漫画クリエイター、ガンプ。クリエイターの目とペンが、闘病記に多面的な漫画表現を加える。病を表現する新たな創造。

 

病、そして死期は、例えば事故や災害で即死でなければ、人間に100%訪れるもので、
マンガという表現方法でその超普遍的な出来事を語るのは幾度も挑戦され、そしてまた新たな表現が生まれる。

 

このクリエイターは本当にプロだなあと思うんだけど、


自分に起こっている病との付き合い、これを「創作として見ること」という目が確実にあって、

 

ホントなら出てこないじゃんか。「ページをめくるように手術の日になってほしい」とか。ガチの闘病してるひと、普通に日常で、病院行った後にも体力めちゃくちゃ使うかったるい帰宅やその後のご飯、毎回死を意識する排便、そういうもの全部体に染みてるわけで、でもそれを引き剥がして紙の創作物の時間軸に置き直して。


それは創作者としてもそうだし、読者としてもそうで、「自分の体験を紙の創作物」に落とし込んだら?っていう、ひとつ違うレイヤーがある。それをきっちりマンガ表現に落とし込めるすごみ。

 

何したって辛いのに、そこからもっとも漫画表現に適した自分の体験を選んで編集して描くその冷たいまでの俯瞰。

 

「[第146話]ダンダダン」

shonenjumpplus.com

 

うひょ~~~!!

 

この書き込みこの密度・・・!  

ガタガタガタ

 

確かこの作家さん、アナログ作画だったはずでは・・・?Twitterとかで原稿用紙で描いていたのを見た気がするよ!?

 

よーーく今回の回を見て「こ、ここは(画像ソフトで)増やしたカナ・・?」みたいなところもあったけど、それ以前、それ以前に。。週刊連載なのにこれかい!?

 

腕がもげてしまわないか、月刊にした方が良くないか、こんな才能、消費してしまわないほうがいいんじゃないかジャンプよ。。。もうそのレベルで心配。でもあの、眼福です。ありがとう作画の芸術。

 

「教科書売りの少女とオッサン」

shonenjumpplus.com

 

21世紀末、経済格差は広がり、都市部中央と周縁では全く違う生活が営まれていた。
もらった教科書を売る少女ハルとその日暮らしの男が出会った。男は英語の教科書を買い、それと共に少女の時間を1時間取る。なぜなら男は元教師だから。

 

ここは19世紀のイギリスか20世紀初頭のアメリカか?いや。。もうすぐ直前に見えている日本だ。。。。

 

教育をフックにした希望と夢の広がり。ネットに蔓延する「勉強するとか意識高い」という冷笑を、素直に真面目に相手にしない姿勢が清々しい。

 

「教師になっても残業まみれな上に残業代もない」というクソみたいな吐露に英語だけじゃなくて労働法で殺せ!!!と念を送るわけだが、現実の本邦はこの前スクールカウンセラーを有償ボランティアにした(=労働者の権利を主張できないのでは)ので21世紀末にはもうなんの手出しもできないのかもしれない。(今はまだできるからね!!)

 

それにしても作中、英語の教え方が上手いですね?これで末尾「able 」の使い方を覚えたぞ!


英語を教えることが少年マンガの「修行」ターンになってて、そうだよなあ、勉強って修行して強くなるもんだよなあと・・・

 


『父子家庭はじめました 第26話(最終回)』

note.com

 

漫画家、渡辺電機(株)、父になる!


アングラギャグ漫画クリエイターが結婚したのはシングルマザー。ステップファミリーとしてスタートを切ろうとしたが、いろんなことがきっかけで小学生の娘と二人暮らしすることに。どうすりゃいいんだ!?えっちらおっちらパパ街道エッセイ。

 

渡辺電機(株)氏、61歳ということなんだけど、Twitterでもほんっとにお父さん業を頑張ってらっしゃるなあと(腰に気をつけて・・・!)


あんまり氏を知らなかったけども、絵は可愛くても元々はかなり尖った作風だそうで(調べてはいない)、60代ということであれば80〜90年代の、露悪的なサブカル時代の人だと思うけど、いわゆる本邦の男性をいろんな意味で縛る呪い・・・「有害な男らしさ」というものは見えず、とにかく子乗せ自転車で爆走する姿がずっとずっと描かれていた。


お菓子で気を引き、タブレットを渡して仕事をし、不登校気味の三児の世話を焼く。そこには生活があって。


カネや承認欲求ではなく生活にフォーカスすること、「有害な男らしさ」に対抗する方法の一つなのかもな、と思ったり。

 

モーニング 2024年18号

morning.kodansha.co.jp

 

※色々面白かったのでダイジェストで感想※

 

きのう何食べた?

最終回レベルの盛り上がりだったけど最終回じゃないの、それもまた人生ですよねウンウン(この話、単行本収録されたら早くみんな見た方がいいよ)(人生ってこういうことなのかな)

 

『二階堂地獄ゴルフ』

 

いいのか、それ、いいのか!?それやっちゃっていいのか!?

くそう、上手い!散々地獄を見せてからの「ソレ」!!(ネタバレに配慮して歓声だけの感想をお送りしております)

 

『逢いたくて、島耕作

 

相変わらず面白いな、あと1990年には「フィリピンと日本の通話料金が3分800円」って、これホントなら(ごめん調べてないので気になったら調べてみて)こーゆーの記録に残していかないと

 

 



『透明男と人間女~そのうち夫婦になるふたり~』

www.futabasha.co.jp

 

ファンタジー世界で多様性について誤魔化さずに出す漫画ですごくいい、すごく好きなんだけど、

 

視覚障害の夜香さんが点字タイプライターで事務職をこなす姿、視覚がない人がいることを当然の前提として社会構造が組まれていること、

 

また透明人間である透乃眼さんの「表情が見えない」という、視覚情報に頼る人では致命的なコミニュケーションの不足が夜香さんにはなんの障害にもなり得ないこと、

 

最新刊の5巻では夜香さんの家族が「過保護気味の家族が、視覚がない家族を視覚がないことで心配するのではなく、とにかく連れてきた彼氏!彼氏!彼氏を凝視する!」という営みの優しさを味わい

 

本当に素晴らしい思考実験SF(理想を謳うSFはあるべきだ)だと思うんだけど、

 

透乃眼さんと夜香さんの甘やかで穏やかなイチャイチャさがおれの心のやらかい所を今でもまだ締め付けるため、逆にうまく感想が言えずにいる。あの、おれ、こういうラブコメがその、好きで・・・いやあ。。照れますね・・・(これ恥ずかしいんだよッ)

 

『フールナイト』8巻

shogakukan-comic.jp

 

厚い雲が日の光をさえぎり

100年経った世界

冬と夜ばかりが続き、植物は枯れ、酸素が枯渇する

 

「転花」

 

環境問題の打破であり、同時に社会政策でもある手術。

 

それはすなわち、人間を植物に変える手術。

希望する人間に一括1000万円を付与。

代わりに2年をかけ、じわじわと体が植物に変化し、自我を失い酸素を生成するようになる。

それはすなわち、貧困者のセーフティネットであり、高所得者の酸素搾取。

 

神谷トーシローは1月9万円の給与で精神を患った母親と暮らす。徐々に徐々にすりきれて転花手術を受けたトーシローは、転花で植物になった「元ヒト」の声を聴くことができようになる。

 

酷薄なハイパーディストピア(管理社会)SFマンガ、8巻は革命勢力の真意。。。つまりこの作品における「真実」が明らかになるターニングポイントになる巻。

 

このマンガ、まさに管理社会・・・しかも「社会福祉だけを丁寧に取り除いた管理社会」で、

 

花になる手術、転花(=生命と引き換えに高所得者の酸素供給になる)が貧困セーフティネットになる最悪の設定。そこからずるずると引きずり出される、更なる貧困層集落における原始宗教の形成、政治勢力の無力さ、そして社会の枠組みを壊す大きな暴力の到来を願い作る科学者。

