漫画のことと本のこと

漫画好きが読んだ漫画や本の感想を書くブログです。

・モーニング連載『黒博物館 三日月よ、怪物と踊れ』39話はフェミニズムヒーローの話だ

「黒博物館 三日月よ、怪物と踊れ | 第39話 怪物たち」 コレは参りましたねえ。 藤田和日郎と言えば少年ヒーロー漫画の大御所。私も『うしおととら』はマジのマジで大好きなわけですが、少年が悪を滅ぼすヒーローものから30年、いま講談社のモーニングでや…

3/22マンガニュース〜・AI漫画は1コマづつコマを描いてからの作画らしいぞ・学習漫画【勉タメジャンプ】ってのが2023年4月から始動らしい

漫画のニュースのトピックスを選抜してお届けします〜 本記事はトピックスは無料、解説、感想は有料でお楽しみください! 金額は本麒麟一本分です(うちの近所のスーパー価格) ・AI漫画は1コマづつコマを描いてからの作画らしいぞ ・学習漫画【勉タメジャン…

3/21の漫画ニュース〜・小説の冒頭を漫画化するプロモーションを見た ・小学館サンデーGXでトラブルによる連載終了・コミックDAYS、総額1億円分の購入額20%還元 キャンペーン 

漫画のニュースのトピックスを選抜してお届けします〜 本記事はトピックスは無料、解説、感想は有料でお楽しみください! 金額は本麒麟一本分です(うちの近所のスーパー価格) ・小説の冒頭を漫画化するプロモーションを見た ・小学館サンデーGXでトラブル…

3/20マンガニュース〜トーチ漫画賞評がすごい、はたらく細胞が実写化ってそれ『ミクロの決死圏』じゃん、サンデーの新人発掘プロジェクト、告知がTwitterのみ?そういうとこやぞ。など

漫画のニュースのトピックスを選抜してお届けします〜 本記事はトピックスは無料、解説、感想は有料でお楽しみください! 金額は本麒麟一本分です(うちの近所のスーパー価格) ・トーチ漫画賞の書評がすごい ・はたらく細胞が実写化ってそれ『ミクロの決死…

『100日後に死ぬワニ』〜同調と死生観とメメントモリ〜

著:きくちゆうき出版社:小学館 2020年にTwitterをやっていた方なら覚えてますよね・・?1日1ページツイートされるゆるいワニの4コマ漫画が100日続き、そして大炎上したことを。 実は漫画として、私は大好きな作品なんですよ。 1日1回更新という形は『きょう…

アイヌが登場する漫画4件の批評。

本件は過去記事につき有料アーカイブとさせていただきます。 紹介漫画は以下4件です。 『獣剣伝説』 『くまみこ』 『ハルコロ』 『ゴールデンカムイ』

『はだしのゲン』被爆体験&戦中文化史と批判、資料価値の高いポリティカルコミックス

著者:中沢啓治出版社:汐文社 全10巻。大きく1〜7巻までが被爆体験、8巻〜10巻が戦後風俗及び戦後社会情勢が絡んだ内容。 被曝体験のディテールは極めて細かい。特に7巻の作中小説『夏のおわり』にまとめられている。 「黒い衣服を着た人はヤケドがひどかった…

「[第127話]君のことが大大大大大好きな100人の彼女」感想〜漫画にもタイパがやってきた!

shonenjumpplus.com (ハーレムものだから嫌いな人には全然勧めないし、そもそも表現のことしか言ってない感想です) ハーレムものなんだよね? 私、フォロワっさんがトゥートしたの見て初めて読んでみたんだけど。 いや面白い表現だね〜 100人ハーレム(今…

セックス無し★にこにこまったり大人のラブコメ5選

ほら、セックス、疲れるじゃないスか。 なくていいじゃん。にこにこふわふわラブを楽しみたいじゃん。っていうのが私なんですが。 そんな私のおすすめを一言コメント付きで紹介しちゃおうってワケ。 めちゃくちゃ簡単なあらすじとにこにこ部分をピックアップ…

『はだしのゲン』をサブカルチャーコミックスとしての面白さで評価する

面白いのよ。 めくるめく悲劇の連続、事実や作者の実体験とリンクしているという背景からの強い感情喚起、 悲劇に痛快な勝利を与えるゲンのクソガキ力(りょく)、 当時の貴重な文化資料としての好奇心、 史実が作中に登場する知的な快、 ゲンの武器は現代感…

