その日読んだ漫画や本の雑感をまとめておくエントリです。
リンク切れや無料期間公開終了などご容赦くださいませ。
本日は漫画15件&漫画ニュース1件の感想です。
【comics】
『ここは鴨川ゲーム製作所』
「ありふれた」大人が集まって、ゲームを作っちゃわない?
ヨウちゃんの思いつきをキクちゃんが聞き、キクちゃんの奥さんの友だちのカナデさん、カナデさんの飲み友達のホーライさん、ホーライさんの元職場の人のサイさんが、
輪が繋がって、何かができる。みんな何かを抱えているけど、それも話しながらゲームを作ろう。
穏やかで楽しい時間を共有しながら、ひとりひとりが抱える問題がさらりと出てくる。
ADHD、夫婦関係、女性にある格差、同性婚、元夫とこどもとの関わり、
みんななんか持ってるのが「ありふれた大人」というの、納得感がある。
で、「集まって何かを作る」ことについての感想。
わたしは過去に演劇をやっていて、、
ひとが集まって何かをする時の人間的なぶつかり合い、爽やかなものではない・・・とイヤな学習をしてしまっているのだけど、
先日、DV加害支援団体で「ジェンダー(ここでは「作られた男性性」)から暴力性を剥がすことを目指す」と言っていて、
わたしが学習してしまった「集まってなんかやるとドロドロんなる」ってやつからも脱却する方法がありそう、それにはむしろ「事情を当たり前に抱えてること」のがいいかもしれない、とか思ったり。
ヤングマガジン2024年20号
『税金で買った本』
好奇心いっぱい、本好きヤンキー石平くんが、バイトを通して覗く「図書館お仕事マンガ」。図書館の運営や司書あるある、考えてみると結構珍しいお仕事モノ。
今回は「豪華な装丁の本の外箱どうするか問題」。答えは「捨てる」!嘘ん。。!!
ただ捨てるではアレなので、この図書館では独自の施策を行なっております。他の図書館でもやってんのかな?
マッチョ司書、白井サンの西尾維新のこだわりが丸出しになる回。白井サン普通にオタクなので頼れる。
ヤングマガジン2024年20号
『パリピ孔明』
孔明が現代に転生し、始めたことは「アーティストのプロデュース」?孔明の知謀がポップシーンを変える。
孔明、幼稚園を救う決意をする!
ええと、アーティストのプロデュースになんの関係もなさそうな話なんですけど、「プロデュースしてるアイドルがオーディションを受けるアニメ主題歌プロデューサーのこどもが入ってる園」なんですわね。寝技〜!
もちろんマンガなので、たまたま園の隣の時に地上げ屋が来ていて・・・・みたいな状況ではあるんですけど。
でもなんか避けらんないですよね、どんなアーティストだって家庭を持ったらその環境は気になるじゃないですか。
賄賂とか別な仕事を融通、っていう、本人に関わる話になると汚いな〜って思うけど、あの、「バリバリやれてる自分以外の関係者の幸せを願う」の、この国ダメなんで。あのさ、丸の内オフィスでバリキャリやれてて本人の権利は守られても、介護や保育で潰れざるを得ない、そーゆー国なので
直接的なワイロより、介護や保育を押さえる方が金持ってる人たちには効く、というの、賛同しますわね(寝技〜ッ!)
「[第96話]ラーメン赤猫」
今日はラーメン赤猫の失敗の話。
おれ、もうすぐ復職だから(イヤだな。。)、赤猫読んで頑張る。きっと赤猫みたいにみんな程よく厳しく程よく優しい。たぶん(暗示をかける)
『ミサンガルート』
※リンク先音が出ます
KONAMIとジャンプラのタイアップ。
新作ブラウザゲーム『ORE’N』の主人公を据えて、なんと
「ボイス・曲が出る」のみならず、「選択肢で物語が変わる」というプロジェクト!
っへえ〜!!面白いッ!
でもオレだめッ(いきなり!!)
いやごめん。。わたしが漫画に求めてる最大のベネフィット、「自分で読むスピードを調整できる」なので、テキストを読み終わってるのでスワイプするとボイスが途切れたりしてノイズ!!
試みとしては面白いし、この方向が進むと色んな可能性があるのでじゃんじゃんやってほしい!読める人はぜひ読んであげてほしいぜ!