 

痛い、痛い・・・思考実験SFです。

 

そんでもってアクションもうまくて画も綺麗ってんだから最高です。ヒリついて、のち、アートとして受け取る。物語の大きな要素が「植物」なので、作中のいたるところに植物が出てきます。それは冷たい街の中に咲く、植生から切り離された人為的な植物。否、”人”。

 

 

 

【books】

 

『死なないための暴力論』 

 

まずはソレルやベンヤミンといった哲学者の思想、そして非暴力主義と言われるガンジーマルコムXの例を取り上げて「暴力ってそもそもなんだっけ」という定義付け。


その上で国家暴力(上からの暴力)、民衆の抵抗暴力(下からの暴力)を紹介、
また「今、うまくいってる武装革命」のロジャヴァ革命などを通して、「死なないための反暴力」について思索する。

 

上記文中にある通り、「非暴力」と「反暴力」は明確に違う。反暴力とは明確な暴力。国家が「いかなる暴力も許されません」と言う時に「でも国民を自殺に追いやったり戦争で殺されている」「だからこっちも自衛する」という構え。

 

わたし・・・

思ってたんだけど・・・

暴力反対って、そんなにおいそれと言えなくない?

暴力、手放せないよね。

 

誰かを侵略する暴力じゃなくて、身を守る暴力(威力行為)は必要。それは実際みんな思ってるやつじゃない?言論での対抗をするにしても、じゃあ上品なことばで、誰かを傷つけないように対抗することってできない。相手は必ず傷つく。それを回避することはできないもの。言論が暴力じゃないなんて思わないよ。

 

暴力を肯定することは難しい。銃社会の肯定にもつながる。

 

でもそれでも、国家レベルと民衆レベルを同等とみなして一律「暴力はダメ」とすることに疑問は持たないといけない。それほどに、国家の権力、暴力機関としての力は圧倒的なまでに強い。

 

暴力を振るわず、備えるだけにする力、それが知。

 

暴力史を分析して、どう反暴力と共存するべきか、どういう社会でなら反暴力が暴走しないか、そういうことを考える。結局はそれは、知能の力。

 

『死なないための暴力論』では、サパティスタ民族解放軍ロジャヴァ革命など、「今のところうまくいってる反暴力革命勢力」を引用して、暴力を持ちながら暴力が暴走しない社会について考えていく。

 

時間がかかる。議論が要る。出しても出しても、どこかから不満が出る。


これを国家が全部担当しているのが今で、そして残念ながら国家権力は弱者のことを顧みることは少ない。

 

暴力の是非、暴力の議論をするべきじゃないかなと思ったのが強い感想。

 

3/25週に読んだ漫画感想(漫画7件、本1件)

その日読んだ漫画や本の雑感をまとめておくエントリです。

 

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本日は漫画7件、本1件の感想です。

 

 

【comics】

 

『ミライライフライ』3話 アフタヌーン2024年5月号

 

afternoon.kodansha.co.jp

 

中国、熾烈な学歴社会で自殺者も多発する大学。ドキュメンタリーを撮りたいシュウニエン(舒念)は、教授から「北京の普通の人50人に1日でインタビュー」を課せられ挑戦する。

 

1話目では翻訳がクレジットされていたけど、今回からクレジットなしになりました。

「北京の普通の人を撮る」というアプローチで描かれるのは、北京の監視カメラの多さ、11/11の大セール、監視カメラの前にいると当局に拘束されること(誓約書で逃げた)、離婚冷静期(中国の国策。離婚を「防ぐ」ため、離婚後に複数回の書類提出を「夫婦二人で」行わないと離婚が取り消される)など・・・・

 

どこもしんどいっすね、という感想。


「漫画で社会を分かってはいけない」というのがわたしの信条ですが、「相手が見つからないなら春節に帰ってくるな、と息子に言っている」という作中高齢男性のこのムーブ、ジャパン人としてもあまりにも思い当たることが多すぎて泣きそうです。ハア・・・

↓離婚冷静期の話はこちらを見てみた。。離婚が「43%減」したそう。ど、独裁・・・!

離婚冷静期実施から1年後となる2021年の中国における離婚件数が43%減--人民網日本語版--人民日報

 

 

『ごぜほたる』

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瞽女(ごぜ)。盲目にして音楽で人を楽しませる流浪の芸人。

 

とある村で、優しい祖父と兄に恵まれ育つ少女、ほたる。明るく朗らかであるがゆえ、その視力がないことを長らく気づかれなかった。兄の態度は慮るように変わった。
祖父はある日、ほたるを村の夜の集まりに連れていく。ほたるが耳にしたのは「キラキラした三味線」。自分と同じ、目の見えない演者である瞽女の存在を知ったほたるは、自分も瞽女になることを決意する。

 

差別と自活。

 

大学の卒業制作で、瞽女をテーマにしたものがあった。自身の親類が瞽女をしていたという人の、自活を軸にした物語。それは美しい。


が、瞽女には差別の歴史もある。それは両輪で語られるべきだ。

 

が、このジャンププラスの美しいマンガは「自活の物語」を語るのだろう!アオリに「天才少女の冒険」ということばを使い、これは「強い瞽女の物語」。それを非とは決して言わない。障害者が弱くなければいけない謂れなどない。

 

おれなどの大人は、その裏にある差別の話を踏まえたい。しかしジャンプ+で読むこどもは、まずは視覚障害をぶちのめす物語に酔いしれてほしい。

 

人気が出て、「聴ける系」のメディアミックスがされるといいな。目の見えない子にヒーローを。

 

「とある実験とシカクについて」

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博士は考えた、「ロボットを生み出すロボットがあったらどうだろう?」とある惑星で無事増えたロボットたちは徐々に動きを停止する。なぜなら「ヒマ」だったから・・・
ロボットが「創作」について考える。思考実験SF。

 

こういうの大好き!!


動きはほとんどない、場所の変更もない、ワンシュチュエーション作劇。


それでもロボットのオカタイくんとキュートくんは、今までのことを回想し、地球をモニターから眺め、博士のことを思い、彼らの思考はさまざまな場所に飛ぶ。

 

ゴドーを待ちながら』って劇があるんですが、いなくなった(たぶん神様)を待ちながらグダグダしてるって話(わたしの解釈ね!わたしの!)なんだけど、オカタイくんとキュートくんは暇を克服する「創作物」をなんとか作り出そうとします。これはなんか現代的だし、あと神様がいない文化圏の人が(ロボだけど)考えそうな感じで、無いなら作る、物語を作って畏れ多くない感じがいいなって。

 

こんなにヒマだったら、わたしはどうするだろうなーって思う。あり得ない状況に自分を置いてみる、SFの醍醐味。

 

百姓貴族ウィングス2024年4月号

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北海道出身のマンガクリエイター、荒川弘。生家は畜産・農家。豪快、豪放、雄大な自然に「たまたま生かされている」農家エッセイ。

 

百姓貴族は勉強になるなー!


今回は「農家が持ってる資格あれこれ」。運転系はもちろんのこと、毒物劇物取り扱い、家畜人工授精師など、「頼むより取る方が早い」とここでもマッチョを見せつけます。脳筋、脳も筋力でいく人たちだ・・・!!!

 

意外なのは「古物商」。自分のとこで不要になった農機具の売買ができるので便利なのだとか。へー!

 

『犬』※Twitter発表

 

 

ある飼い主とある犬。朝、行ってきますと言った後、2人がまた会うことがまでのお話。

 

犬と人。

 

犬は日中、服を纏って孤独ながらもささやかで文化的な暮らしを謳歌し、

人は日中、犬のぬいぐるみをかぶって誰か(天使らしきもの)を殺し糧にしている。

犬が本を読んで自らの自立と危険な暴力性に浸っている時、人は心を殺して天使を殺す。「そんなことをしては天国にも行けないし生まれ変わることもできないぞ」と、言った天使を撃ち落とし、今日も犬が待つ家に帰る。

 

中国のクリエイターさんなのかな?

