漫画のことと本のこと

漫画好きが読んだ漫画や本の感想を書くブログです。

3/4週目に読んだ漫画感想(漫画11件、本1件)

その日読んだ漫画や本の雑感をまとめておくエントリです。

リンク切れや無料期間公開終了などご容赦くださいませ。

本日は(漫画11件、本1件)の感想です。

 

 

【comics】

 

 


発達障害啓発マンガ RADD 発達障害学生支援プロジェクト』

dac.tsukuba.ac.jp

 

筑波大学発達障害啓発マンガ。

おお!コレはすごい!

下〜の方にスクロールしてもらうと、ASDADHD、LDの症例マンガが載ってるので興味のある方はぜひ。

 

このADHDのトリさんの「衝動や思いつきを我慢するのに疲れる」というの、わたしはそのまんまこのタイプですネ。(だからSNSで多弁であることでアウトプットを解消してる)

 

ただダックスさんも言っている通り「自分は全ての症例が入っている」という人もいる(わたしもASDとLDも含まれてると思う)し、ASDと一口で言っても個々人いろんなタイプがあるので、「あくまで一般的に見られるざっくりしたタイプ」みたいに認識してもらえると幸いです。

筑波大学は信用できるなあ〜

 

「[第50話]正反対な君と僕」

shonenjumpplus.com

 

ウワアアアン

こんな青春なかったもんなかったもん!!(バイトと劇団と学校で睡眠時間削って生きてた)

 


『地の底の天上』

bigcomics.jp

 

贋作師と原板師。ふたりはただ銅板の刷り上がりでのみ対話する。
贋札を作ることのみで生きてきた男、ジノ。父の工房は借金で潰れ、人生の全てを贋札作りに捧げてきた。


一方、紙幣を発行する権力階級である一族の子女、イエルマもまた、病により不自由になった体を抱え、紙幣の原板を彫ることをのみアイデンティティとする。
2人の技術は2人にしかわからない。技術で対話するアツさ。

 

。。。。。

 

15世紀銅板彫りの技術うんちくが楽しいし、アツい感情(ラブなし!)の男女ライバルの話は楽しいんだけど、どーしてもどーしても『ハイパーインフレーション』スピンオフありがとうって思いながら読んだし読み終わっても『ハイパーインフレーション』二次創作ヨカッタ。。。と思ってる。ごめん。。

 

『解体屋ゲン』第1033話
(週刊漫画Times2024/3/15号)

 

 

 

解体屋(こわしや)のゲンは自分もゲンバの超中小企業社長。しかしその実、アメリカでビルのダイナマイト爆破を学び、持続可能な建築業界を憂い怒るひとりの革命者でもある!ゲンさんは今日は何の問題に取り組むのか。

 

今回は小さな商店街でこども食堂をオープンさせる話。ゲンさんは工事担当ですネ。
この話の前の前の回くらいで「こども食堂気に入った!けどそれってホントは政府がやることじゃねえか?」と出資者のおじいちゃんに言わせるまっとうさ。しかしまずは目の前のことを・・・ということで、今回、ついにこども食堂がオープン。

 

ところでこの前ポリタスで見たんだけど、日本の家屋の断熱、先進国最低レベルなんだってさ~~~!!(日本の平均基準だとドイツとかに家作れないらしい)さすがにヤバいと思った政府が断熱の窓工事に補助金出すっつったらしく、その内容もしっかり作中に反映されています。業界マンガですね・・・!

 


『マンガでわかる 発達障害の子どもたち』

 

 

発達障害の子とどう関わればいい?


困りごとの事例→解決解説の流れを繰り返す複数のケーススタディ。この本では主にASD特性のある子との関わりについて紹介。「危ない遊びをどう止めれば?」「他の人に挨拶をしないのをなんとかしたい!」などの【親の困りごとを解決】するのではなく、「それ」が発生している時、こどもはどう感じているかの可能性を提示。こどもの気持ちを分析して【親(サポート者)の行動を変える】アプローチ。

 

ASDの子は服を汚してしまい『誰が洗うと思ってんの?』と言われた時、そこに「私が洗うんだよ?今後しないように気をつけて」というメッセージに気づかず「洗濯機!」とニコニコ答える」という下り、おれ問題事例として出されていてもなんで問題なのか分かりませんでしたッ!洗濯機一択だろ!(こういう子がいるんだよ)

 

徹頭徹尾「親の行動を変えさせる」ことを指導する本。こどもを変えるんじゃなく。「こどもに与う限りの自由を保障することで本人の力が出てくることを信じる」アプローチで、これは親の胆力が試されます。


いや、いい本です。健常発達の子だって将来食えるか分からない時代、「抑圧せずに心の健康を優先」というの、信頼できます

 



『写して』

shonenjumpplus.com


卒業アルバムの写真を撮る。
目の上に傷がある。「たったそれだけかよ」と教師は笑う。
それは尊厳。絶対に譲れない。


写真を残す、そのための戦い。

 

これすごいなあと思ったの、

 

少年マンガで、自分の尊厳を守ること、センコー(抑圧者)に刃向かうこと、こだわりの写真を撮ること、これで熱量でのせてくる、

魔王から世界を守るために剣と魔法で戦うとか、ヤンキーのボスからカノジョを取り返すために拳で戦うとか、そーゆーバトル漫画じゃないのに、

 

これはバトル漫画だよねえ。こどもはこういうものに刃向かわなきゃいけない。

 

傷のことを見た教師が「そんだけかよ」とか言うの、まあファンタジー漫画で悪いやつが「人間の命など取るに足らないわ」っていうのと完全に等価ですからね。ぶちのめす必要があります。

 

。。。でも、誰よりも刃向かわなきゃいけないのは大人の方だよな、と自分を省みるな。

 

『逢いたくて、島耕作』モーニング2024年14号

 

 

 

モーニングの奇策、島耕作が大好きなゼット世代が島耕作世界転生マンガ。しかしゼット世代サラリーマンから見た1980年代サラリーマン世界は今と違うことがいっぱい。「島考察」として高い評価を得ているのだった(わたしに)

 

毎回ヒヤヒヤさせてくれる本作、今回はついに「島世界のサラリーマンたちは時として女性を見下し都合よく利用する、ぼくにはできない(島耕作なら利用するけど)」という島世界の批判を大展開。いいのか。いいのかな?わたしはスタンディングオベーションだ!

