漫画のことと本のこと

漫画好きが読んだ漫画や本の感想を書くブログです。

9/13の漫画の感想(2件)

このエントリーに書いた感想は以下の2件。

 

  1. 『マーメイドインザボトル』
  2. 『回顧 冬虫カイコ作品集』

 

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『マーメイドインザボトル』

 

 

母親が経営する化粧品会社に勤めるたける

妹が手に取った試供品の中には、小さな小さな人魚が入っていた。

兄と妹のボーイミーツガール。

 

家族への愛憎半ばの気持ちと、少し危うい兄への気持ち。

妹ラブのファンタジープラトニックなので怖がらずにどうぞ。

 

 

『回顧 冬虫カイコ作品集』

女に対しての同調圧力が万力のように締め付けてくる6編の短編から成る短編集。

いとこの葬儀に帰った地元で伯父に謝ることになる女、田舎の美術部の幼い優越感を競わせてしまった友人同士・・・

逃げられない土地、逆らえない人たち、閉塞感。

 

ちょっと個人的な話をしますと、

私は新興住宅地生まれ、その上ADHDという「人の話を聞かない」ことに定評のある特性もちで、女として生まれても親戚からの圧力はなかったし親の「地元で就職してほしい」もオールスルーで生きてきたわけです。

そのため女ゆえの縛り、みたいな辛さはあんまり味わってこなかったと思います。

が、が、そんな私ですら背筋の凍るようなこの閉塞感!!!

閉塞感のひよっこの私ですら「こ、こわあ~~~・・・」と感じるのだから、きっとちょい地方の出身の女性の方はめちゃくちゃ、めちゃくちゃ怖い作品なんじゃないかなあと想像します・・・。意味わかんないよねおじいちゃん的存在の意見と違うこと発言すると謝らされるとかさ。

 

ちょっと大きい話になるけど、農村ベースのヒエラルキーとしての家父長制について、現代ではもう我慢しなくて大丈夫なんだよねえ。今、お金さえあればその共同体から逃げることってできるから。

だからこそなお、年長者(ヒエラルキーの上の方)は下の方を縛り付けるのに躍起になると思うし、過渡期が一番激しい摩擦があるんじゃないかなと思って。

逃げれば追われる。つまり逃げかけている人ほどキツイ反応がくる。

キツイ反応がきたらしめしめと思うのだ。あなたは今、逃げるのに成功しかけている。そのまま後ろを見ずに走れ!

 

9/12の漫画の感想(3件)

このエントリーに書いた感想は以下の3件。

 

  1. 『星をあつめる少年』
  2. 『始発の電車』※Twitter漫画
  3. 『仏師』

 

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『星をあつめる少年』

comic-days.com

 

アフタヌーン四季賞2022夏 四季賞

スウェーデンの深い森の中、フィールドワークをしている大学講師のベンが出会った一人の少年とは。

 

絵の美しさで感じる古代信仰の威圧感。

ベンが持つ【スマホ】が現代を醸し出してくるのだけど、序盤で「現代(スマホ)」を出してきたにも関わらず強力に古代へ引き込んでいく絵力。

 

文明、特にベンの所属する欧米文化の基準で言えば、13歳の少年を一人で生活させること、また職業選択の自由をはく奪していることは許しがたい人権侵害であるはずだけれど(ベンにもその躊躇が見える)、人の手の外にある理(ことわり)、そしてベン自体の奥底にある生命への畏怖はそれを越えるわけで。

 

とにかく絵が見ほれる美しさなので、ぜひ大き目のタブレットかPCで見ていただくとよいかなと。文明、ちっぽけ!

 

『始発の電車』※Twitter漫画

(作者個人のツイートのため掲載削除されてたらごめんなさい)

怒涛のカケアミで表現されるショートなマンガ。

 

早朝の東京のある駅、始発に乗る言葉少なな漫画はヒトによりいろんな思い出が載る空白にあふれている。

私は自分の若い日のある日を思い出しました。みなさんはどうでしょうね。

 

『仏師』

乱世の小国の領主の妻としてやってきた「死神」の姫、その面立ちを仏像として彫りたい仏師。

人の命が安い時代。淡い恋と、どこかへ逃げたい気持ちと、それでも問い続ける生まれた意味。

 