 

ちょっと信仰・・・信仰の面から見てみたいと思って、

「天国にも行けないし生まれ変わることもできない」
これって、死後天国系宗教も、輪廻転生系宗教もダメなんだろうなって。


この漫画の「人」は、死んでももうどこにも行けない。

 

でもこれって割と死後世界のない文化の人は普通というか、現世主義、、死んでも特にいい事ないから今幸せになりたい人(つまりわたし)はそれは怖くなくて、

 

で、最後に「人」は「来世は犬になりたい」って言ってて、ていうかそれって、「今」、「その犬の生活がしたい」ってことだよねって。

 

でも、「他者を殺す仕事が辞められない」のって、もうけっこう・・・「飼われて」いて

 

犬になりたいって思わなくたって・・・もう、ね。。。みたいなことは、思ってしまう。

わたしは、飼われる部分を最小限にできているだろうか。

 


『サチ録~サチの黙示録~』[第二十一話]

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地球の命運はひとりのクソガキに委ねられた!


腐敗する地球を滅亡を、天界代表の天使と地獄代表の悪魔がこどもの行動でプラスマイナス審査。ただし無作為に選ばれたこども、サチはクソガキ!なんとか良い子になってほしい天使と悪い子になってほしい悪魔、三人のほのぼの生活ギャグが今始まる。

 

サチ、今回もほのぼのとクソガキです。不摂生天使のランちゃんが風邪をひいたので真面目系のえらい人(ランちゃんの上司)がやってきて家が緊張します。

 

ウチの話しますけど、
こどもが小さい頃、偏食がキツくてトマトのパスタしか食べられなかった時期があってねえ。保育園から怒られて。知らん知らん。小林製薬の紅麹食べてないから褒めてよ(時事こすり)。そこそこ健康に生きてたら何食べてたっていいじゃん。

 

サチのクソガキぶりは見ていてほのぼのしますねえ。こどもなんてもんは大人をだましたり好きなモン食べたりしてりゃいいと思いますよ。ええ。

 



『つやを編む』

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三宅は、前の席の藤原の髪を編みたい。


妹の髪を編むのが好きな三宅。その前の席に座る藤原は、美しい長髪を持っている。ある微熱の日、その髪を美しいと思った三宅は、その日以来ずっと藤原の髪が編みたい。

 

いいなあと思って、


日常的なフェティッシュというか。生活感のあるフェティッシュ

 

フェティッシュって、極限であることが良いとされるのかなあと思っちゃって、もう異常で構まわない!むしろ社会的な視線としては忌避されるほど個人の執着が反比例して上がる!!みたいな。

 

そういう命懸けのフェティッシュはそれとして、そこまででもない、さりげないフェティッシュってものもあるんだなあ、と、世の中いろんなグラデーションがある、どの段階も良いものだなと

 

 

 

【books】

 

 

『生きづらい明治社会 不安と競争の時代』

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慶應の経済部の教授、かつ歴史学者の松沢裕作 が著者。

 

岩波ジュニア新書ということで優しい文体なんだけど、これがめっぽう内容が濃かった。

 

7章立て、明治初期のデフレ「松方デフレ」や都市の最下層労働者の貧民窟、小さな政府のウンコ似非生活保護「恤救規則」などなど、それぞれの章で明治の経済と社会施策を紹介しつつ「現在と完全な比較にならない」ことを断ってからの(誠実~!)現代社会との相似性を述べる。

 

「通俗道徳」(人が貧困に異陥るのはその人の努力が足りないからだ、とする考え方を表す日本歴史学の上での用語)が明治の社会政策の脆弱さにつながっているのではと問題提起。「じぶん、よく風邪をひくのでこういうのうんざり」というアプローチも好き。

 

さすが経済学部の歴史学者、双方の強みを活かした明治の切り方はめちゃくちゃウマいし、

 

あとこの人、ジェンダー観めっちゃ安心・・・女性は元より男性学的にもマッチョにうんざりしてる感じで読んでて楽です。慶應の教授なんて超権威なのに・・・

3/18週に読んだ漫画感想(漫画6件、本1件)

その日読んだ漫画や本の雑感をまとめておくエントリです。

 

リンク切れや無料期間公開終了などご容赦くださいませ。

 

本日は漫画6件、本1件の感想です。

 

 

【comics】

『テロール教授の怪しい授業』

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 4月、とある大学の新入生として校門をくぐった佐藤は、カルトサークルの勧誘をされていたところを「テロール教授」に救われる。教授のゼミの説明を受け、騙されやすい自分が変われるチャンスかもしれないとゼミを受講し始めた途端、教授は「テロリスト予備軍」としてゼミ生を一喝した!?「迷える騙されやすい奴」に施される「反テロリストレクチャー」!騙されないためにはどうしたら?教えて!テロール教授!

 

 「教えて!テロール教授!」・・・とかって書いた瞬間にテロール教授に「バカですねーーーーーー!!!!」って声高く罵られること請け合い、パワハラ教授テロール教授のテロうんちく漫画。豊富なテロの事例やその手口をゼミの形式でバシバシ叩き込む、知的興奮マンガです。

 

 結論から申し上げておきますと、テロール教授の考える「騙されない方法」とは「健全な批判的精神を持ち、他者を信じることと物事を疑うことのバランスを保つことが、迂遠ながらも適切」という、極めてまっとうな話をしています。めちゃくちゃまっとうですな。

 権威を信じすぎず疑い過ぎるな。自分の頭で考えろ。なので、テロール教授が言ったことを一言一句トレースなんかしようものなら教授が「バカですねーーーーーー」って言ってきますよ。そういうマンガです。

 とてつもなく高圧的で断言言い切り型のテロール教授に、過去のテロリズム事例を元にズバズバ「真実」を言ってもらうのはそりゃあ気持ちいいでしょうが、そこで「なるほど!テロール教授の言う通りだ!」ってしたらテロール教授が「バカ(以下略)

 

 それにしても教授、わたし参考文献が知りたくて本を買いましたが参考文献のっけてくれてませんでしたね、どんな感じの本でしょうか、『幼女戦記』読めばいいでしょうか(原作者の長期連載作品)

 

 


『鬱ごはん』第177話 珍しい食欲の湧き方

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 鬱野は孤独な青年。フードデリバリーを生業とし、すごく幸福でもすごく不幸でもない生活。凪のような生活に風が吹くとき、それが食事。ローテンションローリターン、低体温飯もの4ページ漫画。

 

 『ワカコ酒』と同じページ数!と書くと、季節の変わり目みたいな温度差にやられそうですが本当にそうです。ワカコ酒は「小さな幸せ」、鬱ごはんは「不幸が大きくない」。逆のアプローチで日々の幸福を綴ります。

 

 さて今回はフリマアプリを介した変な食欲の話。

 

 わたし、フリマアプリって使わないんですよ基本。ホラ、ニューロダイバージェント(発達障害)だからさあ、「ちょうどいい返信」がわかんないの。そこにカロリー取られるのすごい辛いから手を出さない。そういうライフハックもある。

 ところでウイスキーボンボンが出てきますが、そういや最近になって食べてないなあと思います。ひょっとしてバッカスとか久々に食べたら美味しいかな?
ホラ、小粒な作品なので感想も小粒ですよ。それがいいんですよ

 

『だんドーン』モーニング2024年16号

 

 

 幕末、薩摩藩。「息を吸うように人の嫌がることが分かる」、藩士川路。この男こそ、明治の警察の大警視(現在の警察長官)であり、「日本警察の父」と呼ばれた男、川路利良である・・・!

 

 今すごく面白い!面白いぞ!!

