その日読んだ漫画の雑感をまとめておくエントリです。
リンク切れや無料期間公開終了などご容赦くださいませ。
本日は5件の漫画の感想です。
くびしょい勇者
それは勇者が魔王を倒すところから始まる物語。
勇者はアイデンティティを失い、そんな不甲斐ない勇者を見て「いやこんなしょぼくれにやられたとか言われるのは嫌だ」とアイデンティティをかける首だけ魔王。アイデンティティ追いかけっこ!元は敵同士だったふたりのちょっと仲良しな旅路。
こう、メインストーリーのアナザーサイドというか。王道の物語のダークサイド。能力はあってもメンタル的にはそんなに強くないヒューマンに勇者(使命)を背負わせると自己肯定感が下がる!という地獄みたいな示唆がツライ。首だけ魔王ちゃんがいい人で本当に良かった。
作者のツナミノユウ氏は同媒体「コミプレ」で、過去に「ぽっちゃり肥まくったセクシーインド女神が現代日本に降臨して毎日ジャージ(なんて?)」という日常系漫画を創作していました。今回もスットコドッコイな匂いがする。
『山女のはらわた』
ラジオがあるくらいの時代、どこか東アジアの国の村。
村人たちはふらりとやってきた美女、安(あん)に夢中。村の少女小丹(シャオタン)も安が大好き。優しくて物静かで穏やかな安は、ある時、はるか昔の呪われし物語を小丹に語り出す。
いやらしさ&ナイス丸み&滅べルッキズム!!
いや。。アウトプットが混線するほどモヤモヤする作品です。好きです!
あんまり説明するのは野暮なのでぜひ見てきてほしく、見ていただいたと仮定してあらすじ抜きにした説明不足な感想を書くんですが、(できれば読んできて!)
女が主役の民話ってのは、なんたってこんなにしけっぽいんだい!
うるせえうるせえ、女が辛い目にあって楽しいかよ、その感情のドロみとエロみがないまぜになったヤツは美味しいかよ、美味しいだろうよ禁断っぽいだろうよ
エモーショナルとしては完全に理解する。おぞましさといやらしさは相互協力関係にある。おぞましくもいやらしい、背徳のセクシャリティ。
そしてはるか昔の農村部、醜い女が現実としてどれだけの目にあったか、想像だけならばできる。
安は0か1のデジタルな世界に生きている。醜く死ぬか、美しく(永遠に)生きるか。そのあわいが本当に欲しいものなのに。
現在の安が、極めてふくよかな状態で美人と寿がれているのは幸いなんだけど、それは山女の呪いなんじゃないかな、とも思う。安の生まれたままの姿を喜んでくれる人は誰もいない。
『黄泉のツガイ』6巻
朝と昼を分かつこどもたちが生まれた・・・
山中で物々交換の生活を営む村落。アサとユルは伝承に伝えられしこどもとして育てられていたが、ある日襲来した妖「ツガイ」により世界は一変。ユルは村の石像のツガイ左右様を従え、現代社会の街に降りて両親を探す。
相変わらずはちゃめちゃに面白いアクション群像劇、6巻目。
あの〜、ワタシ、さる名前を言ってはいけないマンガ(大人気なので検索されてしまうがいい感情は抱いていないので伏せたい)で、「敵と味方がクルクル変わる」ってのが大好きだったんです。前エピソードで背中を合わせて戦った同士が次のエピソードでは殺し合う。イヤッホー!生きてるウ!(エンタメには刺激が欲しいタイプ)
『黄泉のツガイ』も裏切り裏切られ、いつなんどき誰が尻尾を出すかのサスペンスは見もの。えっひょっとしてあの主要キャラもいずれ裏切る?イヤッホー!
とんでもない仮説を立てるのですが、これってどう?恋愛マンガに近いんじゃない(とんでもない)?
恋も愛も、あの人が好きか嫌いか横取りするか、みたいなところあるじゃないですか。それが命(タマ)の取り合いになったって考えると、このドキドキも理解の範疇かも知れない。なんが情緒おかしいかしら。。
それにしても代表作『鋼の錬金術師』は強さマックスなのに不殺の主人公だったけど、今回はじゃんじゃん死んでたのしーなー!ワタシはあの名前は言ってはいけないマンガでヒトがはちゃめちゃに死ぬのが楽しくてね、ゴールデンカムイって言うんですけど(言っちゃった)
「刀贄心中」(読み切り)
江戸末期。目の前で家族を惨殺された少年、鞘十郎。死の間際に話しかけてきたのは妖艶で眼帯の美女。名刀、千代丸の付喪神である彼女を手にし魅入られ、少年は血まみれの道を歩む。
こう〜、濃ゆいデスネ!!!
絵からはみ出してくるような密度の濃い作画。なんていうか、誌面から出てくるような気迫がある。
話の作りも、少年マンガから一歩、怨念めいた情愛を感じさせていいっス。濃い!
残酷さとエロスがないまぜになっている感覚。うふふたまにはこういうのもいいですねえ。
『かわいそうな私たち』(読み切り)
アイドルみたいにかわいいあの子と、小太りで冴えない私って、いったいどっちがかわいそう?
すっごくかわいくてミスコンに出る予定の藤島さんを、写真部の松崎さんが写真に撮る。ぱっと見「差」のある2人が出会って生まれた小さくて大きな事件。
「冴えなさ」の解像度が高い・・・というか、ちょうどいいというか。
もうねえ、冴えないってことは、ほんのちょっと至らない、ということなんですよ。そこに強度の格差・・・民族格差や性格差など、ほんとうに覆せない屈辱じゃなくて、ちょっぴり至らない。
私はもう10代の頃ってストレートに松崎さんの体型で、いやあ冴えませんでしたね。
今も、冴える冴えないみたいなところをあんまり気にしないで済んでいるだけで、絶賛冴えていません。でもこの「気にしないで済む」ことがでかいですよね。今は、超~~~美人なレディと自分を同列に扱うことができます。でも、ナイーブな10代の子におんなじことを強要するのもマッチョな気がするんスよ。
松崎さんがハイライトでとった行動、これどうかなあ・・・私なんかは身をよじるほどの勇気・・・であると感じます。10代であの体型(→自分の記憶の中の腹肉)であのステージにいくの、私、たぶん無理。その手触りのある無理感・・・つまり理想のファンタジーのスゴさを、私はものすごくガッツリ受け取りましたねえ。
ウルトラマンブレーザー最終話
マンガの感想を標榜しているくせにしれっとウルトラマンをぶちこむ無節操さがありますね(他人事のように)
ていうか、イラク戦争のような・・・もっと言えば、侵略主義に反対するメッセージだったと思う。
全編通じて隠されていた謎が「宇宙から飛来してくるタイプの怪獣については、1999年に敵性飛来船団として撃墜されて船団が『実は相手は武器等を所有していなかった』ことが分かっていたためではないか」ということで。
イラク戦争じゃん・・・・!!
そこから敵攻撃をやめること、ただしもう飛来してきて直接アタックを加えてくる個体は撃退すること、
バランスがとれていたと思う。
あと、わたしはゲント隊長がエミちゃんの気持ちをこうアレしてアレしてる感じなのにちょっとおこだったんですけど(ゲント隊長はエミちゃんを意識して遠ざけるように!!!)、最後のウルトラ〆が左手の指輪のアイコンと家族のもとに帰るパパだったの、ヨシっと頷きました。少なくともこどもの見るファンタジーでそいつぁ守ってもらいたいぜ!ってとこを守ってくれたのでヨシっ!!