作画は『約束のネバーランド』の出水ぽすか氏で、漫画も描けるしイラストの止め絵も熟知した安定の職人技。ぽすか絵が見たい方にもオススメです。
いやあ、ジャンプラ、面白いことするなあ・・・・
「[第148話]ダンダダン」
迫力の超画力!!!オノマトペ(ここでは「音の書き文字」のこと)を排して絵だけで表現するハイパーな表現力とオカルト&ラブ💖
ダンダダンは一応オカルトなので、こどものころに流行った(いつの、とは言わない、なんとなく流行った、というぼんやりしたもの)都市伝説みたいなものを敵に据えてくるんだけど、その動機がイチイチすごく明確に現代の貧困を基点にしてるのがすごくいい。
このクリエイターの作画力でごまかしなんて効かないけど、誤魔化すつもりもない。毎回毎回、明確に貧困からの憎悪と、現代に生きるこどもたちが共感するところの弱いところを突いて取り込もうとする。ヒジョーに良いですねえ
[拷問227]姫様“拷問”の時間です
のんびり&やさしいせかい。拷問と言いつつすてきな世界の広がる、ジャンプラ随一のほのぼの漫画、本日も更新。
うアッ、こどもの・・・卒園の話ダア・・・
ものすごく上手い。。。。涙ッ・・!!!
さすが春原ロビンソン(原作者は幼児向けマンガの原作も担当している)。おっさんおばさん世代に向けて仕掛けてくる。。
(なお、現実の幼児たちはここまでエモみはないことが多いです。うちの子の卒園式、こども全員ゲラゲラ笑ってました。それもまたヨシッ)
「[その38]放課後ひみつクラブ」
学園のひみつをミッケするギャグ漫画は、テンポの速さが最高のウリ。卓球の速さでコマを埋め尽くす吹き出しを見ろ!
火曜日は読むものが多いんだよジャンプラは。
今回のひみつクラブは学内の宇宙研究機関へ。二つあるうち、片方はソ連、片方はアメリカを模していて70年代の風を吹かせる。もうロシアにそんな科学力はないの。。(悲しいネ)
そういやあ、宇宙飛行士の漫画『宇宙兄弟』のムッタは1993年生まれ(ドーハの悲劇生まれ、というのがキーワードになってる)。
2025年に31歳になり、昔の夢を思い出して宇宙飛行士を目指し、兄弟で月の土地を踏むという話なんだけど
現実の世界情勢を見るに、残念だがムッタは来年、宇宙飛行士を夢見ることは難しいだろう。徴兵の匂いすらしてきた2025年に、求められるのは宇宙飛行士じゃなくてドローンの操縦者だろう。。
宇宙開発と進出をテーマにした『MOONLIGHT MILE』は、宇宙開発をアメリカと中国の政治闘争の狭間で描いていて、こちらの世界なら現実味があるかもしれない。月の土地争いのための国家間のいがみ合い。
『ボールアンドチェイン』
けいととあや、2人の物語が交錯する。
けいとは結婚に乗り気じゃないのに、付き合っている耀司にグイグイ進められている。
あやは成長したこどもも手が離れようという頃、夫が不倫していることをずっと黙って見ている。
苦しいふたりが歩む、その軌跡は幸せに繋がってるんだろうか。
この漫画、おしゃれでイケイケなひとりと太って節目がちなひとの、本来交わらない2人の話が交互に語られるのですが、オレが感情移入するのはやはり後者、「いい奥さんだった」あや。
あやさん、若い頃からイケてない感じかと思ったら、ホントはすっごくカッコいい働き方してるって話で(2話では18歳あやさん素朴ガールだったが大学でなんかあったんかな)
でも、、
デパガでバリバリやって夜の商売で男あしらいもうまかった人が、
体の不調と育児で市場的な働きはできなくなって、いわゆる「主婦」の生活に最適化するってこと、
たった20年前でさえ、今みたいに保育園も充実してない、買い物もスマホから配達してもらうことのできない状況で、
タバコの煙と一緒に「(いい奥さんになりそうとか)ダサすぎ」って言ってた人が「いい奥さん」になること、
おれ、眉毛の間にぎゅーっと皺が寄ってる、今。
『線場のひと』第10話 橋本ハル1948年
戦争という巨大な構造暴力の下にも、細やかな個人の感情が消えるわけもなく。
ナショナリティ、セクシャリティ、バックグラウンド、「あの時代にいた人」が全て同じなわけがない。
インターセクショナリティ(差別の交差性)は、どんな暴力下でも顕現する。
今回から開き方が左から右向きになった本作。広く読まれるといいな。
1948年にアメリカで日本人が暮らすということ。
1948年、歴史の上で言えば東京裁判の年。第二次世界大戦終結3年後。
日本もそれはそれは悲惨で、飢餓者にあふれ、エンゲル係数は60%を超えていたという(昭和24年度経済白書9ページhttps://www.mhlw.go.jp/toukei_hakusho/hakusho/roudou/1949/dl/05.pdfより)(ちなみに現代だと30%以上はかなり厳しい状況とみなされる)
この漫画を見るに、アメリカで暮らすときにそのような生活の貧しさはないように見えるけど、ではそれが素晴らしいことか?・・・ということはこのマンガを読んで考えるべきものだろうな、と思う。
『キルニル~先生が殺し屋って本当ですか?~』
その孤島には殺し屋を養成する女子校があった!?その名も必斗萬(ひっとまん)女子高等学校!!