 

 元々、血にまみれた革命(江戸城無血開城なんてウソだかんね、江戸城の周りで血の海だから)で、その中の最大勢力薩摩藩を主役に据えて正義でいられるはずがない。内ゲバ、粛清、疑心暗鬼、そういうものが積み重なった先にあるのが革命。

 

 まあそれはそれとして、ごめんちょっとネタバレしちゃうんだけど、

 

 それまでオモシロテキトー薩摩藩のスチャラカ生活!(なお拷問とかは普通にエグイ)って感じだったのに、『だんドーン』のタイトルコールがあってから一転、薩摩藩の醜さ、ずるさが立ち上がってきて本当にいいですね・・・!

 

 僕は「主役交代するマンガはいいマンガ」という主張があるんですけど、まるで正邪反転したかのような主人公陣営への冷徹な批判。うわあこういうの大好き!!今後も楽しみ~♪

 

 あと、月岡芳年(残酷絵を得意とした絵師)がロン毛イケメン仕様で出てきたのでちょっと驚いた。下ネタも言う。

 

亜人ちゃんは語りたい

comic-days.com

 

 高校の生物教師、高橋は「亜人」が好き。何を見て何を考え、どう感じるのかが知りたい。

 亜人とはバンパイアやデュラハン、雪女など、過去には迫害のあった「特別な個性」を持つ人間の総称である。近年では差別もなくなり、生活保障制度も整っている。

 亜人に興味を持つ高橋は、大学で研究がしたかったものの、個人の権利の関係で却下。亜人との出会いを夢見ていたら、4年目にしていきなり新任教師と1年生に4人くらい亜人がいました。いるところにはいるもんです。高橋は、亜人(デミ)ちゃんたちと語りたい!

 

 いやこれエ・・・わたし、自分が発達障害(神経系の特性)を持ってるもんだから、その視点で見ちゃって面白いんだけどさ、

 でも完全に個人の身体特性のSF展開なんだけど、量子学でデュラハンの特性を理解しようとする奴が出てきて歯が立たないよ!(4巻)

 

 とにかく『亜人ちゃんは語りたい』、すげーSFだし、フィールドワークとしての倫理(「特性がコンテンツ化して映画化されたけどいじめられたりしてない?」って教師が気遣う社会性が!)もあるし、すごいいいのに更に「エロなしカワカワ女子高生日常もの(ただしデュラハンや雪女)」としても面白くてこれすごい漫画ね!あと地味サキュバスの佐藤先生が出てくると健全エッチになっていいですわねエッチ。

 

『じゃああんたが作ってみろよ』コミックタントvol.48

 

 

 

 6年付き合い同棲もし、レストランでプロポーズをしたが「無理」と断られた27歳の男、海老原勝男。彼女、鮎美は家を出ていき、傷心に浸る。鮎美はその頃、黒ストレートのロング、可愛らしいワンピース、完璧な料理、全てをやめて、レインボーカラーに髪を染めて自分を謳歌していた。

 「この味噌汁すごく美味しいな!でも、あと一歩だな!」
 無意識の抑圧をグーで殴打(概念)する、痛快な社会的冒険物語。

 

 この漫画、Twitterとかでもよく広告見かけるんじゃないでしょうか。本当にむかつきますねこの男(本音が漏れる)!

 ところがさすがSFの人谷口菜津子、最新話では少し趣が変わり「おれが鰹出汁を取りたかった」という海老原勝男の願いが顕わに。色々素直なやつで、昔から他人に点数つけられるのが当たり前のところで育ったんだなあ。

 一方、鮎美は全然別な場所で出会いがあったので、海老原が改心しても戻らなくていいでーす。海老原が改心すると鮎美とよりを戻すのは無関係でーす。解散解散!

 



『痩我慢の説』

to-ti.in


 静岡で医者をしている冴えない中年男。
 ある日、姪のホナミが家出してやってきた。聞けば獣医になりたいと言う。家内の忠告も聞かず、ホナミを支援するつもりになった医者と、苦学生と、フランス映画と、自由で明るい、希望のあるところ。

 

 作家、藤枝静男『痩我慢の説』を下敷きにしたマンガ、とのこと。ググってみたら写真がこの「冴えない中年医者」そのまんまで笑った。少なくとも本作品は原作者と作中主人公を近しい関係に置いている。

 藤枝静男は1904年生まれ、仕事を持ちながら作家をし、白樺派から志賀直哉マルクス主義に傾倒、軍国主義に覆われる時代に学内左翼に献金して検挙、など、戦中〜戦後までいわゆる「アカ」をやった人だな、という印象。

 この漫画の作者、川勝徳重は漫画クリエイターであり批評家。受ける評価から、大正アヴァンギャルドの流れを汲む「アートとしての漫画」を作る人かなと身受ける。

 石のように話の通じない家内、伸びやかなホナミの肢体、苦学生への言外の嫉妬、
中年医師の親しみ深い愚かさの視点が漫画で立ち上がる。

 感想は全部読んでからだなー!今んとこ、「フランス映画はエッチでいい」という戦中青年の意見はすごくいいなあと思う。エッチだったろうな

 

 

【book】

『日本のフェミニズム 性の戦い編』

 

 日本フェミニズムの歴史が知りたいと思い手に取った本。
 読む人は選ぶはず。冒頭で心折れる人は少なからずいるはずで、わたしは難易度の高い本だと思う。誰にも勧める本ではない。
 
 7人の論考、4人のコラム、2人のエッセイ、ブックガイド。そして1人のインタビューで構成されている。
 谷口真由美氏のリプロ運動の項、金子文子のことばを引用した大橋由香子氏のコラムなど、読むべきところは多く非常に勉強になる。

 特に刑法212条、中絶に懲役刑が科せられる「堕胎罪」がまだ存在している事実に驚いた。わたし自身が当事者なわけだが知らなかった。これは優生保護法により特例的に刑事罰を回避しているだけで、1972年の改定案により日本も中絶が刑事罰になる可能性があったが、ウーマンリブ運動や「青い芝の会」の反対運動があったことも知った。(現在は「母体保護法」という名称)

 自身の事なのに知らないことが多く、その意味で非常にためになった。主張の異なる著作者をアサインし、日本フェミニズムの歴史を多面的に見ることのできる貴重な読書体験だったと思う。

 

0311週に読んだ漫画感想(漫画14件、本4件)

その日読んだ漫画や本の雑感をまとめておくエントリです。

リンク切れや無料期間公開終了などご容赦くださいませ。

 

本日は漫画14件、本4件の感想です。

 

 

【comics】

 

『定額制夫のこづかい万歳 月額2万千円の金欠ライフ』モーニング2024年15号

 

 

 

マンガクリエイター、吉本浩二の定額制こづかいデフレ生活レポート漫画。Twitterにて定額お小遣い制で暮らす「こづかい超人」を広く募集。今宵もクセの強いこづかいの使い道があきらかになる・・・

 

こづまん、今回の超人のこづかい額は「3万7千円」。けっこうもらってます。その使い道はなんと「国家資格取得」!!

 

もともとスポーツマンだった超人、コロナで楽しみがなくなってしまったため適当な国家資格を取得することに(なんて言いました・・・?)


