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『Stand by me 描クえもん』※漫画の感想〜ホンモノのルサンチマンってやつを見せてやりますよ〜

先日、『創作をするなら資本主義の悪魔に魂を売らなくちゃ』というTwitter漫画が流れてきてたけど、本作は『海猿』の佐藤 秀峰先生の「海猿は魂売った」という「売れっ子ルサンチマン」だよ!!

 

 

『Stand by me 描クえもん』

 

売れない漫画家アシスタントの男が一転、大ヒット漫画家に。加熱する人気とスケジュール、原作者との確執、崩壊する精神。契約書、受賞歴、人間関係。

 

絶望的な状況の解説役として出てくるのは、「おっさんになった自分」、自分にしか見えない醜いおっさん。


腹が突き出し丸いフォルム、家に何とな〜く居候して押し入れで寝るイメージはドラえもんのイメージを借りてきているようで、すなわち彼が『描クえもん』か。

 

物語を飲み込みやすくさせる描クえもんというファンタジー、ハードなエロ、メンタルをメッタメタにする暴力的な編集者、

 

絵は抜群に上手いしお話も筋立ててあるし緩急もあるしエロもしっかりで、作品として読んでもスゴイ。

 

でも何より漫画を描くことの辛さや、自分の思い通りにならない理不尽が誌面に塗り込められてて、これが売れっ子のルサンチマンかよ、と震える。

 

ただ・・・

 

「うまい」ン すよ。

 

物語として整ってて、見せ場もあって、主人公の動機も、行き場のない怒りをさらに追い詰める答えもあって。

 

ちゃんとしてる、漫画としてちゃんとしてるが故に刈り込まれ整えられてしまった恨み。

 

 

先日、流れてきた恨みの漫画は、もっとプリミティブに、弱い立場から大声で叫んでいて、

 

漫画の出来の話じゃないんだけど、私はああいう叫んだ喉から血が出そうな漫画って、描ける時期が限定されてるな、とは思うんですよ。いい悪いじゃなく。

 

『描クえもん』、Kindle Unlimitedで全3巻読めちゃうので漫画家業を通した恨みを喰らいたい人はどーぞ。あとエッチですよ。

 

(なお、出版社は『佐藤漫画製作所』。つまり有限会社化して自分で発行しているのだ!そりゃこの内容だとどこも出してくれないもんな・・・漫画もうまくて会社もやれる人はやはり強い)

 

 

ところで佐藤漫画製作所は自費電子出版事業もされているそう。

 

行政書士の方の無料相談もされてるそうなので、電子の自費出版を検討している漫画家さんは相談されてみてはどうだろう。


知名度リテラシーの高い漫画家の方も利用しているみたい。もしご検討あればどーぞ。

 

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