トーチweb 『COVID-33』

to-ti.in やるせなくて切ない、パンデミックの日常SF。 手話を寂しい水色で描き、柔らかく印象に残る。人は希望を持つべきだ、それがSFなら。 この作品の会話は手話であり、水色で取り出された手でつむがれる簡易手話はビジュアル面での愛らしい主張がある。…

『チェンソーマン』(1部)読む映画秘宝としてのチェンソーマン

著者:藤本タツキ出版社:集英社 親の借金を抱えた少年、デンジは友だちのポチたと【契約】を交わし、この世界の恐るべき存在「悪魔」、チェーンソー頭のチェンソーマンに変身できるようになる。 その力を見出したのが公安の美女マキマ。貧しいデンジはジャム…

くる日もくる日もコロナのマンガ

くる日もくる日もコロナのマンガ -ビームコミックス-しりあがり-寿/dp/4047365335 しりあがり寿氏による「コロナの日々」4コマ。 トランプ、安倍、小池百合子などリアルな「当時」の社会と、現実を薄くスライドしたファンタジーが交差する。 寿先生、ちゃん…

『cocoon』沖縄戦を生きるために、少女は想像力の繭に逃げ込む。繭からは、吐瀉物と内臓がまろび出る・・・

著者:今日マチ子出版社:秋田書店 沖縄の戦局はもう悪くなっている。看護隊の女学生が単なる洞穴(ガマ)で負傷兵を看護する。 たくさんの友達を見送りながら、親友で「王子様」のサンと、ミサイルが降る沖縄で生きるマユ。 マユは空想の繭の中にいる。外がど…

『奇子』〜感情移入のできない、戦後処理と因習と悪魔のファムファタール〜

著:手塚治虫出版社:小学館(1972年連載当時) 昭和24年。 田舎の旧家の天外家では家長の父が長男の妻に産ませた不義の子、奇子を中心に、いびつな人間関係が構築されていた。 次男、天外仁朗はGHQのスパイであった。殺人工作に関わったことから、天外家の人…

『石見さんのGライフ』フェミニズムってこれ含むかんね?バカで下品な女性ギャグを寿げ!

※下品注意※ 「日常生活における女性の性欲が描けたらな、と」快感を追求する異色のヒロイン…あえて「Gライフ」を描くわけ わはは!アホだ!!と、笑い飛ばして終わるにはこの作品の持つ意味は大きい。 明治に女性の性欲を禁じられた本邦。1930年代平塚らいて…

『スーパーマン・スマッシュ・ザ・クラン 』書評~お子さんにもピッタリの明るく正しいスーパーマン~

原作:ジーン・ルエル・ヤン作画:グリヒル翻訳:吉川悠 2020年ハーベイ賞ヤングアダルト部門受賞。チャイナタウンからメトロポリスに引っ越してきたチャイニーズ・ロベルタとトミー。スーパーマンと共に秘密結社クランを倒す! 1946年のスーパーマンの連作ラジ…

『しょうもないのうりょく』※漫画の感想〜ささやかすぎる異能+穏やかな人間関係=平和!スコシフシギなSFの世界に移住したい

著者:高野雀出版社:竹書房 舞台はありふれた普通のオフィス。しかしこの世界の人間は皆「異能」を持っている。 異能は「書類を崩さず積める」「猫にめちゃくちゃ好かれる」「果物の旬がわかる」などささやかでしょうもないものばかり。 せいぜいが話のタネく…

『反トランス差別ZINE『われらはすでに共にある』』感想〜「くだらない権」を保護せよ〜

著者: 反トランス差別ZINE編集部 トランスジェンダー当事者、あるいは「共にある」著者17人のエッセイ、またおすすめの本などが紹介されている。 一番最初の三木那由多さんのエッセイだけ、大筋と私の感想を絡めて述べたいと思う。 『くだらない話がしたい』…

『大砲とスタンプ』※漫画の感想~架空ソ連の兵站部隊はスチャラカサラリーマン&ビターな味わいで

著者:速水螺旋人出版社:講談社 『戦争は女の顔をしていない』(監修)『いまさらですがソ連邦』など、ソ連への深い知識で知られる速水氏はミリタリーとSFの漫画家。 『大砲とスタンプ』は架空のソ連にて兵站部隊に配属された女性少尉マルチナの物語。 架空…