「こづかい範囲で資格取得」が目的なので、テキストは2冊まで、国家資格限定。そのおかげで複数の資格を取得し、仕事にもプライベートにも活きているのだとか。

 

この漫画・・・人類学とか社会学の範疇なんじゃないかなと思って・・・デフレとコロナと国家資格は民間より激安→中高年の楽しみに、って、社会学じゃないかなあコレ

 

あとわたし国家資格の勉強中なので「資格は2冊を厳選してやりこめば十分」という超人のことばについていきます。参考書と問題集、2冊4千円を1日2時間。心しますッ

 

「[第92話]ラーメン赤猫」

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猫のラーメン屋さん、お休みの日の一幕。
あの、、住み込みの仕事先がこんな風だったら全然働きたいですが本当に働かせてください・・・

 

1日外出録ハンチョウ(ヤングマガジン2024年14号)

 


奥さんが亡くなったあと、こども2人を育てるシングルファザーが「ふとした平日の午後に突然1人の時間をゲット」という話。

 

本当にお父さんしてる、仕事終わりにこどもたちの喧嘩の仲裁に入ったりとても気を遣って生活してるので、めちゃくちゃストレスが溜まってたことに気づいて、のんびりしたくなったって話で

 

あの、ちゃんと育児してる人だって。。ストレス溜めることが証明だ、なんて言いたくないけど現実問題不可避で、やっぱこどもを育てることに疲労感はある。「365日10年、久々に1人の時間が訪れた」って言ってるお父さんの話( ;∀;)オヨヨ

 

現実の重い話にするなら、シンママはここに「驚愕の低賃金」というヤバさが加わり、このような穏やかな日は10年に一度も訪れないかもしれない、というのは付記しておく。

なにはともあれシンパパお疲れ様っす。黒服牧田の休みに幸あれ。

 

『解体屋ゲン』週刊漫画TIMES2024年3月22日号

 

 

こどもが激痩せしていて友達の家に食べ物をねだりに来る・・・そんな子のためにオープンしたこども食堂なのに、肝心のその子が来ない!直接家に行ってみたが・・・

 

「いかにも水商売」というステレオタイプのネグレクト母親を登場させつつ、その母親の態度の背後に離婚後の別居親が養育費不払いと居住マンションのローン未払いしている問題に行きつく。連帯保証人が母親なので払い続けるor自己破産しかなく、自暴自棄になる母親像を浮かび上がらせる。

 

この漫画雑誌、明らかに男性向けの雑誌なんですけど、こういう切り口で母親を悪者にしないのすごいなと思う。


現実問題こういうケースはとても多く、男性からすると痛い話なんだけど、それでもこの媒体で描くことの痛みはそれは自己批評的だと思う(ただし相手方の別居親はオフィスのホワイトワーカーとして描かれており、媒体読者層を想定すると自己投影には少しクッションがあるかもしれない)(それでも十分な啓蒙)

 

あと、お母さんがなにか長いものを口につけていて口紅・・・??と思ったら、あれたぶんアイコス(電子タバコ)かな?タバコのトレンドが全くわからなくて、ステレオタイプのイメージに置いてかれている(でもそれでいいんだと思う)

 

解体屋ゲンはブルーワーカー漫画なので、母親が水商売を生業としていることになんら批判的な視点はない。また、料理ができなくてこどもにカレーばかり食べさせている、ということも批判されない。作中、「母親なのに」ということばは一言もない。

クッキングパパ』もそうなんだけど、保守的な温かみってこういうことだろうと思う。保守思想にひもづく家父長制はあまりにも酷くて全否定しなきゃいけないんだけど、

この保守の、地域や職域の連帯に多様性が加わり、排外主義が撤廃されることをわたしは望んでる。

 



亜人ちゃんは語りたい

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亜人(デミ)とは、特殊な性質を持つ人間の事である。すなわちバンパイアやサキュバスデュラハンなどッ!かつては迫害の歴史があったが、今では差別もなくなりマイノリティとして生活している。


亜人大好きながら人生で縁のなかった教師・高橋が赴任した高校にはなんと4人もの亜人がおり・・?亜人日常コメディ開幕ッ!

 

様式としては「ハーレムもの」のくくりに入りますけどこれは異文化コミュニケーションですネエ!

 

おれは昼にウンベルト・エーコを読んだんでそのテンションで話す。

 

『永遠のファシズム』では「(移民への)不寛容の教義は富める者が作り、貧しいものが実践する」と言った。まず金持ちは教義を作るなア!!と言いたいけど、その対策として「暴力に訴える貧しいものに知識人が教育を施す」と言う。

 

なにからなにまでチシキジンさんはエライですねえイライライラ~!ってとこですが、『亜人ちゃんは語りたい』の高橋は亜人(つまり移民的な属性だ)への興味から本人たちも意識寺内特性について解き明かし共有する。これは教育。おかげで『亜人ちゃんは語りたい』世界はとてもハッピー!

 

そもそも教師高橋は亜人が大好きでアカデミーで研究したかったのに、社会の無理解でできなかった「非アカデミー」で、

 

エーコ先生、知識人が教育するって言いますけど、アカデミーはホントに差別属性に関して研究して教育として広めてくれるんス~?

 

亜人ちゃんは語りたい』は「亜人たちが生活的にも精神的にも苦しくて問題を起こすことがあった」として警察組織として「亜人課」が設置されている、という話があって、

特性だけじゃないんですよ、生活的な問題や二次障害的問題、犯罪への関与とかさあ~~~

(ちょっとやさぐれております!やさぐれております!!)

 

あ、こう、女子高生女の子キャッキャハーレムものとしてもおススメですよ、かわいいお話っす。

 

『隙間』『月刊コミックビーム』2024年4月号

 

 

 

台湾の漫画クリエイター、高妍(ガオイェン)が描く、沖縄に留学してきた台湾の少女の政治とプロテスト。


実在の編集者、鄭 南榕(ていなんよう)の言論の自由と台湾の自由をかけた焼身自殺。
彼は記者の名前を明かさずに雑誌「自由時代」を刷った。内乱罪で起訴され捕まる前にガソリンを撒き編集部で焼身自殺を遂げる。享年41歳、その年は1989年。


台湾はその後、言論の自由を獲得し民主化運動が加速、今では東アジアで唯一同性婚のできる国でもある。

 

鄭 南榕の娘は言う。「焼身自殺の決意を知った母が泣いた、あなたが死んだら台湾はこの後どうすればいいのかと」。鄭 南榕は答えた、「あとは君たちがやるんだ」

 

反抗は

 

誰かがやるものではない。自分で声をあげるものだ。
強くなくとも、強いものの後を引き継ぐのでいい。
投票、言論、民主主義を信じること。できることはたくさんある。

 

政治について冷笑することの愚かしさ。おれたちに逃げる道など残されていない。何ができるか。

 


『アフロとボウズ』(読み切り)

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若手お笑い芸人、ハセガワ。ヤクザの下っ端、神崎。ハセガワは拉致され、神崎は拉致した。しかしハセガワはドッキリだと思っている!!すれ違いシットコム

 

軽快だし画もスタイリッシュだしバトルの盛り上がりもあって普通にいい話なのです。が・・・

 

こう、「お笑い芸人は暴力にさらされる企画があり得る」という大前提あってのマンガっすよね。知らされず拉致されるとか普通に怒っていいんだけど、それが「お笑い芸人ならあるかも~」って設定に使われちゃってる。

 

セガワはたぶん、そういうこと抜きにちょっとヌケたパーソナリティなのだと思うのでこの話は全然成立するんですけど・・・『電波少年』とかの、気づいたら外国の知らない場所に放り出されるとかっていうやつ、わたし自身がすでに全然ありえないし面白くないので「お・・・おう、今更こういう切り口でするか」とひるんだ次第。

 

三谷幸喜の『ザ・マジックアワー』も似た感じのシットコムだけど、妻夫木聡佐藤浩市を一生懸命だますクッションがあるのでまだ受け入れられるんだけど・・・ハセガワ、それは気づけ、少なくともその企画、クランクアップしてもTwitterで炎上する。

 

『被災地記録マンガ』

note.com

 

こちらはnoteで発表されたもので商業物ではないので多くは語りません。どうぞ興味があればリンクで読んでこの貴重な記録のPVにしてほしいです(note売り上げは寄付されているそうです)。

 

2024年能登半島地震のレポートとしてのマンガ、あまり作品数が無くて・・・でもマンガが大衆アートであり、社会の記録でもあるならば、こういうマンガもアーカイブされるべきだと思うッス。

 

ちなみに作者のヤチナツ氏の『真・女性に風俗って必要ですか?~女性用風俗店の裏方やったら人生いろいろ変わった件~』、女性の性欲を語る作品で面白いっすよ

 

kuragebunch.com

 

『ねこぱんち』№211

 

 

 

猫と仲良くなれる方法&生き方のヒントが見つかる猫手帳、というマンガ誌。作品は猫が登場することがマストで、目的特化型のマンガ誌だな~!と思ってたんだけど、

 

今回の№211、なんと「猫と私と朝ドラと」という特集で、猫×朝ドラという打ち出し。そういうコラボの仕方があるんだネ~!