ベタの少ない、白が印象的な画面で綴られる酷薄な物語。いつ登場人物が死んでもおかしくないキリキリした緊張感の中、それでも激しく生きる人々の姿は感じ入るものがある。

 

同時収録に不気味で哀しい枠物語『雨夜三人話』、赤ちゃんかわええ、の『むが』を収録。『むが』のもちもちっとした赤ちゃんは本当にかわええ。

 

先週読んだ漫画感想まとめ(9/5週5日分)

 先週読んだ漫画の感想記事のアーカイブです(9/5週5日分14件) 

 

記事ごとに書いた漫画感想のタイトルを並べています。好きな漫画、気になる漫画の感想を読むもよし、とりあえず全部読んでみるもよし。

 

 

 

9/5の漫画の感想(3件)

 

  1. 『[45話]ハイパーインフレーション
  2. 『ぼくははやくなっていく』
  3. 『鬼喰奇譚』

 

電脳マヴォの『ぼくははやくなっていく』、ひとによって読み方が異なるであろう良作のSF短編です。切なくてねえ、いいですよ・・・。

ima-nakayama.hatenadiary.com

 

9/6の漫画の感想(3件)

 

  1. タイトル不明(『本が読めない話』)(Twitter漫画)
  2. 月の恋人』(Twitter漫画)
  3. 『片喰と黄金 第49話 カンザス⓫⑥』

 

TwitterでPRとして流れてきた漫画をご紹介しております。見られなくなったらすみません。でも二つともいいマンガでした。特に「本が読めない話」はグッとくるなあ。シックスパックが。

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9/7の漫画の感想(2件)

  1. 『電波青年』
  2. 彼岸花 15曲目』

 

電波青年、これなんで知名度あんまりないんだろ・・・という超良作ですぞ。kindleのアンリミテッドで読めるので読んでない方ぜひ。心がささくれるクライムロードムービー

(一気読みしていたのでこの日は感想が少ない)

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9/8の漫画の感想(3件)

  1. 『テラ麺』11話
  2. good!アフタヌーン 2022年10号』
  3. 「モーニング 2022年41号』

 

good!アフタヌーン 2022年10号』の読み切り、『心臓のある方』、すごくよかったんですよ。男子も女子も、なにかしなきゃいけなくて困ってる。

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9/9の漫画の感想(3件)

 

  1. 『霧尾ファンクラブ』
  2. チャンピオンRED 2022年8月号』
  3. 『FEEL YOUNG 2022年8月号』

 

チャンピオンRED、電子で読むと『シグルイ』が読めるぞー-!懐かしいー!残酷絵ー!

ima-nakayama.hatenadiary.com

 

9/9の漫画の感想(3件)

このエントリーに書いた感想は以下の3件。

 

  1. 『霧尾ファンクラブ』
  2. チャンピオンRED 2022年8月号』
  3. 『FEEL YOUNG 2022年8月号』

 

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『霧尾ファンクラブ』

j-nbooks.jp

 

同じクラスの霧尾くんが大好きな女子二人。体育館裏で、ファミレスで、屋上で、二人はいつでも霧尾くんのことを想定してお互いをけん制。切ない以上に面白い、女子二人の妄想ファンクラブ。

 

話題の中心人物不在(たまに出てくるけど)でひっぱる『桐島、部活やめるってよ』スタイルのコント。ヤンキーめのボケの藍美、おっとりでボケもツッコミもの波、キャラの立っている二人が繰り広げる会話は想像以上にくだらない。でもたまにちょっと切ないこともあるので油断ならない。

 

 

チャンピオンRED 2022年8月号』

『ニンジャスレイヤー キョート・ヘル・オン・アース』

 

ニンジャ殺すべし!神にも近い存在「ニンジャ」を狩るニンジャ、それがニンジャスレイヤー!サイバーパンクなネオ・サイタマで今日もニンジャとアンブッシュするマッポー活劇。

 

漫画は基本電子派ですが、ニンスレは紙で集めております。元は小説なのだけど、その文字の多さとうさん臭さを漫画で最高に表現。小説が気になっている人はマンガからも是非にお勧めなのです。

今はニンジャスレイヤー・フジキドの師匠、ガンドーのエピソードを連載。でも特に続きとか気にしないで読んでもらって大丈夫。そう古事記にも書いてある。

 

『不安の種*』

伊藤潤二の「怖そうで怖くないちょっと怖い漫画」。

の割りに、今号はけっこう直球でびっくりする。うそつき、不安の種って言ってるけどシンプルに怖かったぞ!

