漫画のことと本のこと

漫画好きが読んだ漫画や本の感想を書くブログです。

ここんとこ読んだ漫画感想2023/9/21~9/24(12件)

その日読んだ漫画の雑感をまとめておくエントリです。

 

リンク切れや無料期間公開終了などご容赦くださいませ。

 

本日は12件の漫画の感想です。

 

 


『逢いたくて、島耕作

 

 

 

課長島耕作を「聖典」と崇めるZ世代サラリーマン、課長島耕作世界へ転生す・・・!

ミッションは、聖典内で非業の死を遂げる小悪党を救い、かつ不整合なく島耕作を課長すること。あと島耕作にも逢いたい!

 

全島ニスト歓喜島耕作世界への信頼厚き島世界堪能漫画。別名「課長島考察」(たぶん私しか言ってない)

 

今回の回でついに「島耕作世界とは「女性がいつの間にか助けてくれて事件解決」が島世界の黄金パターンであることに言及。

 

これ言っちゃって良かったのか・・・!島耕作は社内政治とセックス(女性関係)で社内を動かすだけのことしてないな、と常々思ってて、そのため「誰がいつ上役にゴルフに誘われたか」「抱いた女性がたまたまプロジェクトに影響力のある人だった」を少し視点を変えて延々繰り返していると思っていたけど、これ指摘して良かったんだ

この漫画で指摘してOKということは、やっぱり島ニストはみんなそう思ってたんだなウンウン

 

全国各地に散らばる島ニストの気持ちが一つになった回だった。「島耕作、改めて都合いいよな。。」

 



「まめで四角でやわらかで」

to-ti.in

 

やさしくつましく美しい、江戸の暮らし「ファンタジー」。


温かな線と滑らかな動き、見ていて心地の良い古の世界。

 

素敵なお話なんだけど、一応これは注意が必要だなと思う。

 

たとえば江戸時代において、既婚女性に一般的な化粧であったお歯黒は、この作品には描かれない。

 

また、ごま油を売る回なんかもあるけど江戸の油事情は魚油がメインで(だから灯籠の油を化け猫が舐める)、植物油を普段使いの油のイメージで見ちゃいけなそうだな、とか。

 

この作品では明るく爽やかに描かれる江戸だけど、現実にはもっと臭くて暗いはず。

それを踏まえて「一番綺麗な江戸」として楽しむのはとてもいいけど、これがそのまんまだと思っちゃいけないなっていうのはある。

 

私も江戸には詳しくないので、ちょいちょい出てくるディテールの真贋がつけられない。髪型とかは本当なんだろうし。

 

ちょっと重箱の隅をつつきすぎ・・・とは自分でも思うものの、この漫画は「生活の良さ」をポイントに置いていると思うので、ではそれをウォッシュしていることはちゃんと頭のすみに置いて読まないとな、というのは。


ファンタジーとして読んで、あとあと資料とかで補正できると最高ですよね。

マンガとしてはささやかであたたかでいいお話ばかりだと思います。

 



カッパ少年紅介〜昭和妖怪恋物語

ddnavi.com


カッパでBLで昭和!むっちむちカッパたちの恋模様は百花繚乱〜❤️


かわいいカッパたち、恋をしがちで性別気にしながち。どんな組み合わせもオールオッケー、ここは自由な恋愛区(なお恋に興味のないカッコいいアネキ河童も最高だよ)(デカ女子好き?)


それにしても設定が1970年代くらいに見えて、ベルボトムジーンズや「ツィギー」というほめことばなど、ノスタルジーを超えた過去の文化が新鮮。50年前だからねえ


それにしてもフリーセックス文化のあった時代のこの明るさ、ジャパンからいつの間に失われたんでしょうね?とちょっと首をひねる。そういうカルチャーは確かにあったはずなのにねえ。

 

「肉の女王は愛の月(読み切り)

shonenjumpplus.com

 

鞘田美愛は冷めた中学生。
慈島月子は明るい中学生。
月子の手には、謎の月型のアザがある。
そして、最近出回る失踪者増加のニュース。

 

これ、最初に超褒めるんですけど、絵が見づらいんです!!(これで褒めてる)