 

マッサンやあまちゃんゲゲゲの女房まんぷくなど、評価の高い朝ドラと猫との創作漫画。

 

元々のターゲット層とかぶってたりするのかな。わたし、こういう試み嫌いじゃない!

 

『ディア ロンリースター』

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和を乱してしまうことを恐れる女子高生、星川。そんな彼女の同級生、佐鳥は、空気読めないしゃべり過ぎのサックスプレイヤー。星川は佐鳥の個性に惹かれていくが。

 

佐鳥は明確にASDや感覚過敏などの神経系障害を持っているように描かれているので、その視点で。

 

神経系障害を持つ人間が何かに秀でている可能性は健常者の人と同じくらいだと思うんだけど、特性と表現方法がハマったとしても、他者からの批判を強く受けるのは日常生活がうまくできない神経系障害者で、その分成功には枷があると言える。

 

作者がどのように考えて描いたかは分からないけど、佐鳥は長じても孤独だと思う。佐鳥には「一般」と渡り合うスキルが無い。だからこの漫画のエンドはあるひとつのパターンとしてすごく幸福なケース。

 

人間は生まれついて、その個性を持っている。それがどのように喜ばれるか、どのように使えるかはその人次第。

 

わたしは脳内多動の多弁がとまらないタイプだけれど、わたしに発達障害が無かったらどうだったろうかと考える。平凡極まりない人間として、何かに突出した人を羨んだと思う。それはただ、この社会が「何かに突出しないといけない(ただし常識的に)」という呪いがあるからなのだけど。

 

『友人の式日

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友人、瞬が死んだ。死を嘆くかずやの前に現れたのは、瞬の幽霊。だが、瞬は記憶を失くしていた。失くした記憶とあの時の感情を探しに、ふたりが日常を歩く。

失くしたものを探すのは、感情を探すこと。途切れてしまったものをつなぎ直すボーイミーツボーイ。

 

今日はチョット・・・作者の意図じゃないと思うんですが、「映画館」に絞って感想をアウトプットしたいと。

 

この作品の重要なシーンとして、「一緒に見た映画で全然泣けない(ことが哀しい)」というシーンがあるんですが。

 

映画館ってそういう、感情の共有の場でもあると思うんですよ。あの暗いところに閉じ込められてね、同じ音楽と同じ映像を見るというのは。


あと、「映画館に行く」ということも重要です。奇しくも映画が出始めの頃、ヴァルターベンヤミンが「芸術が複製できる(映画はどこにも持ち歩けるので)ことで、今までの絵画などが持っていた「礼拝的な意義」が失われた」と言っていましたが、配信サービスが充実した今、映画館にもその礼拝的意義が認められると思います。

 

そんな大事な場所で、差別的なことってアリでしょうか。瞬とかずやが心を交わしている水面下で、障害者が泣いてもその心は損なわれないでしょうか。想いを馳せます。

 



『あいにくあんたのためじゃない』

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ラーメンブロガー佐橋ラー油は行き詰まっていた。40過ぎて人気も翳り、ある人気店から入店拒否をされたことで「ぶった斬り系として腰抜け」とバッシングされている。そのラーメンを食べたくて、謝罪をしてやっと入れてもらえた先には・・・

 

イヤ〜な露悪と差別への高度な眼差し。
こういう切り口来たか!とうなずく。

 

わたしは漫画誌をいろいろ眺め見てるんだけど、ちょっと前に流行った・・・『サバサバ女』なんてコンテンツがありましたネ、ああいう露悪なスカッと系、そういう作品で誌面が全て構成されている漫画誌、というのもあります。

 

この漫画も系譜としてはそうなんでしょう。でも、そこで「泣かされている人」の解像度がすごく高い。差別する側の像としても、女性蔑視でサブカル崩れの権威主義と非常に身近な像をセレクトしています。

 

しょうもない紋切り型の加害者と被害者しかいない大衆漫画から、自分達の身近な加害者像と被害者像の大衆漫画へ。この漫画の最後に加害者をどう扱うのか、ものすごく興味がありますネ。

 

個人的には、岡田索雲の『メイコの遊び場』を思い出しました。気のいいこどもグループひとりひとりに付属する差別の属性。差別は決して他人事ではない。

 

「[第51話]正反対な君と僕」

shonenjumpplus.com

 

ふっ。。
ふふふっ。。。

アオハル・・・ね・・・?

 

あのさ、「デートって何したらいいかわからない」って人も、『正反対な君と僕』を片手に持てばいいんじゃないかな、これにハメると苦しいけど、ひとつの解ではある。解ではある(たぶん)

 

(記憶の向こう)わたし、すぐ酒飲んじゃったから。。こういうノンアルコールなデートヨクワカラナイ。。キラキラシテル。。酒。。。(ぶつぶつ)

 

『税金で買った本』ヤングマガジン2024年16号

 

 

 

図書館のお仕事ってどんな感じ?
利用者さんや仕組みのあれこれ。本好きヤンキーの石平くんがバイトで覗く、図書館あるある司書マンガ。

 

「高校生ビブリオバトル」編ッ!!
本オタクたちのとっておきを紹介し、紹介の仕方で「どの本が読みたくなったか?」を投票するビブリオバトルを開催。おもしろそ〜!

 

今回は坂口安吾や『バッタを倒しにアフリカへ』などを紹介します。『バッタ〜』、面白そうなんだよな!全身タイツで!!

 

わたし、ビブリオバトルってやったことなくて。やってみたいなと思いつつ、まだ機会に恵まれない。

 

こういうお話を読むと自分が何の本を紹介するかって夢想してしまいますネ。。
私アレだな、冷泉彰彦の『アメリカの警察』を推したいんだよ、理由はネッ(以下5万字略)

 

 

【books】

 

『マンアフターマン

 

 


1993年発刊。「人類はこの後どう進化するか?」を500万年後という超未来までを仮説、絵として起こして具体例を図解する。

 

ヒトが食い散らかしてしまった地球の環境資源。それに適応するためにさまざまに遺伝子工学を元にした手術を施し、採集や水中生活に特化した姿に進化する人間たち。彼らはもはや文明に戻ることはできないので、高度な脳機能も不要である。そのため知能は低く抑えられ・・・

 

これってどこから「ニンゲン」なの?というSFらしい問いをメカニックではなく進化論として組み立てるアプローチ。絵がちょいグロでデルトロ方面が好きな人にもおすすめだ。

 

このへん、カミサマが「知恵の実を食べたお前らの罪」と言われるのは分かります。社会生活を営み、集団で環境を搾取し、食い尽くし滅ぼす。ぼくらの知能が低ければこんなことにはならなかった。

 

しかし俺たちの脳もまた神の作ったものから生まれ出ていて、俺らの罪はあなたのものでもあろう。神よ、共に責任を取れ。

 

『永遠のファシズム

 

 

 

『永遠のファシズム』を読む。
正直オオン・・・としてしまう。

 

2016年にこの世を去ったイタリアの小説家・思想家のウンベルト・エーコ。1932年生まれ、第二次世界大戦を体験したイタリアの少年の目から見たファシズムは、「ファシズムと言えばドイツ」という偏見を打ち崩してくれるし、アメリカへの思いも「西洋」とひとくくりにしてしまう彼らの区分けを感じさせてもらえる。