 

シグルイ

原作:南條範夫・作画:山口貴由の残酷絵活劇。電子版限定のアンコール掲載のこと。

血と内臓がじゃんじゃん出る残酷絵でスカッとする人におすすめ、私はスカッとしました(血と内臓がジャンジャン出るのがスカッとするタチ)

 

『FEEL YOUNG 2022年8月号』

 

『後ハッピーマニア

20年前一世を風靡した「恋の暴走機関車」、ハッピーマニアのカヨコが40代になってカムバック。

昔は気前よく仕事を変えてふわふわ遊び暮らしていたカヨコが、ご時世と年齢柄ちんまりした探偵事務所で不倫を覗き見る探偵になるという・・・安野モヨコの「ナチュラルにいろんな恋愛を見まくれる」設定遣いのうまさ健在。カヨコが老いて恋愛とかめんどくさい、と言い出す哀しさに涙・・・

 

『異国日記』

ああダメだ、単行本派なのにどうしても見てしまった・・・今号のお話、余韻と未来を判断しがたい切なさ、1話完結の短編として見てもすごく心に残ってオススメ・・・

 

発達障害なわたしたち』

作者、そして作者の担当者も発達障害なコンビで送る発達障害あるある漫画。

今回は一挙2話掲載&漫画家のカメントツ先生のインタビュー漫画。

カメントツ先生も発達障害だったのですねえ・・・知らんかった。

このブログの著者も発達障害(服薬で不具合を抑えてる)なのでふむふむうなづきながら見ております。わかりみー!

 

 

9/8の漫画の感想(3件)

このエントリーに書いた感想は以下の3件。

 

  1. 『テラ麺』11話
  2. good!アフタヌーン 2022年10号』
  3. 「モーニング 2022年41号』

 

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『テラ麺』11話

viewer.heros-web.com

ラーメン好きがラーメンをめぐり、時にラーメン好きの異星人と邂逅してラーメンを食べる、少しふしぎな良質SF。

今回はその良質さ・・・というかゆとりというか遊びが輝く回。だってラーメンそのものも異星人も出ないけど成立するほんわかストーリーなんですもの。

のんびりしたい気持ちの時にぜひ。

 

 

 

good!アフタヌーン 2022年10号』

comic-days.com

 

大変勢いのある雑誌!ファンタジー多めだけどコントホラー『スイカ』等尖った作品あり。

TwitterのTLでよく見かける『ビンテイジ』が掲載(今まで載ってなかったよね??)。

ジャンル「古着」というマニアックな世界で、今回もデニムハンターの話とかすごかった。ハンター!

読み切り『心臓のある方』すごくいい。男女等しく俺たちは、セックスをすれば何かになれると勘違いしてしまう・・・。

 

 

「モーニング 2022年41号』

comic-days.com

新連載

『ジドリの女王〜氏家真知子最後の取材〜』

敏腕だが同僚&上司からは疎まれる、週刊誌記者・氏家真知子が難事件の真相を追う・・・!

(モーニング 2022年41号より引用)

 

安野モヨコの『働きマン』やおかざき真里の『サプリ』みたいなバリキャリ女性の働く漫画、お仕事もの漫画って最近見ないなと思ってて、たまには見たいなーと思ってたわけで嬉しい。

 

が、上記の2作品が「男社会で女として生き抜く」みたいなところ、本作は「男社会みたいだけどアタシの世界でもあるんだよねッッ」と見栄を切る強さがあっていいですねえ。女性である特徴を揶揄されても一歩も引かずに逆にディスり返す。痛快!

とにかく女のコームオーバー(ツーブロのもっと刈り上げてるやつ)がカッコいいぜ!

