漫画のことと本のこと

漫画好きが読んだ漫画や本の感想を書くブログです。

9/26の漫画感想(1件)

本日の漫画感想はこちらの一件。

 

 

ちびまる子ちゃん』2巻

 

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静岡県清水区で相当な水害がありましたね(2022年9月25日)。

 

あまりニュースで報道がなく全容がわからないまま、本日は水が引いているようです。住民の無事を祈るばかりです。。

 

さてこの『ちびまる子ちゃん』2巻でも、家々が浸水する水害がテーマの回(まるちゃんの町は大洪水)があります。

1974年静岡県の「七夕豪雨」と名付けられた災害がモデルのようです。さくらももこも幼い頃に目にしたそうで、低地の一軒家の家家が水没して屋根だけ出ている様子が描かれています。

 

・・・が、この回、不謹慎回として現在はアニメでも見られないようです。

なぜかって牧歌的で楽観的にすぎるまるちゃんたちの様子。水浸しの家の前で写真を撮り、みんなでワイワイ野次馬に行く。死人が出た家にはたまらないでしょうね。。

 

 

 

で、まあ、ここから先はコンテンツの時代性の話ですけども、『ちびまる子ちゃん』2巻は1988年初版。

 

時代性としてものんびりとした時代で、こども目線のワクワクとして描かれたんだろうなと。

 

1988年は、現在2022年と比べて随分経済的に牧歌的でした。たしかにスマホもウーバーイーツもありませんでしたが、アラフォーの筆者の肌感として、子ども食堂は無かったし奨学金を20年以上背負ってる若者も居ませんでした。

(↓は生活保護の被保護実人員のグラフを引っ張ってきました。1988年は昭和63年で、平成と比べれば段違いに低いですね。。)

 

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厚生労働省生活保護の被保護者調査(平成 30 年度確定値)の結果』)

 

私は1988年の頃はこどもだったのですが、「現在より生活レベルは低かったけどみんな低かったから貧乏がそんなに気にならなかったな」とは思います。格差が少なかったんですね。

 

とは言えじゃあ格差が少なくてのんびりしてたから水害でキャッキャしていいか、と言われれば、これは人死にもあったのでNOですね。

 

しかしこれはさくらももこの芸風でもある落語のような他人事感、そしてなにより隠しきれない毒なのでもう仕方がない。

 

さくらももこは無害な漫画家ではなく、こういった確信犯的な毒を持つ漫画家でした。それが後年コジコジなどのシュールギャグにつながっていくのでしょうが、かわいらしい画風や庶民モチーフを取り払うと、割と「無邪気な邪悪」がウリだった気がします。

 

その邪悪は実に庶民的な邪悪で、大変な被害を野次馬として楽しめちゃう邪悪であり、「災害にあった人たちもなんやかんや楽しそうにしてるね〜」と被害者を自分の視野の範囲でコンテンツにしてしまう邪悪であり、とてもこどもらしい邪悪であると思います。

 

こどもの狭い視野で見れば、大災害は(自分が酷い目にあってなければ)ワクワクでした。

ちびまる子ちゃん』は徹頭徹尾こども目線で描かれた漫画で、かつ1988年のりぼんは完全に子どもの読み物だったのでそれで間違いじゃありません。

 

そして時代は豊か(というか格差が少ない)でのんびりしてて、こんな大災害が起こることも想定されていなくて、あくまで昔の苦労の思い出をカリカチュアして描かれたのでしょう。無邪気、無邪気コンテンツ・・・!

 

1974年の七夕豪雨は雨量500ミリ越え、2022年今回の水害(今は無名)も500ミリ越え。『ちびまる子ちゃん』の中では子どもの目線のワクワクする楽しい思い出話ですが、現在進行形ではそれどころではありません。

 

1日も早く復興が進むことを願うと共に、この被害を忘れないようにしないといけません(忘れると支援が打ち切られたりするので)。『ちびまる子ちゃん』を久々読んでそんなことを思いました。

 

↓正直いって報道が少なく、あまり情報がないのですが・・・2022年9月26日22時現在はこんな感じのニュースがあります。

https://news.yahoo.co.jp/articles/47810fe811af7940f631c3434f1a1a0120e6893e