 

ただア・・・

 

わたしが読みたかったのは「人は内なる獣性があり、それは教育で打ち崩すことができる」のような文脈で、いったいどのような!?とワクワクして対象の「移住、寛容そして耐え難いもの」という項目を読んだのだけど、残念だけど「白人の大人の知識層は学のない一般庶民にできること少ないけどがんばろうぜ!」という特権階級へのメッセージだったでござる。

 

「貧しい人たち」と「裕福な層」「知識階層」をはっきりと分け、裕福な層は不寛容の教義は生み出したが実践するのは貧しい人たち。だから彼ら貧しい人たちが不寛容を実践する前に知識層が教育することはできるよ!という・・・

 

おれの女・障害者として賃金を直接クソ搾取してくんのは「裕福な人たち」だし、「貧しい人たち」とは連帯できてると思ってて・・・「知識階層」がやるべきことってどうでしょうエーコさん、裕福な人たちをなんとかしてくれませんかエーコさん

 

いえでもね、個人的には好きですよエーコさん。

 

この年代の人なのに、ファシズムが抑圧した性について「女性蔑視、純潔から同性愛に至る日画一的な性習慣に関する偏狭な断罪」をマチズモとして批判している。
女性そのものや同性愛もさることながら、純潔・・・これはノンセクシャルアセクシャルじゃないだろうか、「生殖につながらない愛情」を肯定しているの、いいナアと思うし。というかこのあたりの世の中のファシズム的なもの、「原ファシズム」を問うた項目『永遠のファシズム』はさすが本のタイトルにもなる名文。

 

1990年代に将来的なポピュリズム・・・「個人を無視するファシズムが重用する、質的な大衆」は「インターネットで一部の大衆の声が切り取られて使われる」であろうと喝破。そうなってまーす!!

 

でも、インターネットがあったからこそ野蛮なバカだけじゃなく、貧乏で学歴もないモンが学んだり連帯することもできてね。エーコさん、大衆の力、わりとモリモリ来てますよ。SNSを使ってカウンターをする庶民は今たくさんいますエーコさん。

 

とはいえ全体的に面白い本でした。「原ファシズム」とは統率の取れていない思想であり、非合理が信条であり、批判を嫌う。批判(批評)は科学的な知的営みであり、ファシズムは知を嫌う。うっとこの国ですエーコさん。

 

『まんがでわかるまんがの歴史』

 

 

 

 大塚英志による日本マンガ史。帯は「まんがの起源は「鳥獣戯画」ではない」。
 なにせまんがで描かれているので読みやすいが、内容は「第●講」というカウントの通り毎回かなりディープな講義。ある程度戦中史や美術史、あるいは大塚英志の本を読んでいるとめちゃくちゃ楽しいと思う。
 
 まだ読み切ってない(いや濃厚でねえ)んだけど、大正アヴァンギャルド→高見沢路直→田河水泡田河水泡は高見沢路直のペンネーム)→すなわち日本マンガとは現代アートの流れがあるのである!というの、俺は支持するよ俺は支持するよ~~~!!!

 マンガ表象における記号論からイデオロギー、これからの未来へ。マンガの歴史の一面として。

 

少女漫画へのミュシャの影響、
田河水泡のらくろにおけるアールデコの取り入れ方、

アカデミーにクレジットされたものがアートだというなら確かに違うけど、これほど技術が落とし込まれている以上、それは日本画における「私淑」として見ることはできないのかい(いやどーしてもアートにして欲しいわけでもないけど。。)

 

トランスジェンダーと性別変更 これまでとこれから』

 

 

 

 岩波ブックレット
 2024年、通常国会が開かれている。2023年10月25日、トランスジェンダーの性別変更に関わる法律、いわゆる「特例法」について、5つの要件中4つ目の要件について最高裁違憲判決が出た。この本が出たのは2024年3月。この通常国会中に、少なくとも特例法の4つ目に関しては改正する「義務」がある。
 喫緊の状態で発売された本であり、本書の目的はトランスジェンダーへの正しい理解を広めることである。そのため本著の4章構成を、当事者であり活動家、弁護士、研究者、医師がそれぞれ担当している。
 100ページに満たないボリュームながら、ひとつひとつの章をしっかり理解するのは簡単ではない。それほど内容が充実しているとも言えるし、それほど自分が普段から関心がないとも言える。
 しかし違憲判決が出るほどの人権侵害についてはおぼろげながら理解した。これから6月まで通常国会は開かれている。繰り返し読んで理解につとめたい。

 

 

 

 

 

3/4週目に読んだ漫画感想(漫画11件、本1件)

その日読んだ漫画や本の雑感をまとめておくエントリです。

リンク切れや無料期間公開終了などご容赦くださいませ。

本日は(漫画11件、本1件)の感想です。

 

 

【comics】

 

 


発達障害啓発マンガ RADD 発達障害学生支援プロジェクト』

dac.tsukuba.ac.jp

 

筑波大学発達障害啓発マンガ。

おお!コレはすごい!

下〜の方にスクロールしてもらうと、ASDADHD、LDの症例マンガが載ってるので興味のある方はぜひ。

 

このADHDのトリさんの「衝動や思いつきを我慢するのに疲れる」というの、わたしはそのまんまこのタイプですネ。(だからSNSで多弁であることでアウトプットを解消してる)

 

ただダックスさんも言っている通り「自分は全ての症例が入っている」という人もいる(わたしもASDとLDも含まれてると思う)し、ASDと一口で言っても個々人いろんなタイプがあるので、「あくまで一般的に見られるざっくりしたタイプ」みたいに認識してもらえると幸いです。

筑波大学は信用できるなあ〜

 

「[第50話]正反対な君と僕」

shonenjumpplus.com

 

ウワアアアン

こんな青春なかったもんなかったもん!!(バイトと劇団と学校で睡眠時間削って生きてた)

 


『地の底の天上』

bigcomics.jp

 

贋作師と原板師。ふたりはただ銅板の刷り上がりでのみ対話する。
贋札を作ることのみで生きてきた男、ジノ。父の工房は借金で潰れ、人生の全てを贋札作りに捧げてきた。


一方、紙幣を発行する権力階級である一族の子女、イエルマもまた、病により不自由になった体を抱え、紙幣の原板を彫ることをのみアイデンティティとする。
2人の技術は2人にしかわからない。技術で対話するアツさ。

 

。。。。。

 

15世紀銅板彫りの技術うんちくが楽しいし、アツい感情(ラブなし!)の男女ライバルの話は楽しいんだけど、どーしてもどーしても『ハイパーインフレーション』スピンオフありがとうって思いながら読んだし読み終わっても『ハイパーインフレーション』二次創作ヨカッタ。。。と思ってる。ごめん。。

 

『解体屋ゲン』第1033話
(週刊漫画Times2024/3/15号)

 

 

 

解体屋(こわしや)のゲンは自分もゲンバの超中小企業社長。しかしその実、アメリカでビルのダイナマイト爆破を学び、持続可能な建築業界を憂い怒るひとりの革命者でもある!ゲンさんは今日は何の問題に取り組むのか。

 

今回は小さな商店街でこども食堂をオープンさせる話。ゲンさんは工事担当ですネ。
この話の前の前の回くらいで「こども食堂気に入った!けどそれってホントは政府がやることじゃねえか?」と出資者のおじいちゃんに言わせるまっとうさ。しかしまずは目の前のことを・・・ということで、今回、ついにこども食堂がオープン。

 

ところでこの前ポリタスで見たんだけど、日本の家屋の断熱、先進国最低レベルなんだってさ~~~!!(日本の平均基準だとドイツとかに家作れないらしい)さすがにヤバいと思った政府が断熱の窓工事に補助金出すっつったらしく、その内容もしっかり作中に反映されています。業界マンガですね・・・!