 

すごくうまいんだけど、線の強弱が独特で、今のマンガの主流な線画に慣れた目にすごく新鮮。主要キャラ2人、1人が黒髪・1人が白髪(マンガ上)と読みやすさへの配慮は確かにあるし、キャラデザも今っぽいし、なんだけど怪異の表現とか背景とキャラが同化してて、いやあ私は好みです。

 

絵の力が強いんだなあ

 

バトル少年マンガなんだけどタイトルにもあるとおり「肉」のモチーフの選び方とか、なにかおぞましげな「月」とか、とても好きな方向性でした。

 

「[番外編5]サチ録~サチの黙示録~」  

shonenjumpplus.com

 

サチはクソガキ。


このクソガキを人類代表とし、天使と悪魔が「人間審判」を行うことにした。人類存続派の天使と人類滅亡派の悪魔が1人づつ派遣され、サチの「良い子ポイント」を監視する。ポイント次第で人類滅亡!でもサチはクソガキ!!クソガキに振り回される天使と悪魔のギャグ漫画。

 

このマンガ、天使と悪魔の採点の恣意的なところ(悪魔が案外イイやつ)なのも面白いんだけど

 

今回は特別編のショート4コマで、一発目で「憲法と法律に全て違反してやるぜ!でも漢字が多いから焼いちゃえ」という国家レベルのクソガキぶりを披露して、あ、これ「政治的発言は基本的にNG」のSNSに書けないやつじゃん、とゲラゲラ笑ったっていう。政治的!

 

昔のギャグ漫画ってこーゆー、「政治家とかwwwww」みたいなギャグ多かった気がするんですけどね。それが無邪気文脈だったとしても。

 


『指先と恋々』

 

 

 

雪は生まれつきの聴覚障害者。同じ大学のバックパッカー、逸臣との、指先で会話する愛しい日々。

 

私は聴覚障害を持ったことがなく、このマンガの表現が正しいかちょっとわからないとこがあるんだけど、

 

マンガ表現として、吹き出しの文字が濃い黒ではなく、薄墨になっている工夫で、雪と逸臣の会話のメインが声じゃないことを表現してる。

 

逆に聴覚のある人間はどんだけセリフに頼ってんだ、という話でもある気もする。

『映像研には手を出すな!」では、「意味のないセリフの吹き出しは建物と同じパースで歪めてしまう」という手法をとっていて、

 

ことば、セリフ、そういうものの情報量って、そんなに当てになるかな、なんてことを思ったりする。

 

【読切】俺の尿路結石と高橋さん

bigcomics.jp

 

尿道結石になったおれ、

ちらちら視線を送ってくる同期の高橋さん、

ここから恋が・・・始まらない。

 

 

あ、ウン、
いいな、

 

あーーーこれは困るな、
でもいいか!

 

みたいな感情が押し寄せる。このマンガのジャンルを確定することができん(そゆの好き!)

 

グロとかエロとかないので、この不可解な気持ちをのぞいて見たい方はどうぞ。なお尿路結石の痛みにトラウマのある方はお勧めしません。

 

作者の方、尿路結石になったんだろうか・・・あまりに直情的なテーマだ(好き)

 



『女甲冑騎士さんとぼく』

comic-ogyaaa.com

 

オタクなサラリーマンと女甲冑騎士が同居生活。


え?なんて?いや女甲冑騎士!異論とかそういうのよしてください西洋甲冑を着けた高貴な騎士ですよ。千駄ヶ谷ルームシェアしてます。そういうギャグ漫画。

 

「女甲冑騎士」という概念を投入することにより、何気ない日常がドライブする。

今回も「吉祥寺には甲冑騎士が多い」「お、見るからに騎士向けの店」など、まるで混乱する私の方が悪いかのように堂々と甲冑騎士のいる世界を展開する。その上で誰も傷つかない優しい世界なので、退屈な日常にひとさじのファンタジーで新しい視界を開きたい方におすすめ。単純に甲冑騎士が見たい方にも(いるの?)

