その日読んだ漫画の雑感をまとめておくエントリです。
リンク切れや無料期間公開終了などご容赦くださいませ。
本日は9件の漫画の感想です。
- 鬱ごはん 第175話 「カフェと思ったら美容室だったので髪でも切っていくか」の精神
- 『君と宇宙を歩くために』 第7話 理由を探して
- 健康で文化的な最低限度の生活(6)~(12)
- 『あの嫌いなバンドはネットのおもちゃ』(読み切り)
- 『雷鳴りて春来たる』(新連載)
- 『おかしの家のマダムさん』
- 『【特別読切】習作「秋の窓」』
- ドラゴンの運転免許(読み切り)
- 『けがわとなかみ』第9話 一緒に行こう
- そのほか読んだ漫画(リンクのみ)
鬱ごはん 第175話 「カフェと思ったら美容室だったので髪でも切っていくか」の精神
低空飛行の青年、鬱野たけし。
孤独だけれど辛くはない。贅沢じゃないけど不満もない。
普通。。。ってこういうこともあるよね。あとメシも食べます。
今回は「カフェかと思ったら美容院、かと思ったらカフェ」という日本都市部のトラップについて。もはや食べ物の話はほとんどしません。
うん・・・多いよね、美容院(カフェ)誤認。わたし目が悪いから結構近くに行かないと判別がつかなくて、近づきすぎるとお店の人に補足される可能性があって、ウンとりあえずスルーかな!みたいな。鬱野のアグレッシブさには感心します。
それにしても、目的もなくカフェに入ってみるとか、本当に鬱野はリア充だな・・・
『君と宇宙を歩くために』 第7話 理由を探して
平成の高校生、小林君と宇野君が出会った。
小林君は集中できず、物事の段取りをコントロールできない。
宇野君は音に過敏でコミュニケーションが苦手。
まだ「発達障害」ということばが知られていない時代。ふたりは宇宙のように生きづらい世界を、手を取り合って歩いていく。
これはねえ、私の特性(わたしも発達障害があるものでね)を考えると追いかけないといけない作品でして・・・
7話は2/26に無料公開かな。すっごい・・・刺さるので注意してほしい、刺さる、うへえ。。。
この漫画、基本的に追い詰められているのは宇野君が多いんだけど、小林君は明るくコミュニケーションもとれるからこそ「そんなに普通なのになんでできないんだよ」と追い詰められていく。これはわたしもおなじでねえ。。。
この怖さってさ、発達障害じゃなくても体感するシーンあると思うんだよね。入った会社が想像の10倍能力の高い人ばっかりで、みんな空気みたいにできることがぜんぜん手が出ないとか。それが365日いつも迫ってる、そんな胃から何かがせりあがるような焦燥感。
健康で文化的な最低限度の生活(6)~(12)
日本国憲法 第三章 第二十五条 すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する・・・
新卒公務員、義経えみるが配属されたのは福祉事務所。ケースワーカーとして、様々な困窮と向き合い「健康で文化的な最低限度の生活」をサポートしていく。
わたしは福祉方向で取りたい国家資格があって、それについて情報収集しています。
もちろん『健康で文化的な最低限度の生活』はマンガなのでファンタジーではあるのですが、人って簡単に社会から「落ち」ることが描かれます。その多様なケースは、見ていてどんどん眉の間にしわが寄ってきます。
最新刊では東京の下町で水害が発生した想定。被災後の個人の尊厳を守るために、どのような社会資源が駆使されるのか。
『あの嫌いなバンドはネットのおもちゃ』(読み切り)
※暴力・性表現が非常に強いです。
気の弱いあの先生の秘密をゲットした・・・
なんでも言う事を聞く、牧村先生はおもちゃ。
でも小林君はあのバンドが好き。みんなが嫌いなあのバンドが好き。
牧村先生は好きでいてくれるかな・・・・・・・・・・
エロ漫画ですね・・・
ありえない状況、単純に犯罪であることは先に申し上げておきます。これは性ファンタジー。ねちっこく、生臭く、卑屈で、「いやそのシュチエーションはナイナイ」という、「実用性」に富んだファンタジーです。ハイ。
小骨トモ氏、いつもねちっこーい、つらーいマンガ描くんだけど、ちょっと読後感は爽やか。恋と肉欲と共にある。
『雷鳴りて春来たる』(新連載)
大正乙女、令和にタイムスリップす・・・!!