 

そしてお楽しみ、1980年代あるある話4コマは「ジャパンのシートベルト着用義務は1992年から」。それまでの義務は高速道路などに限定されており、下道を走る場合はシートベルトは義務ではなかったとか。あっっっぶねっっ!!

 


『全員記憶喪失オフィス』

全員記憶喪失オフィス【第14話】:ニュース:中日BIZナビ

 

気持ちが乱高下してツライ。そんな時に軽く読める2ページギャグ漫画。リテラシー万全の増田十七氏作で不安なくクスッと笑いましょう。

 

しかしこれ、連載漫画なのでこの回だけだと分かんないな。。えっと、「ある日オフィスの全員が記憶喪失になったのでこの機会に部長だって言い張って権力を使い倒すことを企む本部長子(もとべちょうこ)の誤魔化しオフィスライフシチュエーションコメディ」とでも言いましょうか。大丈夫ですツライことは何もありません

 

『作りたい女と食べたい女』についてのいくつかの所感

 

わたしも色々まんがを読んでますけど、現代日本商業マンガのジェンダー平等を掲げる代表的な作品、と呼べると思います。

 

作者のゆざきさかおみ氏と作品公式はついつで「物語のままでは終わらせない」というハッシュタグを展開。チャリティー企画の売り上げを「結婚の自由を全ての人に」を掲げる公益社団法人 Marriage For All Japanに寄付するなどの運動をしています。

 

Twitterではアンチフェミニストなど保守層からの攻撃もありますが、NHKでのドラマ化など日本のサブカルチャーシーンでジェンダー平等を啓蒙、牽引する作品です。

 

ご飯を作りたい野本さんの作るごはん、たくさん食べたい春日さんのあたたかな出会いと連帯。アイデンティティの定義とそれを守るための戦い。

 

あと、漫画の構造としてすごいなって思うのが、

 

このマンガ、一応メシもの・・・料理好きな野本さんが作って春日さんが食べるっていう大前提があるのに、後から出てくる会食恐怖症の南雲さんってキャラクターが出てくるのよ。

 

メシものって、「飯でなんとかする」んですよ。クッキングパパ は地縁の小トラブルを、美味しんぼは下らねえ上流お階級バトル(棘のある言い方)を、孤独のグルメは生き様を、ダンジョン飯異世界モンスター研究(あとモンスター退治とか)ですわね。

だから食べることが苦手な人って基本出てこないの。虹子さん(クッキングパパ のとこの奥さん)が妊娠中だけどレバー苦手って言ったら洋風のパテにして「おいしく食べさせる」。鉄分サプリでとるってアプローチじゃないんですネ。

 

でも南雲さんが登場して、つくたべ世界は「食べなくていいよ」って話になる。
これすごいと思って。脱作品アイデンティティ。もちろん野本さんは作るし春日さんは食べる。南雲さんはニコニコそばにいる。


他にも矢子さんってキャラもいて、この人は食べたいけど作らない人。メシものだけど「作ったら楽しいよ!」とかにはならない。パーティー的に作るのはアリだけど、普段は買って済ます。それもアリ。


食の多様性、だと思って。それを包括するメシもの。すごいなって。

 

 

『歴史メンタリスト』

shonenjumpplus.com


過去の歴史人物の「負け人生」を研究する朔太郎は、その後ろ向きな研究を見込まれて「成仏できない偉人」を成仏させる歴史メンタリストに抜擢された。偉人人生見つめ直しコメディ、最終話。


今回の偉人は聖徳太子。世の中が荒れることにめちゃくちゃイライラしちゃう太子、現世の愚かさを嘆く。

 

「ジャンプにできるギリギリの政治批判」だ!!!
でもシンプルにそうなるんだよなあ。。

 

わたしは飛鳥時代とか詳しくないけど、大抵の腐敗した政治は、要は血族主義で無能な為政者が台頭するため。それを防ぐために官僚制・・・勉強して頭のいい実力主義者を引き上げるのはセオリー。
聖徳太子がぶちぎれる程度には腐敗してますからね本邦。税金を口移しでチップにするアラフィフとかが政治家やってますからね。。

 

マンガとしてはとても綺麗に爽やかに終わって、楽しいマンガでした。

 

 

『ハムガールの冒険』

 

 

こういうのあるからTwitterやめられねえんだよな。。

言うのも野暮なプロテスト。心臓をギュッと掴む、日本ディストピア(管理社会)アプローチ。

 

 

【books】

 

『禁忌習俗事典 タブーの民俗学手帳』

 

 

個人的に開催している「柳田國男フェア」第4弾くらい。


日本各地に散らばった「忌」を収集。辞典の名の通り、個別の忌語をひとつづつ解説。

本書では柳田自体が「忌」について、外来語の「タブー」と完全等価であるかを疑問視している。その答えは出ないが、繰り返し読むことで浮かび上がってくるものはあるかもしれない。俗習、風習、奇習にぶち当たった時に必須。一家に一冊、禁忌習俗事典。