 


『マンガでわかる 発達障害の子どもたち』

 

 

発達障害の子とどう関わればいい?


困りごとの事例→解決解説の流れを繰り返す複数のケーススタディ。この本では主にASD特性のある子との関わりについて紹介。「危ない遊びをどう止めれば?」「他の人に挨拶をしないのをなんとかしたい!」などの【親の困りごとを解決】するのではなく、「それ」が発生している時、こどもはどう感じているかの可能性を提示。こどもの気持ちを分析して【親(サポート者)の行動を変える】アプローチ。

 

ASDの子は服を汚してしまい『誰が洗うと思ってんの?』と言われた時、そこに「私が洗うんだよ?今後しないように気をつけて」というメッセージに気づかず「洗濯機!」とニコニコ答える」という下り、おれ問題事例として出されていてもなんで問題なのか分かりませんでしたッ!洗濯機一択だろ!(こういう子がいるんだよ)

 

徹頭徹尾「親の行動を変えさせる」ことを指導する本。こどもを変えるんじゃなく。「こどもに与う限りの自由を保障することで本人の力が出てくることを信じる」アプローチで、これは親の胆力が試されます。


いや、いい本です。健常発達の子だって将来食えるか分からない時代、「抑圧せずに心の健康を優先」というの、信頼できます

 



『写して』

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卒業アルバムの写真を撮る。
目の上に傷がある。「たったそれだけかよ」と教師は笑う。
それは尊厳。絶対に譲れない。


写真を残す、そのための戦い。

 

これすごいなあと思ったの、

 

少年マンガで、自分の尊厳を守ること、センコー(抑圧者)に刃向かうこと、こだわりの写真を撮ること、これで熱量でのせてくる、

魔王から世界を守るために剣と魔法で戦うとか、ヤンキーのボスからカノジョを取り返すために拳で戦うとか、そーゆーバトル漫画じゃないのに、

 

これはバトル漫画だよねえ。こどもはこういうものに刃向かわなきゃいけない。

 

傷のことを見た教師が「そんだけかよ」とか言うの、まあファンタジー漫画で悪いやつが「人間の命など取るに足らないわ」っていうのと完全に等価ですからね。ぶちのめす必要があります。

 

。。。でも、誰よりも刃向かわなきゃいけないのは大人の方だよな、と自分を省みるな。

 

『逢いたくて、島耕作』モーニング2024年14号

 

 

 

モーニングの奇策、島耕作が大好きなゼット世代が島耕作世界転生マンガ。しかしゼット世代サラリーマンから見た1980年代サラリーマン世界は今と違うことがいっぱい。「島考察」として高い評価を得ているのだった(わたしに)

 

毎回ヒヤヒヤさせてくれる本作、今回はついに「島世界のサラリーマンたちは時として女性を見下し都合よく利用する、ぼくにはできない(島耕作なら利用するけど)」という島世界の批判を大展開。いいのか。いいのかな?わたしはスタンディングオベーションだ!

 

そしてお楽しみ、1980年代あるある話4コマは「ジャパンのシートベルト着用義務は1992年から」。それまでの義務は高速道路などに限定されており、下道を走る場合はシートベルトは義務ではなかったとか。あっっっぶねっっ!!

 


『全員記憶喪失オフィス』

全員記憶喪失オフィス【第14話】:ニュース:中日BIZナビ

 

気持ちが乱高下してツライ。そんな時に軽く読める2ページギャグ漫画。リテラシー万全の増田十七氏作で不安なくクスッと笑いましょう。

 

しかしこれ、連載漫画なのでこの回だけだと分かんないな。。えっと、「ある日オフィスの全員が記憶喪失になったのでこの機会に部長だって言い張って権力を使い倒すことを企む本部長子(もとべちょうこ)の誤魔化しオフィスライフシチュエーションコメディ」とでも言いましょうか。大丈夫ですツライことは何もありません

 

『作りたい女と食べたい女』についてのいくつかの所感

 

わたしも色々まんがを読んでますけど、現代日本商業マンガのジェンダー平等を掲げる代表的な作品、と呼べると思います。

 

作者のゆざきさかおみ氏と作品公式はついつで「物語のままでは終わらせない」というハッシュタグを展開。チャリティー企画の売り上げを「結婚の自由を全ての人に」を掲げる公益社団法人 Marriage For All Japanに寄付するなどの運動をしています。

 

Twitterではアンチフェミニストなど保守層からの攻撃もありますが、NHKでのドラマ化など日本のサブカルチャーシーンでジェンダー平等を啓蒙、牽引する作品です。

 

ご飯を作りたい野本さんの作るごはん、たくさん食べたい春日さんのあたたかな出会いと連帯。アイデンティティの定義とそれを守るための戦い。

 

あと、漫画の構造としてすごいなって思うのが、

 

このマンガ、一応メシもの・・・料理好きな野本さんが作って春日さんが食べるっていう大前提があるのに、後から出てくる会食恐怖症の南雲さんってキャラクターが出てくるのよ。

 

メシものって、「飯でなんとかする」んですよ。クッキングパパ は地縁の小トラブルを、美味しんぼは下らねえ上流お階級バトル(棘のある言い方)を、孤独のグルメは生き様を、ダンジョン飯異世界モンスター研究(あとモンスター退治とか)ですわね。

だから食べることが苦手な人って基本出てこないの。虹子さん(クッキングパパ のとこの奥さん)が妊娠中だけどレバー苦手って言ったら洋風のパテにして「おいしく食べさせる」。鉄分サプリでとるってアプローチじゃないんですネ。

 

でも南雲さんが登場して、つくたべ世界は「食べなくていいよ」って話になる。
これすごいと思って。脱作品アイデンティティ。もちろん野本さんは作るし春日さんは食べる。南雲さんはニコニコそばにいる。


他にも矢子さんってキャラもいて、この人は食べたいけど作らない人。メシものだけど「作ったら楽しいよ!」とかにはならない。パーティー的に作るのはアリだけど、普段は買って済ます。それもアリ。


食の多様性、だと思って。それを包括するメシもの。すごいなって。

 

 

『歴史メンタリスト』

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過去の歴史人物の「負け人生」を研究する朔太郎は、その後ろ向きな研究を見込まれて「成仏できない偉人」を成仏させる歴史メンタリストに抜擢された。偉人人生見つめ直しコメディ、最終話。


今回の偉人は聖徳太子。世の中が荒れることにめちゃくちゃイライラしちゃう太子、現世の愚かさを嘆く。

 

「ジャンプにできるギリギリの政治批判」だ!!!
でもシンプルにそうなるんだよなあ。。

 

わたしは飛鳥時代とか詳しくないけど、大抵の腐敗した政治は、要は血族主義で無能な為政者が台頭するため。それを防ぐために官僚制・・・勉強して頭のいい実力主義者を引き上げるのはセオリー。
聖徳太子がぶちぎれる程度には腐敗してますからね本邦。税金を口移しでチップにするアラフィフとかが政治家やってますからね。。

 

マンガとしてはとても綺麗に爽やかに終わって、楽しいマンガでした。

 

 

『ハムガールの冒険』

 

 

こういうのあるからTwitterやめられねえんだよな。。

言うのも野暮なプロテスト。心臓をギュッと掴む、日本ディストピア(管理社会)アプローチ。

 

 

【books】

 

『禁忌習俗事典 タブーの民俗学手帳』

 

 

個人的に開催している「柳田國男フェア」第4弾くらい。


日本各地に散らばった「忌」を収集。辞典の名の通り、個別の忌語をひとつづつ解説。

本書では柳田自体が「忌」について、外来語の「タブー」と完全等価であるかを疑問視している。その答えは出ないが、繰り返し読むことで浮かび上がってくるものはあるかもしれない。俗習、風習、奇習にぶち当たった時に必須。一家に一冊、禁忌習俗事典。