職業婦人になりたい大正時代の少女、島津ハル17歳。父親から反対され、悲嘆に暮れていた時、雷に打たれて・・・目が覚めたら100年後の令和5年!
現在2話まで更新済み。
さて、大正乙女、、
大正デモクラシー、なんて言いますが、軍国主義、言論の自由を(物理的に)弾圧したマッチョで物騒な時代です。
2023年にタイムスリップして気に入ってもらえるでしょうか。
媒体は動物ロシア風刺マンガ『サバキスタン』などを掲載していた「路草」さん。楽しみですわ(にこにこ)
『おかしの家のマダムさん』
萌はぽっちゃりして引っ込み思案な高校生。
あるさびれた商店街の駄菓子屋さんで、オシャレで鋭い眼光の「魔女」に会った!
駄菓子屋さんから始まる凸凹50歳差のおんなのこともだちのお話、懐かしいおやつを添えてスタート。
自分が年取ってきて、やっぱ「歳を見せつける美人なマダム」に憧れるわけね。衰えた脚、刻まれたシワ、オシャレで堂々たる佇まい!カッケー!
駄菓子屋のマダム、ひよりさんは黒&ポイントでフリルをあしらうオシャレでイケてるマダム。『ピンポン』の時の!夏木マリ!!!
対して萌ちゃんはぽや〜とふくふくした女の子。お菓子を作るのが好きで、アレンジ自在な割とアイディアマン。ああかわいい。こういう女子高生に生クリームたっぷりのホールケーキを食べさせてあげたい
年上を仰ぎ見て美しく、年下に目を遣れば可愛らしく。時を止めたようなさびれた商店街に息づくフフッと笑う空間。
『【特別読切】習作「秋の窓」』
わたしの色は、人と違う。
双子のみどりとあかね。2人とも絵心があるけれど、あかねはもう絵を描かない。
P型色覚特性。赤がとらえられないわたしの色は「間違い」と言われる。「間違い」たくない。けれど、みどりに絵を描く役割が回ってきて。
さすがハルタのWeb媒体。美しいカラーの表現が挟まる「感じる」マンガ、です。
色覚が人と違うことは特性であって弱さではない。けれど、「正しさ」が定められた社会では「間違ったこと」として処理されてしまう。
こういうことってたぶんよくある。あなたたちには間違いでも、わたしには間違いじゃないこと。みどりの色は、美しい。
見ているものが違うって、アウトプットも、「どういうイメージを持ってもらいたいか」も違うってこと。生体的なコンテクストを共有しないアート。わたしは好ましい!そーゆーの好ましいネ!!
いいじゃんか、生体的な文脈が信頼できないアート。赤は情熱的じゃないし、オレンジはあたたかくない。紫は高貴じゃないし茶色に安定感は出ない。
分断がある。絶対に乗り越えられないやつ。乗り越えずに共にある方法こそが良い方法じゃないのか。
ドラゴンの運転免許(読み切り)
す、すごかった。。
ドラゴンへの中2の憧れから始まり、ドラゴンの定義のし直しと提案、そしてエクストリームカーアクション
すごい丁寧なマンガだ。。
『けがわとなかみ』第9話 一緒に行こう
わたしは死にかけていました。
あなたはわたしのことを食いませんでしたね。
ひもじかったのにあなたは食いませんでしたね。
あなたのことが好きになりました。
食べ物であるうさぎと、食う側であるきつね。うさぎはきつねが好きで好きで、今日もきつねを追いかける。
きつねがストレートな動物表象に対し、うさぎはぬいぐるみのようなデフォルメされた造形。愛なのか執着なのか、自然界の話というか、個人と個人の愛着のカリカチュアとして、なにか寓意があるのだろうと思って読んでいます。
今回は、「善意の塊の親族が嫌いじゃないけど居場所がない」の話。
悪い人たちじゃない嫌いじゃない、だけど本当の自分を知ってる人はいない。それってどうだろ、幸せなのか?
きつねさんなりのアクションは別に正しいわけじゃなくて、きつねさんの出した答えなだけ。でもこういう結論出す人もいるんだなー、と思ったスね。
わたしイ?うーん、別に親族がそもそも善意の塊じゃないしイ(前提が違った)
そのほか読んだ漫画(リンクのみ)
ブルース・ドライブ・モンスター
『ボールアンドチェイン』第8話