『母親やめてもいいですか〜娘が発達障害と診断されて』※漫画の感想〜境界線を引けないようにしたのは誰だ

自閉症の子を持った母親が母親を辞めていく様子を赤裸々に描いたエッセイコミック。 フリーライターの著者が自身の経験を原作として担当。問題の要点の提示→失敗で構成されるロジカルな後悔。 発達の影響で社会生活に支障をきたすほど育てづらい娘に疲れ、離…

『異種族レビュアーズ』※漫画の感想〜レイティングをしてくれ(真面目な顔)

※2023/7追記 本記事は・・・ エロなので有料記事にしますネ・・・・ ゾーニング大切。 原作:天原作画:masha出版社:KADOKAWA(連載はニコニコ静画内の『ドラドラしゃーぷ#』) これは内容の話じゃなくて社会問題の話をせざるを得ないンだよねえ。。 異世界…

『ムラサキのおクスリ 龍村景一短編集』※漫画の感想〜風刺のSFってのはこうじゃなきゃいけない

著者:龍村景一 作者がSNSで発表した短編などをまとめた短編集。 毒&風刺&SF! ・戦争PTSDを患い精神科に通う「キャラクター」、 ・近未来AIに恋心を弄ばれるヤンキー、 ・アメコミヒーローが転生したら日本の入管に入れられた件、 ・ゾンビに自我が残ってい…

『青野くんに触りたいから死にたい』※漫画の感想 民俗オカルトホラーはなにより虐待の痕跡と人との境界線の境目が怖い※虐待描写フラッシュ注意

※2023/7追記 本記事は過去記事につき、後半を有料アーカイブとさせていただきます 著者:椎名うみ出版社:講談社(掲載誌アフタヌーン) 最恐!オカルトホラーラブ。 コミュ障の高校生、優里ちゃんは隣のクラスの青野くんに一目惚れ。告白してお付き合いしたも…

『この世界の片隅に』※戦時の風俗史としての価値と、暮らしのファシズムに擬態する反戦

作者:こうの史代出版社:双葉社 第二次世界大戦時、呉に住んだ1人の女性の個人的な生活を綴る漫画。 当時の結婚観や食文化、生活などの風俗文化史として精緻な内容であるとともに、1人の穏やかな女性の嫁入りと置いてきた恋、新しい家族、夫の過去の恋と友人…

『RAIDEN-18』※漫画の感想〜ペンは剣より強いんだぞ〜 

『RAIDEN-18』 著者:荒川弘出版社:小学館 『鋼の錬金術師』『アルスラーン戦記』などの荒川弘の連作短編集。 死者から作られし人造人間「雷電18号」と死体愛好家のタチバナ博士のドタバタコメディ。 15年の時をかけ描かれた短編をまとめたものながら、絵の…

MylittleFoodRoad※漫画の感想〜どストレートシンプル!!!!〜

「MylittleFoodRoad」 shonenjumpplus.com ジャンプラの読み切り。 人に害なす存在「イエティ」が跋扈する世界。過去、娘をイエティに殺された老人狩人は、娘と会うための善行を積むためイエティを借り続けている。 ある日、出会った小さなイエティは言葉を…

刃牙外伝『SAGA』※漫画の感想(真面目な話なんだよ)

刃牙外伝『SAGA』、お馴染み刃牙のスピンオフなんだけど、ここで戦うのは刃牙と梢ちゃん。リングは畳。試合形式はセックス! 一冊丸ごとセックス、刃牙と梢ちゃんがセックスする様子を丹念に描くという狂気の漫画で、少年誌の本編では出せなかったので青年レ…

『漫古☆知新-バカでも読める古典文学』※漫画感想~下品注意!漫⭐︎画太郎版『蟹工船』~

「[第1話]漫古☆知新-バカでも読める古典文学-」 shonenjumpplus.com 下品だからね!!!私、言ったからね!! 集英社が誇る鬼才、漫☆画太郎が古典作品を大胆にアレンジ。 小林多喜二の名作プロレタリア文学がこれひとつで・・・ぜんぜん分からない!! ひた…

『がんばりょんかぁ、マサコちゃん』~公務員の「自死」~

www.shogakukan.co.jp 『がんばりょんかぁ、マサコちゃん』 原作/宮崎 克 作画/魚戸おさむ 協力/赤木雅子/相澤冬樹 愛する夫の真実を知りたいと願う女性の物語平凡な夫婦の幸せは、なぜ壊されなければならなかったのか? 国有地が不当な価格で売却された事…