やるせなくて切ない、パンデミックの日常SF。
手話を寂しい水色で描き、柔らかく印象に残る。
人は希望を持つべきだ、それがSFなら。
この作品の会話は手話であり、水色で取り出された手でつむがれる簡易手話はビジュアル面での愛らしい主張がある。
しかし愛らしいコロコロした手が語るのは、優しさを切り裂く悲痛なせりふだ。
使い慣れない伝達方法を使う時、ヒトはとてもシンプルに自分の思いを伝えられるのかもしれない。
最初は伝わらなかった想いと、伝わった想い。
簡易手話と、声を出せないパンデミック。取り合わせが素晴らしい作品だった。