漫画のことと本のこと

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9/14の漫画の感想(1件)

このエントリーに書いた感想は以下の1件。

 

『光る風』

 

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『光る風』

「xxxx年○月○日」で始まる、1970年の架空日本。

とある村で流行した奇病と隔離政策、カンボジアの戦争のニュース。くすぶる悪意が日本を再び軍国主義へ吹き戻すディストピアSF。

 

がきデカ』の山上たつひこ先生が『あしたのジョー』と同時期にマガジンで連載していたポリティカル(政治的なニュアンスを含む)な純文学。手塚治虫の影響を色濃く感じさせる絵ながら、バイオレンスシーンは派手ながら地味(回数と血の量は多いが跳躍などのアクションは少な目)でこれは私、好みです。

天皇制、軍部による細菌兵器開発といった現代の出版社では出しづらいであろうキーワードをたっぷりと使用し、事故による四肢欠損(江戸川乱歩『芋虫』ですな)などグロなモチーフを盛り込み、ラストを「問い」で〆る消費系アートにはあり得ない作り。

 

山上先生はこの作品のあと、雑誌をチャンピオンに代えて『がきデカ』を描かれるそうで。ああ、そういやあがきデカって小学生警察官が他人に死刑!って言いまくる漫画ではあったな、秩序と公権力の愚弄と破壊ではあったな・・・などと思ったりして。

 

「誰が見張りをあざ笑うのか」の『ザ・ボーイズ』を読んでいる最中なので、「誰が公権力に「八方島のきょん」するのか」という文脈で比較論文を・・・・・・・・・・(書くのお?)

 

『光る風』自体はやや解説不足で性急な展開もありつつ、非常に骨太でエネルギーに満ちた漫画なので無情の風に吹かれたい方におすすめ。kindleアンリミテッドで全3巻読めますが、内容的にAmazonが取り扱ってくれなくなる可能性もあるため私は紙でも買いました。こういう作品が削除されない社会であれ。