教師全員が殺し屋である「ひと女」に今年赴任してきた1人の教師、武石。彼こそは伝説の殺し屋・・・に勘違いされた単なる教師!!殺し屋アクションシットコム、開幕ッ!
「いまどき、どーしよーもない勘違いシチュエーションコメディ」はいらんかね〜!!
わたし、この作者さんが好きでねえ。。前作は講談社の掲載媒体が休刊になってしまったんだけどまあ面白くて。。顔芸がものすごかったんですヨ、ただちょっとシャレにならないくらいエロく勧めづらく、ただエロさも面白みのうちというか、エロいから顔芸がさらに面白いというか、なんかビールからアルコールを抜いちゃうのは嫌だみたいな、ノンアルも最近美味しくなりましたね(最後余計な情報)
で、小学館で仕切り直した本作はやっぱりどーしょーもないギャグ漫画なんだけど、アクションにメッチャ力入ってて、日本刀の使い方とか惚れ惚れします。やはりエロができる人は体の描き方も上手いのか。
あとやっぱり少しエロはいれてくるかもしれません。そんな予感がします。
【第50話】作りたい女と食べたい女
https://comic-walker.com/detail/KC_002798_S/episodes/KC_0027980006600011_E
ごぞんじ、ガールズエンパワメント漫画!!
今回はやこさんがヴィーガンの話をするよ!
わたしはヴィーガンのことはあまり知らないのだけど、普通に胃が弱り始めてるので週に何回か菜食にしたいんだよね。。刺身こんにゃくと納豆と具沢山の味噌汁とかで夕飯終えたら楽だろうなって(ヨワヨワ)
西洋由来の概念って細かく分けられてたり定義がカッチリしてちょっとひるむけど、西洋学問が分析・分類・アーカイブ(そして検証・批判・改良)みたいな言語化・要件定義がガッツリした文化圏なんでそーなるのかなって。そこには歴史や手がかりがあるので面白いです。
東洋は定義とかフワッとしてる印象で、空気読むのが苦手な民だと西洋アプローチの方が安心したりもするっすネ
今年「部門」を廃止、小学館漫画賞を通して考える「マンガ賞」の現在とこれから(コミックナタリー)
これは漫画の感想じゃないんだけど、ニュース枠として。
ついに小学館漫画賞の少年マンガ部門とか少女マンガ部門とかの区切りがなくなった様子。
あとは確か『このマンガがすごい!』が「オトコ編オンナ編」ってなってたはずだけど。いつ終わるのかしらあの区切り。
正直、意味がわからなかったからね。。『きのう何食べた?』はどっちに入れるとか、『7SEEDS』はマジでオンナ編でいいの?ホントに?みたいな。
男女ふたつに分ける意味も無いし、年齢で分ける意味もない。そもそもそーゆーもんじゃんサブカルって。
男と戸籍に書かれて男からはみ出し、
女と戸籍に書かれて女からはみ出す。
それがなんなのかは分からない、でもエンタメの中では常識のくびきから離れて固有の特性を打ち出すキャラクターがいる、
マンガってそーゆーもんだったはずなんだわよ