9/7の漫画の感想(2件)

このエントリーに書いた感想は以下の2件。

 

  1. 『電波青年』
  2. 彼岸花 15曲目』

 

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『電波青年』

お笑い芸人崩れの青年と、デリヘル嬢。

青年は警察に追われている、デリ嬢は連れて行ってほしい。2人は妙にしゃべりが合う。

やぶれかぶれで誰もが不幸で、ただひとつ、注目されたい、喋りで人を笑わせたい、その願いは燻って、次第に迫る捜査にも関わらずウェブラジオが続く奇妙な逃避行。

 

貧困ディストピアSFの傑作、『フールナイト』の安田佳澄先生発、焦燥感で焦げそうなクライムロードムービー

登場人物、男は殺人犯か刑事かヤクザか不良、女は基本的に風俗嬢という社会の鍋の底の世界観。

暴力と性暴力と公権力の追手、胃が重ーくなりそうな辛さに軽さを与えてまとめる「お笑いラジオ」の存在。

 

これは映像向きな漫画ですが(なんで映画化してないのコレ?)安田先生の美麗な絵が大変良いので漫画でいい。けど映像化するならしゃべりのうまい人にお願い(だから漫画だと言ってるだろう)。

 

 

彼岸花 15曲目』

to-ti.in

40代、元パンクロッカー、女。

切り絵のような圧の強い絵柄とパンクなリリックが重なる40代主婦の生活。

 

私ちょうど40代女をやってるんですけど、すごいビシビシ来るんですよね。生活ぶりが。

こんなにパンクな見た目なのにファミレスでランチしたりとか派遣社員で不倫したりとか、ここはあくまで日本のとある町。

 

今回のお話、特にじわっと刺さる人は多いんじゃないかなあ。あと、パンクな夫が優しくてね・・・できたら数話前から読んでほしいかも。あ、でも全部読んでほしいかも。

9/6の漫画の感想(3件)

このエントリーに書いた感想は以下の3件。

 

  1. タイトル不明(『本が読めない話』)
  2. 月の恋人』(Twitter漫画)
  3. 『片喰と黄金 第49話 カンザス⓫⑥』

 

Webマンガリンクはエントリー公開後時間が経つと閲覧ができない可能性があります。ご了承くださいませ

 

タイトル不明(『本が読めない話』)

 

Twitterの作者リンクのため見えなくなってたらごめんなさい。

ショートな面白漫画。脱いだ男の妙な肉体美と『時計じかけのオレンジ』みたいな眼球むき出しシーンが楽しいです。こういう才能が突如流れてくるからツイッタは止められない。

 

↓なお、作者の脇田茜先生の商業漫画はこちら。かわいい妖精とかわいいパタンナーのかわいいお話。

 

 

月の恋人

 

こちらもTwitterで流れてきた漫画で面白かったのでご紹介。

ちょっとドキドキする甘酸っぱい恋、からのSF。

 

 

BOOTHで販売もしているようなので、興味があれば検索してみてください。

 

 

『片喰と黄金 第49話 カンザス⓫⑥』

アイルランド移民アメリカゴールドラッシュ物語、ついにインディオアメリカ大陸先住民)との摩擦・・・・・・・・・という言い方だと汚いですね、抑圧。

 

『片喰と黄金』、史実もしっかりと踏まえ、監修もついてのこの歴史物語をやるにあたって、避けては通れないエピソード。

先住民抑圧については帝国主義植民地主義国の人間はいつだって考えていかないといけない。

でも、この物語の登場人物たちを理想的に変えたところで、史実が変わるわけでもまたない。

であればその高揚感と、良いキャラクターぶりとをしっかりと受け止めた方がいい気がしている。

実際、開拓民ていい人が多かったと思うよ。正義感が強く、冒険心にあふれ、自立心旺盛な人たちで、自分の苦難を個人として乗り越えようとした人たちだったと思う。

その善の部分を思い切り味わうのはいい事じゃないかな。

そして地獄のような現実もまた、後日セットで学ぶと・・・その時に言い訳は効かない。善き人たちの夢の名のもとに累々と死んでいった人、文化、自然があったことを学ぶ。

 

少なくとも我々はその結果の歴史を生きている。それは覆せないし、それを隠してはならない。善き人たちが行った結果のことを。

 

 

大衆アートが現実にアプローチする力って「知るきっかけ」であって、私は歴史の漫画がたくさんあるのはいいことだと思うのです。ああ、併せて『ヴィンランド・サガ』も読みたいなあ。