漫画のことと本のこと

漫画好きが読んだ漫画や本の感想を書くブログです。

8/18に読んだ漫画の感想(4件)

このエントリーに書いた感想は以下の4件。

 

  1. Dr.STONE
  2. 『トリリオンゲーム』
  3. 『凪のお暇』10
  4. 『夏目アラタの結婚』

 

Webマンガリンクは時間が経つと閲覧ができなくなっている可能性もありますがご了承くださいませ

 

 

Dr.STONE

 

21世紀の地球のすべての人間が、ある日、謎の光によって石化した・・・。

数千年の時を経て、石化から蘇った少年がいた。それが石神千空、科学の天才である。文明が完全になくなった世界で、千空は科学を駆使して人類を救う・・・!

 

最終巻まで読みましたよ!

いやあ、科学の楽しさ、進歩の希望、仲間の多様性とチームワーク・・。これが噂の「努力友情勝利」かー!と胸が熱くなりました。バトルがメインじゃなくても漫画は努力友情勝利ができるのだ・・・。Boichi先生のシャレにならないほど美麗な絵も含め、こんなハイクオリティな「ジャンプ」を本当にありがとうございました。子どもに読ませたいのですべて紙の本でそろえております。あとBoichi先生が描いたスピンオフも紙で持ってます(また泣けるんだこれが)。

 

なので大好きだし全く文句はないのですが、ちょっと思考実験したくなっちゃうのが宗教の存在。

作中でもメンタリストゲンが「団体としてまとまれるのは200人が限度」と言っていた通り、多数の人間の意思を統率するためには宗教が必要じゃないかなとか。特に過去の文明が消滅し、継続した未来が見えないのであればなおさら。

本作は性善説に則ったアドベンチャーファンタジーなのでその辺を突っ込むのは野暮だし、あくまで「科学の力で打ち勝つ」がメインテーマなので、人類の歴史をなぞる作品じゃない。だから宗教が無くてもいいんだけど・・・。

というか、宗教を排した理想的な科学による文明圏を創る、って現実の歴史でも聞いたことあるなーなんて思ったりして。こういう世界になりたかったんだろうなー、理想はこうだったんだろうなー、っていう感慨がある。そのためには全人類石化して文明まるごと一回葬る、くらいのリセットが必要だったのかもな、なんて思っちゃったりして・・・。

 

 

『トリリオンゲーム』

 

「心臓に毛が生えてる・・・というか鉄のハリセンボンみたいになってる」青年と、人並み以上(しかし神がかった・・・というレベルでもない)プログラムの得意な青年。ふたりはスタートアップ企業「トリリオンゲーム」を創立し、その名の通りなんでも手に入るカネ、1兆ドルを目指す!

破天荒な男と引っ込み思案の男がうまく突っ込み突っ込まれ、大人たちを出し抜くベンチャー企業マネーゲームを繰り広げる。

荒唐無稽なカネ集めは爽快なほどぶっとんでおり何もかも忘れて楽しめる娯楽大作。

・・・が、『Dr.STONE』と原作者が同じで、主人公ハルの物言いがあまりにも千空と似ているため「千空!お前千空じゃないか!」と目が泳いでしまう。ネームにもそこかしこに『Dr.STONE』の面影があり、ああ~こんな顔コハク(『Dr.STONE』のメインキャラ)もしてたわ~という感慨が。作品をまたいでなお香る個性、嫌いじゃないッス。

『トリリオンゲーム』から読んだ人は、きっと『Dr.STONE』の千空を見て「ハルが科学実験をしている・・・!?」と混乱すること請け合い。この順番で読みそうな人は楽しみにしててほしい。

 

 

『凪のお暇』10

空気を読み過ぎたOL、大島凪。恋人にも会社にも親にも良い顔してニコニコして、ついに過呼吸でぶっ倒れた。安心できる今までの環境、全部投げ捨てて「お暇」をいただく、自分探しの物語。

 

ホワイトカラー勤務の嫌メンタルすべてが詰まっていると話題(私の中で)の『凪のお暇』ですが、序盤のボス、モラハラ気質の凪の元カレ慎二が一番感情移入のできるキャラになるバグが発生中

序盤の慎二はそりゃあもう嫌な奴で、可及的速やかに排除した方が社会のためになるぞオラア、その間に凪チャン逃げろー!みたいな毒男だったのに、ここんとこ慎二の毒親や社会からの「男」プレッシャーにクラッシュされまくっており慎二の心情に「分かるウ・・・」とポロっとこぼしてしまう始末。いやいやお前は序盤の大ボスだったやろがい!!なんで凪チャンより悲惨になってるの!

特に10巻に関しては、仕事の「男の沽券プレッシャー」や暴力込みの「男らしくしろアタック」、「セックス結構めんどくさいけど言うのはなんか嫌」など【男性の苦しみアラモード】みたいになってる。もうこのマンガ男性に読んでもらった方がいいよ!オススメだよ(本当に)!

 

 

『夏目アラタの結婚』

児童相談所に勤める30代独身、夏目アラタ。

担当児童の父親を殺したとみられる容疑者、品川真珠に接近した彼は、ある条件を餌に取引を始める。それが殺人犯品川真珠との獄中結婚!

 

基本的に面会室と裁判シーンが舞台のサスペンス。しかしスリルと謎が読書欲を掻き立てる佳作。

 

個人的には真珠の歯のビジュアルが最ッ高だと思っていて、

殺人容疑者、品川真珠は可憐な少女のような見た目をしているが、口を開くと歯がボロボロ。その口腔は禍々しくさえある。

これはすばらしく効果的なビジュアルで、画面上では一見美少女に見える女が、口を開くという簡単な営みでその容姿が嫌悪感を催すものに変わる。

元から歯の醜さは不健康さや愚かさをイメージさせるのだけど、美少女を非常に簡単な動作でモンスターに変貌させる仕掛けとしてこれ以上のものは無いなと。

その上、アラタの勤務先である児童相談所という背景により、「口腔に大きな難がある場合に想像される家庭環境の悲惨さ」という情報まで追加されてものすごくうまい使い方ア・・・!惚れ惚れする!