 

 

「ふたりきり晩酌」(読み切り)

  

shonenjumpplus.com

 

スキンヘッドの夫とスレンダーな妻が大きなキャベツを一つ買った。2人で食べ切れるかな。
時間を味わう2人晩酌。

 

 

。。。。。。。

 

少年漫画って、「ターゲットより少し年上」を描くって聞いたことがあって。中学生向けなら高校生もの、大学生向けなら社会人もの。

 

今回いただきましたマンガ、私でしょ?私を。。私を狙ってきて。。るんだよね?フフ。。。フフフフフ。。。(涙)

 

「ことばで説明しない」空気感も、ヌケのある洗練された絵も心地よく、シンプルに良い創作、と言えるし、

 

子育て勢、子育て勢。。。。どうぞどうぞ見ていって下さいヨ。

 

(こういう文脈が嫌な「子」の立場の人もいるだろうね。親世代が嫌ならぶっちぎっていいんですよ。こういうの見ながら茶をすすっている者を足蹴にして行きなさい)

 

「[第一話]歴史メンタリスト」

shonenjumpplus.com

 

司馬朔太郎は大学院生。負け武将の一生が好きで進まぬ修論を書いているが、時はコロナでフィールドワークもままなりません!


煮詰まった部屋に突如現れたのはボロカスのようになった【源頼朝】と【仏の使い】。
朔太郎はその負け武将への情熱を買われ、歴史上の人物のメンタルケアをする「歴史メンタリスト」に選ばれたのだ!しょぼしょぼ歴史人物を慰める歴史ファンタジーコメディ。

 

伊集院光は・・・・・・

 

ラジオの時は「黒の伊集院」、テレビの時は「白の伊集院」、映画になると「金の伊集院」と・・・

 

TPOを使い分けている、と言われてきた。

 

なんでこんな話したかというと、このナンパで軽いマンガの原作、毎回毎回賛否両論を振りまく「鳥トマト原作」だからッ!白い鳥トマト!なんも辛いことはないマンガだけど、黒い鳥トマトを思い浮かべながら読むと少し味も変わるでしょう!味変!!

 

作品自体は歴史人物の史実あるあるモノなので歴史好きにニコニコな案件。とてもライトで楽しげなエンタメなので、歴史二次創作が好きな方にシンプルにおすすめです。

 

 

芥川賞大江賞受賞作家・長嶋有の小説コミカライズ

萩尾望都「十時間」
衿沢世衣子「ぼくは落ち着きがない」

 

comic-action.com

 

へえー?面白そうな企画ね?みたいなぼんやりした感じでいたら、

> 今週はこちらの2作品を配信します。


萩尾望都「十時間」
衿沢世衣子「ぼくは落ち着きがない」

 

ガタガタガタッ(イマジナリー席を立つ音)!

「豪華」の桁が違うッ!!!

 

なお、今後の配信予定は↓だそう。マジで豪華じゃねえかよウ・・・


100%ORANGE「女神の石」
よしもとよしとも「噛みながら」
フジモトマサル「ねたあとに」
陽気婢   「エロマンガ島の三人」
小玉ユキ「泣かない女はいない」
うめ「パラレル」
島崎譲   「THE BUNGO」
吉田戦車ジャージの二人
オカヤイヅミ「佐渡の三人」
ウラモトユウコ「サイドカーに犬
河井克夫「タンノイのエジンバラ
雁須磨子「三の隣は五号室」
コナリミサト「もう生まれたくない」
丹羽庭「今も未来も変わらない」
鶴谷香央理「問いのない答え」
三本阪奈「舟」
米代恭「三十歳」

 

 

なお、今回配信の2作品の感想は以下。

 

萩尾望都の、つましい昭和の家からカーニバルのような華やかな世界に意識をぶっ飛ばす鮮やかなイマジネーション(そして親不在の家を守るという試練)

 

『2年1組 うちのクラスの女子がヤバい』で「にこにこの多様性」を描いた衿沢世衣子によるわちゃわちゃ文系バトルも楽しい。

 

元の作品を知らずに読めるし、マンガの終わりに解説もついてるので何重にも楽しめますヨ。豪華な企画だな〜

 

 

衿沢世衣子作品「2年1組うちのクラスの女子がヤバい」は↓

to-ti.in